第28話 リベンジ



<アインスドット>西の平原



 西の平原に1人佇んで居る男がいる。


 全身黒で覆われている服…背中にはなにも装飾されていない真っ黒な弓を背負い…腰にはダガーを装備している。

 まるで執行人の様な見た目なのだ…

 そしてその男の頭上には戦乙女が佇んでいる。

 その男達の名は…




 首狩り狐ことシウだ!!ばばーーん!!!

(みんなのてんしさまこときゅりあちゃんなのです!)


 下手くそなナレーションと共にこんにちはですよ。

 なんで今更西の平原に居るのかって?それは試し撃ちしたいからだよ!

 新しい装備のお陰でステータスが上がりまくって実戦したくなるよね!

 俺とキュリアのステータスはこうなってる。


 PN:シウ Lv17

 種族:獣人(狐)

 メイン職業:弓使い

 サブ職業:錬金術師


 HP:180(80+100)

 MP:350(150+200)


 STR:10

 VIT:43(5+38)

 INT:43(18+25)

 MND:15

 AGI:51(20+31)

 DEX:95(35+60)


 ステータスポイント2


 スキル

【弓術Lv10】【短剣術Lv8】【鷹の目Lv10】【付加Lv13】【魔力上昇Lv10】【水魔法Lv9】【体魔力自動回復Lv5】【調教Lv2】【気配察知Lv8】【気配遮断Lv8】【影魔法】(【隠密】【魔弓】【瞬足】)


 称号

【水精霊ディーネの加護】【錬金術師の弟子】【首狩り族】



 キュリア Lv11

 種族:リトルエンジェル


 HP:210(60+150)

 MP:200


 STR:15

 VIT:65(10+55)

 INT:45(20+25)

 MND:55(20+35)

 AGI:20(10+10)

 DEX:8


 ステータスポイント2

 スキル

【光魔法Lv8】【浮遊】【結界Lv5】【槍術Lv5】【魔力強化Lv5】【魔力自動回復Lv5】【幻影Lv5】(【重量軽減】【自動調整】【闘神】)


 キュリアよりHPが低いなんて…しかも装甲も俺より高い…まぁ前で戦ってくれるなら高くないとおかしいもんね!

 しかし俺のDEXがそろそろ3桁行くじゃん。これなら弓での攻撃力あがってるよね。

 キュリアはもう勝手にうさぎ狩りしちゃってるしな…あの小さい体でよく攻撃してるし。

 さて…魔弓の性能を試してみないとな!

 MP消費1なら1本で威力は木の矢と同じぐらいかな?うさぎさん相手だと一撃で終わらせてしまうからわかんねーや…とりあえずどこまで矢を出せるかやってみるか。


 結果…同時に出せる矢の数は5本。5本でMP消費が5、そりゃそうなるよな…

 5本出してMP消費を50にして撃ってみたけど…当たった瞬間にうさぎさんが吹っ飛んで行ったわ。吹っ飛びながら光になるのを見ると…なんかごめんって感じ。

 そして1本だけ出して消費を50にして撃ってみたら…うん。うさぎ…頭部が破裂したよね。当たった瞬間…パーーン!って凄い音がしたよね。

 そしてMP消費の限界は50だって事もわかった。石の矢と使い分けすればいいか。

 キュリアはキュリアで槍での戦闘を楽しんでるみたいだから大丈夫だな。あとはどれだけ攻撃を耐えられるかだな。そこは西の森にでも行ってから検証だな、それにこの装備があれば姫にも勝てるだろうから…このまま行ってみるか。


<西の森>


 森での戦闘が楽で楽でたまらん!【隠密】使っての木の上からの突撃首狩りがもう楽しくて楽しくて…キュリアさんも串刺しにしてらっしゃるしね!

(ますたーのまねなのですー!くしざしなのですーー!!!)

 育てかた間違えたかな…なんか…うん。傍から見るとこんな感じなんだね…俺もこんな風になってたのかな…


(つぎのえものなのですぅぅぅぅ!!!)

