第10話 少しの幸せはある

こういうイジリが好きなのも、この少女の特徴だ。



第十話 少しの幸せぐらいはある




筋トレやら魔法の練習やら、何やら沢山のことをしたところで3日目。

ガチの暇が訪れたので帰宅を許してもらって家に帰ってきた。



そして現在霊塔。

少し霊気を消費したので回復に来ていた。


リーセル・虹翼の魔法使いは自分で霊気を回復することが出来る。

ヒーラー役までこなせるんだ。なんてお手軽な。

しかし、上限、と言うわけでも無いが、疲れたときに霊塔に霊気を回復しに来ることは効果的らしい。何より彼女自身がこの場所が好きだからだ。


そして何と言っても今日と明日は休みがもらえたのだ。

「現在時刻、午後11時30分ー」

「う・・、ま、まあ」

「即ち休みは明日だけという訳じゃな」

少女はさっ、っと霊塔内の神像脇から立ち上がると、マントを翻して歩き出した。


「そんなこと言わなくてもさー、たった一日でも今のリーセルには貴重なんだから。何しようか?」

「ふむ、確かに、何をするかは決めておらんかったのお。さて、どうするか」

「今回は疲れただろうから僕も何でも付き合うよ!」


少女は、ふむ、と眉間にしわを寄せながら指を折り始めた。

「まず昼の12時まで寝ることは確定じゃろ?」

「なんっでそうなるんだよ!確定なの!」

「ふふっ、冗談じゃ冗談。ほれ、帰るぞ」

「今何で僕が遊ばれたみたいになった?」

「知るかい、昼まで寝るなというのなら早く寝るのが筋ではないか?」

「君が言うかねそれを!」

「ふふふっ。では明日は9時に起きると約束しようか?」

ニヤリと楽しそうな笑みを浮かべて少女は嘲笑った。

この笑顔に心の底からの安心を感じながら僕は答えた。

「是非そうしてくれ!」


こうやって霊塔からの帰り道を僕たちは歩きながら帰った。

夜の自然光に当たり、リーセルもだいぶ回復できたようだった。

そしてリーセルの何故か毎回長いお風呂を終えて眠りについたのは1時半。

明日の朝の予想はもうみんな付いているだろう。

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