第二章 少女の転機

第12話 ー転ー

昨日、アイスを食べれず終いで帰ってきたことにしょげてそのまま寝たから今日は目覚めが良いらしい。


早速昨日新調した制服に腕を通していた。

「不気味なんですけど」

「それは最早悪口なのではないか?」

「そうかもね、失礼しました」

「リン、ワシのことどうでも良くなってないか?」

「いやいやまさか、気分屋の我が儘だなーなんて思ってませんよ」

「それは思っている奴の台詞なんじゃぞ」

「そうだねーほら、そろそろ時間だよ」

「あー学校休みにならんかのお」

「むりむり―そんな人生都合良くなーい」

限界までゴネるつもりらしい。


ドンドンドン

「お?」

「誰だろう」

「なんじゃいこんな朝早くから-」

制服を爆速で着た少女はドアを開けた。

「虹翼様!至急、エルナード城までご同行願います!」

「・・なんじゃと?」

(リーセル、君まさか犯罪でも)

(んな訳無いじゃろこんな時に)

「手短に説明頼む」


「ああすみません突然。僕は王宮からの使いで、詳しい事情までは知らないんですが。昨日の戦争でマスターランクの4名が意識不明の重体に追い込まれたことに加え、王宮結界が解かれたとの報告がありました!」

「なんじゃと!?」

・・・あ、リアルにやばい感じ。世界は都合良く出来てるらしい。


――――説明しよう。王宮結界とは何か。

それは、エルナード城を覆うように掛けられた、現存する結界術の中で至宝の結界を指す。

また、エルナード城とは、エルナード王国の国権及び国王の居住地が全て集中するヤバイ場所である。

そんなヤバイ場所に掛けられた至宝の結界は、ずっと昔にスゴイ結界師が掛けてから一度も破られてこなかった鉄壁超えて光壁の守りなのだ。デデン。


「昨日の戦争の敵というのが、技術国スフォンドだったようで、この国の結界術の仕組みが完全に解析された可能性があると!」

「どういうことじゃ・・。簡単な戦場での結界なら未だしも王宮結界が解かれるなど、エルナードの歴史上にないじゃろ?」

「ええ、その通りで。加えて重傷のマスターランクの中にはリザーブ様まで!」

――――(えー遡って、マスターランク5級の風龍、あのナルシストの塊のことです)

「はあ!?どういうことじゃ!スフォンドなど、今になるまで大国だと耳にした覚えすら無いぞ!」

「とにかく!王宮魔法使いの方始め、貴方様をお呼びになっています!」

「おおそうじゃな、一先ず向かおう!」


現在、使いのお兄さん連れて上空。

「王宮結界が解かれたとおぬし言ったが、では今王宮はどうなっているんじゃ!」

「ぬあんですっってえ?」

「ちっ、飛行に慣れていなければそれはそうか」

お兄さんはリーセルに抱えられて上空を滑空中。

目も開かず、口がまともに閉まってなかった。

「着いてしまった方が早いよ!急ごう!」

「ああ分かっとる!」

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