「ふわふわしながらそのセリフはこわいわぁ〜キュリアさんこわいわぁ〜」

(ますたーだってわらいながらしてるのですよ?ますたーのほうがこわいのです!)

「まぁそんな馬鹿な事をしてないで再戦するか?姫とのリベンジを!」

(いくのです!あんないぬっころ…ぶっさしなのです!!)

「お…おぅ。それなら今からリベンジしに行こうか!キュリアの槍術もアーツが使えるようになったしな。試してみるぞ!」

(いくのです!)


 俺とキュリアは森狼姫と再戦する為にセーフティーゾーンで休まずにそのままボスエリアにやってきた。



『エリアボスに挑みますか? YES or No』


「さーて…矢も充分にある…体力も満タン…始まる前にキュリア!バフを掛けておくからな。【付加】パワーアップにディフェンスアップ!さぁ再戦だ!」


 キュリアに付加を掛け、YESをタップすると前回同様周りの木々から姫と姫の護衛である森狼が現れた。


「前回のようには行かないぜ?姫さんよ!ドンパチ始めようぜ!【魔弓】のインパクトショット!!」


 MPを全開である50つぎ込みアーツのインパクトショットを姫に撃ち込む。

 この一撃で姫のHP既に半分を切っていた。そしてインパクトショットの爆発を受けた森狼も1匹だけ残して他は光となっていた。


「まって?何この威力?!想定外なんですけど?!とりあえず結果オーライって事でキュリアは結界を張りつつ姫をなんとか頼む!俺はその間に残りを倒す!」

(りょうかいなのです!)


 二手に別れ撃退しようとしたその時だった。姫が雄叫びを上げ始めた。

『ワォォォォォン!!!』

 すると木々から5匹の森狼が再度現れたのだ。


「なにそのパターン!まさかの仲間を呼ぶやつかよ!でも今の俺たちなら関係ない!キュリア!姫から森狼に狙いをチェンジ!まずは雑魚を散らす!隙があれば姫も狙っていくぞ!」

(はいなのです!けっかいのこうかじかんがはんぶんですの!そのあいだになんとかおおきいいぬっころだけにするのです!)


「それなら姫に…影縫い!からのクイックショット!」


 姫は動きを封じられ周りの森狼はアーツによってすぐさま光に変えられていた。キュリアも結界の効果が無くなったものの森狼程度では相手になっていなく瞬殺していた。

 しかし影縫いの効果が終わると同時に姫は近くに居たキュリアに狙いを定め走り出した。

 浮遊しているとは言え素早い動きは出来ないキュリアは姫の薙ぎ払いを受けるがなんとかガードをして吹き飛ばされずにいた。姫はそのまま噛み付こうとするが

「こっちが疎かだぜ?パワーショット!」


 背後からアーツを撃ち込む。しかし装備を変えたとは言え石の矢ではそこまでダメージを与えられずにいた。

 すると姫はまた雄叫びを上げた。


「また仲間を呼ぶのか?ん?体が…動かない?!」

(ますたー!にげてなのです!)


 姫の雄叫びは仲間を呼ぶだけでは無く、相手に状態異常を掛ける効果もあったのだ。俺は見事に恐怖の状態異常を受けていた。

 姫は動けなくなった俺めがけ駆け出し、体当たりをしようとしている。

 キュリアは動けなくなった俺を庇おうと前に出るが体格差が有り姫の動きを止めることが出来ずに吹き飛ばされてしまう。そしてそのまま姫の体当たりを受けてしまった。


「くっ!俺はまだ行けるけどキュリアは…レッドゾーンに入ってるか。なら1度…影縫い!」


 即座に姫を止め、自身にでは無くキュリアに錬金ポーションを使って回復をするが自身もHPは半分以下になっている。


「キュリア、結界のクールタイムは終わりそうか?」

(あと30びょうでおわりなのです!)

「なら幻影を使って気を逸らせるぞ、そこからとにかく動き回る!時間稼ぎだ」

(はいです!みらーじゅなのです!)


