第14話 確認

 

 雑貨屋<森の隠れ家>


 師匠から工房を借りて錬金ポーションを作ろうとした矢先にユーキングからコールかよ。って…キュリアさん?その棚とかにある物は触っちゃ…めっ!


「しもしも〜ユーキエモンどったの?」

『シウ太くんにお願いがあるんだなぁ〜これまじで』

「お前がお願いとかどしたよ?ワシの可愛い天使はやらんぞ?」

『リアルに天使は欲しいんだけど…まぁいいや。お前さん錬金ポーション俺たちに売らね?』

「は?何故によ?」

『今2陣がスタートしただろ?それで俺たちのクランに何人も新人さんが入ってきて育成してんだけどな、ポーションが足りないんだわ。ガチでいま全体的にポーションが足りてないんだわ』

「ユーキングのクランにもポーション作れるプレイヤーいるだろ?なんで俺に頼んで来るよ」

『金欲しくないか?ん?装備を作ってくれるプレイヤーの伝手が欲しくないか?ん?』


 俺はユーキングの発言に考えることも無く即答で答えた。


「喜んでお受けしよう!どれほど要るんだい?」

『作れるだけ』

「oh......師匠の店にも卸さないとだから…出せるとしても50ぐらいだな。まだ必要なら薬草を取りに行かなきゃならんが」

『それだけあればひとまずは大丈夫だろ。50個で15000Gで買い取るわ』


 …なんか買取金額高くね?普通にポーション買う値段と同じじゃね?

『住人の店でも今品切れ多発でな、露店を出してるプレイヤー達のポーションの値段が今500行ってるんだ。だから高く買い取る。それにお前の装備を作ってくれるかもしれない連中を紹介するから儲けだろ?』


 ユーキングとコールを終えた俺は錬金ポーション作りに精を出した。

 弟子の称号のおかげなのかわからないが以前より早く出来上がった…気がした。

 俺は工房を後にして師匠が店番をしているカウンターに行き声をかけた。


「師匠終わりましたー。買い取りしてもらっても良きですかね?」

「構わんよ、それより…そのちっこいのは工房の物を触ったりしてないだろうね?」


 師匠はキュリアを見ながら俺に問いかけた。


「大丈夫っすよ…多分!俺が尻尾で遊んであげてたんで。そっちに夢中になってましたよ…疲れたけど」

「ならいいがね。今回はどれだけ売ってくれるんだい?今なら少しは高く買取るよ」

「友人にもやらないとなんで今回は30個でお願いします」

「それなら7500Gだね、ほれ」


 師匠の元では1本250Gで買い取って貰った俺。

 ユーキングにも出来上がった事をメールにて報告し、西の森に再度薬草を確保する為に向かう事にした。



<西の平原>


 とりあえず平原で俺とキュリアはスキルの確認を行っていた。

 俺は弓術のアーツを、キュリアは光魔法と結界と幻影のスキル。

 俺が使える弓術のアーツは2つ。


【弓術】アーツ

 クイックショット消費MP5

 素早く矢を射る事が出来る。2発まで連射可能。(矢の消費1)

 クールタイム60秒


【弓術】アーツ

 パワーショット消費MP10

 力を込めて放たれる矢。

 2倍のダメージを与えられる。

 クールタイム60秒


「クイックショットは使い勝手いいな!2発撃てるし!しかも矢の消費も増えることなく1本で2回の攻撃!お得感満載だぜぇ!パワーショットは射った後に少し硬直するから気をつけないとだな…後はキュリアのスキルを確認しておかないと…光魔法はライトとライトボールか…これは俺の水魔法と同じ感じだからいいとして…キュリア、結界使ってみてくれ」

(はいなのですますたー!)


 キュリアは結界を使うとキュリアの周りには薄っすらと膜みたいなのが張られた。


「これが結界ね…バリアみたいなのを作るわけか。とりあえず確認を…」


【結界】

 身を守る結界を張ることが出来る。消費MP20

 効果時間60秒。5回まで攻撃を受けても壊れない。

 レベルが上がるにつれて時間・回数が増量。

 クールタイム300秒


「これであのスケルトンの攻撃を耐えてたのか…かなり強くね?これ…でもクールタイムが長いな」

(わたしはつよいのですー!)

