第17話 防御力測定・事件 の巻

2.防御力測定

 某施設の空間にて、次は防御力の測定だ。

ここでは、攻撃力が徐々に上がる敵からの攻撃を受け続ける。

受けきれなくて吹っ飛んだとしても、仮想のため死にはしないからいけるという。

何がのかは知らないが、何せここではシールドが許可されている。

ヒールは禁止、シールドはオッケーだから、ここはシールダーや結界師に有利かな。


防御力測定、開始。

ポンッと少女の目の前に、小さいワンコが現れた。

「ぬ、こっからなのか」

そして早30分、今の敵は、攻撃力の時のきもフォルム敵を優に超すデカさの何かだ。

ちびワンコから始まり、兵隊、大砲、何やらキモい何かシリーズと順番に来てはいるが、全く終わる気配が無い。

「おい、これはいつまでやればいいんじゃ?」

リーセルの光壁に耐久値の限界はないのだ。

――――測定終了

キリが無いので終わったみたいだ。


「大丈夫か?」

「ん?おお、先生ではないか!なんじゃ、学園から左遷されたのか?」

「言い方やめろ」

「食い気味じゃな」

僕は漫才を見ているのか?


「君は随分大物になったみたいだな」

「生憎な。先生こそ、左遷以外変わりはなさそうじゃな」

少しムスッとした顔で少女は答えた。

「そうでもないよ。非魔法使いのエンジニアの現役寿命は長くない。随分歳も取ったし、君のような良い教え子が出来たのは幸せなことかな」

孫に話すように柔らかな口調でじいさんは言った。

「なんじゃ、嬉しい事言ってくれるのう。まあワシが優秀であることは否定せんがな!なははは」

「元気そうで安心したよ。はいこれ、測定結果。防御力は数値計測不可能、という結果になるそうだ」

「うむ、ありがとう」

「ちゃんとご飯食べるんだぞ」

「ぐっ、努力はしている」


リーセルは地味に知り合いが多い定期。

否、同じ年頃の友人は皆無。


3.基礎体力測定

 某施設の仮想空間にて、今度はいわゆる体力テストだ。

足の速さ、投射距離の二種類だけみたいだけど。

「100m走なんだけど、やる?」

「まあ測らんでもいい気はするが」

「だよね、はい、一秒以下で書いとく」

今度はエルナード城でたまにあう雑用のお姉さんとご対面。


投射距離のゴツいお兄さんにも似たようなことを言われ、仮想空間での測定は終わった。

最後に結果の紙を上に出しに行く。


「ちなみにだが、ワシ、魔法使わなかったら足クソ遅いの、知っとったか?」

「そうなんだ」

へー。


「ほい」

「凄く時期はずれに健康診断に来た子がいるって騒がれたけど、あなただったのね」

「来ただけ」

「分かってるわ偉い偉い」

て、手なずけてる、、。

「ふふん、さすが母さん」

「もう母じゃないですけど」


「じゃ、ワシはこれで」

紙を素早く机に置くと、少女は爆速で帰ろうとしていた。

「こら」

結果を確認しながら、リーセル曰く母さんがチラリと少女を見ながら言った。

(どしたんすか)

(馬鹿、ここで帰らんとワシは、)

「注射、行ってから帰りなさい」

「嫌じゃ、ワシは帰る」

「行きなさい」

「やじゃ!」

何やら注射で言い合いをしている。少女の苦手なこと。注射。


「虹翼様!やっと追いついた。はあ、はあ」

「はい、行ってらっしゃい」

「くそう、巻いたと思っておったのに」

半場引きずられるように少女は注射に連れて行かれた。


てっきり城の医局にでも行くのかと思ったら、連れて行かれたのは魔法部省の研究科だった。

「おい貴様、はなしやがれ」

口悪。ガン飛ばしてる・・。

「申し訳ありません。部省長からの命令でして」

「くそ、良い番犬じゃなおぬし」

「光栄です」


「かーーっ、数年に一回のこれに備えて、今までブッチしてきたというのにー」

と少女がウダウダ行っている間に準備は整えられていった。

普通に注射と、血液摂取もやるらしい。

その割には目隠しまでされて、随分大がかりだな。


「がーーーーーー

そもそも注射自体も嫌いらしい。

悲鳴が止まらない。


・・・え、長くない?血液摂取が始まってから早10分弱。

さすがに異変を感じてリーセルに声をかける。

返事が無い。気絶?

と慌てふためいたが、次第に僕も意識を保てなくなっていった。



タイミングの悪いマメ情報

リーセルが母さんと呼んだ、リーセル手なずけ女性は、リーセルがまだ学園の寮に住んでいた頃お世話になった女性だそう。

寮母さんみたいなものかな。

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