拝啓、悪霊にしかなれなかった元英雄へ

「先生、私の右目、なんだか灰色に見えますね」
「知っているだろう？君の右目は傷を負った。もう使い物にはならないんだ」
「じゃあ、私がまだ生きているのはなぜ？」
「・・・それは、君が死ぬことを許されない存在だからだ」

少女はなぜ人を殺し続けるのか。

少女はなぜ生き続けるのか。

愛されたい少女は今日も手を汚し続ける。

それは、少女たちだけが知っている、母との永遠のお約束。

母の言は絶対じゃないんですか？そもそも母って何ですか？
尋ねる少女の目線の先には、もうとっくに母と呼べる人間は生きていなかった。