第4話 アインスドット



 ログイン1日目


 始まりの街<アインスドット>噴水広場


 はてさて、遂にやって来ましたよFLO。

 周りを見渡せば人…人…人…

 まさしく、人だらけである。ここに居る皆さんは2陣からのプレイヤーさんかな?

 でも見た目的に違う人たちもチラホラいますな。


「初心者さんでも入れるクランだよ!なんでも教えて上げるから入らないかー!」

「君達2陣からのプレイヤーだろ?なら戦闘とか教えるからクランに入らないか?」

「回復職の方1名募集してまーす!一緒にレベル上げ行きませんかー!」


 などなど声が飛び交うこと飛び交うこと。人だけじゃなくて獣人やエルフも結構居るな。

 俺はとりあえずフレンドリストを呼び出して…っと、その前になんか最後にディーネが早口で言ってたな。

 確かアイテムボックスとステ欄を見ろって言ったよな?確認してみるか。


 アイテムボックスの中には見たことも無いアイテムが入っていた。


 上等なブラシ×1


 ……これで尻尾の手入れをしなさいと言うことだね?ディーネさんや…

 ブラッシングしたとしても君とはもう会うことはないだろうよ!何してんのさあの娘は!!

 後はステ欄を確認…ん?なにこれ?


 PN:シウ

 種族:獣人(狐)

 メイン職業:弓使い

 サブ職業:錬金術師

 HP:80

 MP:200(150+50)


 STR:8

 VIT:5

 INT:15

 MND:15

 AGI:10

 DEX:20


 スキル

【弓術】【短剣術】【鷹の目】【付加】【魔力上昇】【水魔法】【体魔力自動回復】【調教】【気配察知】【気配遮断】


 称号

【水精霊ディーネの加護】


 え?は?なんか称号貰ってる?!しかもディーネってやっぱり精霊だったの?なんか水精霊とか言ってた気はしてたけど…

 ただの綺麗なモフリストのお姉さんと思ってたのに…そんな威厳ある人とは…思えんよな、うん。

 とりあえずこれは一体どんな効果でもあるのだろうか…調べる事は…あっ、出来るのね。


【水精霊ディーネの加護】

 水魔法の消費MP軽減。水魔法の威力増大(中)。水属性の攻撃ダメージ軽減(中)

 ※しっかりとあげたブラシでシウ様の尻尾を手入れすること!絶対だからね!


 なんか効果すごくね?てか最後の何?摩訶不思議なメッセージはなんだよ。

 これは優希…ここではリアルネームはNGだったな。ユーキングに聞かないと行けない案件だな。

 とりあえずフレンドリストを見てみるか…

 ユーキング…あるある。他にも何人か名前があるけど…誰や?!君達誰や?!

 多分1人は友人Bなんだけど…誰かかわからん!まぁユーキングにコール。


『ハロハロー?あなたの友人であるユーキさんやで。んな事よりやっとキャラクリ終わったのか。時間かかってたな。もう昼だぜ?』

「そんなに時間経ってたか、てか2時間近くもキャラクリしてたのかよぉ…あのモフリストせいで…」

『モフリスト?まぁ良くわからんがいま噴水広場だろ?どんな姿してんだ?』

「白磁色の狐だ」

『…白磁色?何色だよそれ。』

「簡単に言えば薄い水色みたいな」

『おけおけ、そんな不思議な色の狐ならわかるわ、てか見つけたわ』


 すると俺の目の前に赤髪のイケメンが現れた。

 ツンツンヘアーにしやがって…リアルイケメンはここでもイケメンかよ、ちっ!

 いかにも剣士って装備してやがる。そう言えばユーキングはトッププレイヤーの1人だったな。確か2つ名もあった気が…


「紅き狂戦士バーサーカー…」

「なんでお前がもう知ってやがる…」

「掲示板で見たからな!ユーキングって名前出てたし。あれを見た時は笑ったわ!バーサーカー…ぶふっ」

「よろしい。決闘を送り付けようか。そしてその身に刻め」


 あかん、この人…目が逝きやがった。光を失っておる…



 とりあえず大人しく土下座して許しを乞うか。



「おい、こんな所で堂々と目立った行動してどーすんだよ!さっさと移動するぞ!俺の知り合いの店に行くぞ、さっさとついてこい」


 目立った行動させたの貴方ですやん…バーサーカーこぇぇとか誰か言ってたで?

