間章  休日の少女

第11話 え、朝に余裕?あるわけないでしょ

「で、なんっでこうなってるんだよ。フラグ回収一瞬じゃんか!」

現在時刻午前11時。

もういっそのこと、12時よりも早く起きたことに喜ぶべきなのか。

「まあまあ、昨日寝たのも1時半だったしの」

もう怒る気力すらも起きない。

「リン、そう呆れんでも。ほれ、今日は新しい制服のカスタマイズに行こうと思ったんじゃが、どうだ?」

「まだ制服増やす気なの。最早私服レベルの量だよ」

「いやいやほれ!ワシ、私服持っとらんし、ほぼあれが私服みたいなもんじゃろ?制服なら無料じゃし」

「はいはい分かったよ。いつもの本屋入り浸りよりはマシだろうしね」


ここはエル学の隣にある、学生の備品の店が集まる通り。

その一角である。

現在、少女は本日5着目の制服カスタマイズに取りかかっていた。

「馬鹿なの?なんでこんなに作ってんの!?君デザイナーに転身した方が良いんじゃない!?」

「おお、お怒りのようじゃの。時にお兄さん、ワシ次は舞用のを作りたいんじゃが」

「舞用?貴方結界術やることなんてあったのね。あるわよー舞用も。まずはこの中からベースを選んでもらって」

「うーーむ」

「ああ、気に入ったのが無かったら勿論特注でもかまわないわよ?」

「流石お兄さん、話が分かるのお」

「これはこれは、虹翼様にお褒めに与らせてもらって光栄ね。私のデザイン画持ってくるから少し待ってね」

気が合うらしい。何を二人して悪そうな顔しながらこそこそやってるんだか。


「って!だから何着作れば気が済むのって聞いてるんだけど!?」

「いやいやリンよ、舞用は必要であろ?いつワシも結界を貼る時が来るか分からんからのお」

「学校配布のがある!」

「あれはダサいじゃろう」

「知らんわそんなこと!」

「なあに?独りで騒いじゃって、良いデザインでも思いついた?」

「おお!これ、これじゃこれ!こういう和風のものがワシ欲しいぞ!」

「そう言うと思ったわ。貴方和装が好みだものね。じゃあ一旦ベースを作るから、また暇が出来たときに寄って頂戴」


「ありがとー」

「いいのよーまた来てね-」

「さーてリン!服はもう家にぶっ飛ばしたことだし、次はエルナードシティにアイスを食べに行きたいんじゃが!」

「休日を満喫されているようでなにより。お好きにどうぞ」

足軽に店を出、スカートをふわっと翻して笑ったと思えば、

光速で口が動いていた。元気な証拠だ。

「ぃよし!そうと決まればこの前耳にした、世の若者たちの心をかっ攫ったとかいうあのアイス屋へ」

そしてわざわざ書いてきたらしいメモをめくって言った。

しかし、

ガチャ

「あ」

「ん?」

すでに時刻は暗黒の世界と化していたのであった。

「明日、ワ、ワシ予定は何があったかの」

「え?学校だけど?」

「別に休」

「駄目だよ」

「む、いや任務って言えば」

「駄目だよ何で休めるつもりしてるの」

「・・・」

「そもそもこの時間ならアイス屋さん閉まってるでしょ」

「のお、・・」

「帰ろう」

「・・・はい」

こうして少女の貴重な休みはアチーブメント一つクリアで幕を閉じたのだった・・・。

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