「キュリア強い強いー。次は幻影をよろしくな」


 キュリアは幻影を使うとキュリアの横にはもう一体のキュリアが現れた。


「なぁキュリア、その幻影は動かせるのか?」

(やってみるのですー)


 キュリアが幻影で作られたキュリアを動かした。しかし攻撃などスキルは使えない。そして幻影が消えるまで10秒という短い時間で消えていった。


「ただ動かせるだけか、囮とかに使えるなこれ。なかなかいいじゃんよ」


 こうしてスキルの確認を終えた俺たちは兎を数匹倒して森に向かった。


<西の森>


 森の中で絶賛狼さんと戯れてます。嘘です、はい。

 偽キュリアを攻撃している狼さんを矢で射抜いてます。はい。

 なんかね?幻影が役に立って役に立って…矢を使わないでも行けるんじゃね?って思い始めた僕ですけど…

 気配遮断使ってたら偽キュリアに夢中になってる狼さんの近くに行けるんだもん!もん!

 なら矢を使わずに何を使う?テッテレー!腰に装備してるダガー♪

 減っていた耐久値もおやっさんの所でMAXにして貰ったから安心。ならばやってみよう…ダガーに付加エンチャント風…風にすると切れ味倍増だぞ♪

 もうすぐで幻影が消えるからこそっと近づいて…首を…斬る!


 森狼は背後から近づく俺に気付かずに首を斬られ光となった。

 急所&クリティカルヒットで一撃。


「おほぅ!一撃でやんすよ!キュリアの幻影役に立つぅ〜ふぅ〜」

(わたしもたおしてみたいです〜はやくわたしのやりがほしいのです!!)

「今のところは幻影使って囮出しと魔法での攻撃を頼んだぞ。槍はもう少しの辛抱だからな」


 俺はキュリアの頭を優しく指で撫でながら伝えた。


 〜〜30分後〜〜


 んふ〜んっふ〜んっふっふ〜

 ダガーの調子がいいでござるよ。今宵のダガーは血を求めてるでござる!

 我こそは森に潜みし忍びで御座る!!

(ますたーはゆみつかいさんですよー)

「現実に引き戻す発言するなよ…折角楽しんでたのに…」


 俺はひたすら森狼の首を斬り続けていた。

 キュリアの囮を使っては忍び込んで斬首。キュリアのMPが切れると近くの草むらに隠れて矢で射抜く。

 そして今は木の上に座っている。


「木登りも出来るなんてFLOは凄いな…てか、よくこんな所に果物がなってるなんてわかったなキュリア」

(さっきみつけたのです!ますたー!わたしをほめてもいいのですよ?)

「よーしよしよしよしよしよし、いい子ですねー可愛いですねー」

(きゃふぅーほめられたのですぅ〜)


 ムツゴ〇ウばりの言い方&指での撫ででキュリアを褒めていたが、シウがいる木の下に1匹の狼が現れた。


(我が魔剣…ダガーの餌がやってきおったわい!ぐふふ…さーて血を吸わせてもらうぜよ!!)

(ますたーきもいですのー)


 俺は木から飛び降りると同時にダガーを逆手に持ち森狼の首を狙う。

 着地する寸前に首を斬り付け見事に着地。しかし1匹では無く2匹居たのだ。

 もう1匹が俺に飛びかかろうとするが光の玉が森狼にぶつかる。キュリアがライトボールを放ってくれたのだ。


「ナーイスキュリア。さーて…お前の首も貰い受けるぜよ!」


 弓のことをすっかり忘れダガー1本で森狼達の首を狩り続けたシウ。


「ひひっ…ひひひっ…いーひひひ!!!貴様らの首は俺が刈り取ってやるぜぇぇぇ!!!」



 俺はハイテンションになり叫んでいた。


 森にその叫びは響きわたり、他のプレイヤーが恐怖に陥っていたことなんかこの時の俺は知らなかった。

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