第16話 霊気量・攻撃力測定 の巻

「はい、じゃあここに手のひらあててー」

「はいよー」

次は魔法使いの基礎能力の診断。

まずは霊気量の測定だ。

霊気量が多ければ多いほど、この球体が光るらしい。

数値としても出るけど、見た目でも分かる測定に進化していたらしい。いつの間にか。

ガゴッと変な音を立てながら球体が馬鹿みたいに光った。

「・・・バグ?」

「いや、多分ガチじゃな」

「・・・前の測定の時もそうだったか。はいはいオッケー」

真顔で聞いてきた診断のおじさんも、何か察したようにすぐ紙に向き直っていた。

「はいこれ、じゃあ次あっちな」

「うむ、いつもありがとうな、おじさん」

「かまわねえってことよ。メシ、ちゃんと食えよ」

後から聞いた話だけど、どうやらさっきの体重のおばさんも、霊気量のおじさんも、ロリの頃からの知り合いだそうだ。リーセルの事を心配してくれているんだろう。



ここからは、実践での数値測定になる。

ここまで来ると、もうリーセルの言うとおり、健康診断でもなんでもないけど。


エルナード城の地下施設には、エル学と魔法部省が共同で開発した、戦闘訓練施設がある。仮想空間のように、傷を負ってもそれが現実と繋がることは無く、敵も指定すれば湧き出せる、結構便利な空間だ。


1.攻撃力測定

 某施設の空間に、まさかのHP100万の敵が放たれ、それに全力で攻撃をたたき込む。攻撃をメインとしない役割の人にしたら、中々酷な話だ。

HP100万の敵なんて、民間の魔法協会から出される討伐懸賞でもありえない数値の敵だ。さすが仮想。


攻撃力測定、開始。

と端的な機械音声が流れたと思えば、リーセルは自身の背後上空に巨大な光矢を作り出した。リーセルが単体の敵相手に最も高火力が出せる技だ。

何やら気持ち悪いフォルムのHP100万に光矢が命中すると、リーセルは首をぶん回して、結果の表示される掲示板を振り返った。

――――測定結果、ダメージ90万

ぐはっと言いながら倒れたのは少女の方だった。

どうやら100万は固いと思っていたらしい。

健康診断を嫌がっていたのに、何故か数値は気になるらしい。

まるで猫が背中を沿った時のような姿勢になりながら、珍しくしょげていた。

まったく、バフがかけられるダメチャレじゃないんだから。


「はい、ダメージ90万だから、攻撃力は3000ってところかな」

「おいおぬし、1000盛れ」

例の用紙にサラサラと測定結果を書く男の子に、少女はガンを飛ばしながら言った。1000て、盛りすぎだろ。

「盛っても盛らなくても一位に変わりないでしょ」

「初等部からの付き合いじゃろー」

「むーりー。はい、次行って」

「ぐぬぬ、手厳しくなったのおぬし」

こちらの男の子はどうやらエル学の友人らしい。優秀な子は学生でもこんな所に派遣されるのか。



友人いたのか!






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