第6話 サクヤ

 

 装備を一新した俺のお財布事情はかなりヤバい状況になった。

 懐が寂しす…とりあえずこのことをユーキングに相談すると。


「兎を倒した時にアイテムドロップしたろ?それを冒険者ギルドに行ってクエスト完了させるか、店で売るかだな。店で売ったとしても二束三文だぜ?」

「クエスト受けて直ぐに終わらせられるのか?あっ、そっか…討伐じゃなくて皮とかのアイテム関係のクエストね」

「んだんだ。後は錬金取ってるなら錬金術でポーション作って売ったらいいんじゃね?2陣プレイヤーが欲しがるだろうし高値で買い取ってくれんじゃねーか?」


 ふむ、錬金術もやってみないと行けないけどどうするのかまだわかってないのだよ。

 とりあえず一旦ログアウトして昼飯食わないとリアル空腹値がやばい事になってるぞ。


「錬金術の事を掲示板で少し調べてみるわ。リアル腹ペコだから飯食ってくるわ」

「おけ。街の中でログアウトするなら宿屋にちゃんと行けよ?ここでログアウトしたらアイテム取られる可能性もあるからな」


 街の中やフィールドなどでログアウトすると少しの間だが体が残る仕様になっている。その時に【窃盗】スキルで荷物を取られる事があるらしい。

 安全にログアウトするならちゃんと宿屋で部屋を借りて落ちるのがいいとの事。

 金欠中の俺はユーキングに宿代を借りてログアウトした。



 △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽


 リアルの世界にただいま。

 今の時刻は午後2時でございます。既に昼の時間は終わっている。

 俺はとりあえず自室から出て1階のキッチンに向かった。なにかあるだろ…カップラーメンでもいいからなにか食べたい。


 キッチンに向かうと、リビングには妹である咲良がテレビを見ていた。

 俺は身長180あるのだけど妹の咲良は150しかないちみっ子なのだ。高校1年だけどお胸のサイズもちみっ子…ぷぷっ

 そんな馬鹿なことを考えていたら何故か睨まれた。俺の考えていたことがバレたのか?!エスパー咲良か!


「おにぃ?なにか言うことは?」

「愛してるよ」

「それは要らない。もう一度チャンスをやろう」

「お腹空いた」

「………天誅!!」




 見事なボディブローを受けましたよっと。




 まだ腹に何も入れてなくて助かったぜ…とりあえず謝りましたけどね、平謝りと言う名の。

 昼飯は当然の如く俺のは無くて結局カップラーメンになった。

 食べながら咲良とFLOの話をしていた。


「咲良もそう言えば初回スタートだったよな?職業とか何にしてんだ?」

「私は魔法使いにしてるよ〜。目指すは魔法少女なのだよ」

「後衛職か、優希とかと会ったりは?」

「時々一緒にパーティ組んでクエとか受けたりしてる。おにぃは何にしたの?昨日の夜から部屋でうんうんひぃひぃ唸りながら考えてたみたいだけど」


 咲良にキャラクリからさっきまでの事を話した。

 スキルの構成も話して錬金のことについても咲良に教えて貰った。


「錬金をするなら街の雑貨屋に錬金術セットが売ってあるからそれを買って街のレンタル工房でするか、各エリアのセーフティゾーンでするしかないね。錬金に必要な素材とかはやり方なんかは掲示板に載ってるからわかると思うよ〜。後、レシピも売ってあるからそれを買うのも一つの手だね。お金があればだけど、お金が」


 お金なんてないわ!後でギルドに行って納品クエ受けて少しでも寒いお財布に入れなきゃなんだわ!


「おにぃはこの後またINするの?」

「んー…したいのは山々だけど掲示板みたりちょっとでも宿題しておきたいから次にするのは夜かな?」

「それなら夜、一緒にしない?私の友達も紹介したいし!」

「なんで俺が咲良の友達を紹介されなあかんのや。咲良の友達なんか俺は知らんぞ?」

「その子達、生産もやりたいみたいだからおにぃの装備とかで協力出来るかもじゃん!街売りの装備品はそこまで耐久値ないから直ぐに修理しないとダメだし!その点プレイヤーが作ったのは耐久値もそこそこあるから安心だよ?」


 まぁ知り合って特に損は無いから会ってみるか。

 それに生産職の伝手を作っておくのも大事だしな。


「なら何時に何処に行けばいいんだ?てか咲良のPNはなんだし、それ知らないと探せないだろ」

「夜の9時にアインスドットの教会前で集合になってるから遅れないで来てね!私はサクヤでしてるよ〜おにぃは?」

「俺はシウだ。獣人の狐にしてるから直ぐにわかると思うぞ」


 こうして咲良と待ち合わせの約束をして部屋に戻った。

 掲示板を見る前に宿題しとかなきゃ。少しでもやっておかないと後が恐怖で…

 どーせ優希はギリギリまでしないんだろうけどな。


 宿題もある程度してから掲示板を眺めていた。

 目的は錬金について。錬金に必要なものは街に売ってある錬金術セット、後は必要な素材。これだけだった。錬金術セットは初心者用しか売ってないみたいだ。

 本格的に錬金術をやろうとするなら自分の工房が必要らしい。必要な道具類も結構あるらしいが俺はそこまでやるつもりないしな。

 噂ではキメラやホムンクルスも作れるんじゃね?って掲示板で盛り上がってた。

 キメラって普通にモンスターでいるじゃんか。それを作ろうとしてどうするねん…


 そして色んな掲示板を見ていると2つ名に関するスレがあったので見てみた。


 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△


 188.名無しの剣士


 そう言えば始まりの街で狂戦士を見かけたぞ?



 189.名無しの薬師


 あの赤鬼か!なんで始まりの街なんかに…まさか…街を破壊しに来たのか?!((((;゜Д゜))))



 190.名無しの侍


 なんか2陣プレイヤーと一緒に居たのを見かけたぞよ?

 リアフレと合流でもしたんじゃないかの?



 191.名無しの剣士


 獣人さんと一緒に居たな。そして土下座してたな…獣人さん…

 何をやらかしたよ…



 192.名無しの騎士


 さすが狂戦士www



 193.名無しの銃士


 始まりの街と言えば、漆黒の魔女も見かけたぞ?

 あの金髪ツインテに萌えたのは内緒だが…



 194.名無しの召喚士


 サクヤたん(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァ




 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△


 よし、見なかったことにしよう。

 とりあえずわかったことは…





 俺の周りは変な奴らばかりという事だ!!



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