 あの新人プレイヤーが虐められてるとかも言われてたぞ?バーサーカーさん?ぷっ

 やめて?後ろ振り向かないで?その光を失った目で俺を見ないで?ごめんて…


 ユーキングに連れられてきた場所、それは。


 喫茶<キャットファイト>


 うん、すごいネーミングセンスをひしひしと感じるよね。

 多分このネーミングをつけた人はリアルキャットファイトが好きなんだろうな…やばい人じゃ無いことを願おう。

 ユーキングが先に店に入っていった。その後を追う。

 そしたら1人の男性にユーキングは声を掛けた。


「マスターお久っす。個室借りていいです?」

「おぅ。空いてるから使っていいぞ」


 ふむ?個室?喫茶店なのに?

 まぁ良くわからんがとりあえずユーキングが入っていった部屋に向かう。

 至って普通の個室ですわな?


「ここのマスターは元々β版から同じクランのメンバーだったんだよ。今はクランを抜けてここで喫茶店してんだわ。そんでこの個室なら話してることが外に聞こえないから内緒話には持ってこいなんだ」

「あースキルの構成を聞いたりとかはマナー違反とか言ってたしな。そこまで変なスキル取ってないから聞かれてもよかったんだが」

「まぁいいじゃんよ。それより飲み物頼もうぜ。食べ物はどーする?満腹値減ってるか?」


 そう、このFLOは満腹値がある。腹を空かせては戦は出来ぬ!的な感じでしっかりと食べないと満腹値が減っていく。

 減り過ぎると動きが鈍くなり、HPが徐々に減って行く仕様になっている。

 そしてちゃんとここでご飯も食べれると言う素晴らしい事が出来るのですよ!

 味もしっかりとするし匂いもするのだ!

 まぁ今はまだ全然動いてもないし満腹値は殆ど減ってないよね。


「いや、飲み物だけでいいや」


 とりあえず俺達はマスターを呼んでコーヒーを頼んだ。

 そうしてやっと本題に入る。


「で?なんでシウはこんなに遅れたんだ?スキルを悩むにしても時間掛けすぎじゃね?」

「これには深い事情がございましてですね?」


 かくかくしかじか

あれがこれでそーなりまして


「ほー、シウの時は水精霊が担当だったのか。俺の時は火の精霊だったぜ?暑苦しいオッサンだったぞ!でも話してるうちに意気投合してしまってな、称号で火精霊の祝福を貰ったんだ。羨ましいだろ?」

「それって普通に貰えるものなのか?」

「精霊に気に入られたら貰えるらしいぞ?他にも貰ってる人が居るしな」

「それなら俺も貰ったわ。でも祝福とは違うんだが…」

「は?祝福じゃなかったらなんなんだ?」

「んっと、水精霊ディーネの加護ってやつ」

「は?なんていった?加護?祝福のワンランク上じゃねーかよ!なんでそんなのが貰えんだよ!確かまだ誰も加護は貰ってないはずだぞ?!」


 おっと?まさかの事実ですわよ?ついでにあのブラシも見せておくか…


「ちなみに、こんなのも特典で貰ったんだが」

「ん?ブラシ?ちと鑑定すっぞ?………は?え?ん?最後の台詞はなにこれ?」


 やっぱりユーキングでもそう言うよね。俺でもポカーンなったしな。


「キャラクリ終わってチュートリアルも終わらせてユーキンにメッセ送る前にアイテムボックスとステ欄確認しろって言われてたの思い出して、ステを見たらあれだろ?そんでアイテムボックス確認したらなんか送り込まれてたんだわ」

「まじか。それならとりあえず大事に取っとけよ?もしかしたらまた精霊と会えるキーアイテムになるかもだし」


 このブラシがキーアイテム?!まさかの?!


「てかまた精霊と会えるのか?」

「精霊達は何処かに祀られてるからな、そこに行けば会えるかもな。とはいえ、俺はまだ行けてない…てかどこにあるか判明してないってのが現状だ」

「トッププレイヤーでもまだわかんねーのか。なら俺はかなり先になりそうだな」


 そんなこんな話しながらスキルについても話した。

 ユーキングが言うには無難との事。気配シリーズ2つも取ってるなら不意打ちスキルを取っておけば良かったのにと言われた。

 この3つのスキルがレベル30まで上がれば複合スキルが手に入ったとの事。

 まぁそのうち取りますわよ…多分…

 スキルの枠もレベル10になれば1枠追加、そして各エリアに居るボスを倒せば初回のみスキル枠を増やせるチケットを貰えるらしいからその時にでも考えますわ!!


 話を終えてとりあえずひと狩りいってみるか?と言われたので初フィールドに行きましょうぞ!

 とりあえずは装備は初心者シリーズのままだけどね…

 装備に関しては後でいいと言われますた…

 俺の弓の扱いを見たいらしい。


 では街の外にある平原に行ってみましょう!


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