 幻影を使うと同時に2人は姫から離れ距離を取る。幻影のキュリアは反対方向に移動すると姫はそれを追いかけ始める。そして5秒が過ぎ幻影は消えるがそこにインパクトショットを撃ち込む。しかし姫に撃つのではなく姫の足元に撃ち込み砂煙を起こした。その隙に結界のクールタイムが終わりすぐさまキュリア自身に張るように指示する。

 砂煙で目の前が見えない姫は動きを止めていたが、姫がここで新たな動きを見せる。姫が両手を振り上げ勢いよく地面を叩きつけた。


 姫の固有スキル【地響き】を発動させた。


 地面に触れている者は動きを止められ少しの間行動不可になる。ダメージは与えられないが動きを封じられる。しかしキュリアは浮遊の効果で浮いていた為に何事もなく居たが姫はキュリアを気にすることなく再度突撃を掛けてきた。


 姫は魔法等使うことは無いが素早い動きで相手に体当たりや爪での薙ぎ払いを行う。それは純粋な攻撃力があるが故に出来ることなのだ。

 さらに姫は固有スキル【疾風】を使い、さらに加速を付ける。スピードを付けての体当たり、姫自身にも反動でダメージが入るが相手をそれで倒せるなら構わないと言った感じで捨て身でアタックをしてくる。


 どうするどうする!状態異常もまだ入ってる上になんだよこのスキルは!動けない!!キュリアの結界も使ってしまってクールタイム中!俺が動けないから影縫いも無理!なら一か八か…

(キュリア!幻影は?!)

(やってみるのです!みらーじゅ!)


 キュリアは幻影を使うが姫は見向きもせずに向かってきている。

 幻影を通り過ぎ俺に最高速のまま突撃した。俺は吹き飛ばされる、姫は急停止をしてすぐさま反転してトドメを刺そうとし吹き飛んだ俺に向け再度加速をして噛み殺そうと口を開き鋭い牙を剥き出しにしている。


(またここで俺は終わるのかよ…くそ!)

(ますたーはわたしがたすけるのです!!!)


 キュリアが最大速で駆けつけ、初めて覚えたアーツをここで使う。

(やりじゅつあーつ!にだんつきからのそうげつざん!)

 ここに来てキュリアは覚えたてのアーツを放つ。

 二段突きは素早く2回突く技、蒼月斬は下から全力で振り上げる斬撃である。

 姫とのサイズが違いすぎてはいるがしっかりとダメージは与えている。しかしまだHPは残っていた。姫は攻撃目標を俺からキュリアに変えた。

 キュリアは蒼月斬の反動で少しだが硬直しており動けない。姫は口を開けキャリアに飛びついた。


「キュリア!逃げろぉぉぉぉ!!!」


(ますたーはわたしがまもったのです…きょうかいでまってるのです…はやくきてくださいね?)


「キュリアァァァァァ!!!」


 姫はキュリアを喰らった。そのまま光となりキュリアは死に戻った。


「貴様ァァァァ!犬の分際で…犬の分際でぇぇぇ!!!」


 右手で素早くダガーを引き抜き姫に走り出した。

 姫も走り出し、噛み殺そうと駆け、そして飛びつく。

 噛まれる寸前に右手で持っているダガーを姫の額に突き刺そうとするが狙いがずれ姫の目に刺さる。


『グウォァァァァァ!!!!』


 痛さのあまり噛み付くのを忘れ天を仰ぐ姫。

 それを見逃さずに弓を手に取り残っていた新しいアーツの1つ、鎧通しをここで使う。


【弓術】アーツ

 鎧通し

 ゼロ距離射撃で相手の装甲を無視しての一撃を放つ。

 ゼロ距離以外ではノーダメージ。ゼロ距離成功でダメージ10倍


 さらに狙う場所は天を仰いでいる為に無防備に晒されている首である。


「その首吹き飛べやぁぁ!この駄犬がぁぁぁ!!鎧通しぃぃぃぃ!!!!」


 見事に首に鎧通しが決まり、更に称号の首狩り族も発動する。

 即死にはならなかったが姫の残りHPは少なく、この一撃で光となり消えて行った。




『エリアボスを討伐しました。初回討伐ボーナスを獲得しました』



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