第39話 黒い〇
「何してやがる!ただのガキだぞ!なにこんなにやられてんだ!あぁ?」
男が必死で部下に声を張っている。
背中にタンク背負った組は、なにかの間違いだと、白い霧を少女に撒き続ける。
「視界わりぃなぁ」
「ごめんごめん、頑張りますから。負荷あげるよ?」
身長、160cm 体重、37㎏ 白すぎる肌に、紅い左目と灰色の右目
あまりに華奢すぎるその少女は、最強の魔法使い
だが、こうも呼ばれている
国の最強兵器
少女が、 大鎌を振り下ろすと、敵が血を流す
少女には、大砲を当てようが赤い液体は流れない
圧倒的な速度と硬度を失っても尚、少女は最強兵器だ。
格闘の授業は必須受講ではない。
魔法使いにおいて、格闘をするタイミングは、ものによれば、一生しないやつもいる。
「どれだけ減った?」
「えー、よく見積もって500人かなぁ」
「えーーー」
「地道に頑張ろう」
「解析は?」
「もうちょい」
しかし魔法を失ったことで、少女はその俊足を失っていた。
(第17話参照・少女は素の足の速さは遅い)
常時発動の光壁も、無敵だった理由は、シールドにできた傷をすぐに魔法で修復していたからだ。
それが、できない今は、少しずつ硬さが柔らかくなってきている。
「ウッ」
踏み込んだタイミングで砲撃が来た。
体を全力で後ろに反らして何とか避ける、が、そこに刃物が飛んでくる。
首を曲げるが、残った髪の毛が、グサッと切られた。
「・・・・・・・うわぁ」
右の束が10cmほど切れた。
「解析は!?」
「もう終わるから!耐えろ!」
大鎌を、後ろに助走をつけて一気に振りかざした。
魔法なしで出来るのはここまでだった。
大鎌の重さに体がわずかに持っていかれたそのタイミングで、指揮官男の剣が目の前に現れた。
「クッ」
首を必死で捻ってよけるが、顔をわずかに擦った。
サッ、と切れた頬から、血が流れだした。
「!?おいおいお前・・・」
「光壁がもたなかった。ごめん」
指揮官男は、少女の頬から流れた血を見て愕然とした。
「なんだ、その色は」
少女の頬から流れた血は黒色。
「悪霊らしくてよかろう?おぬしらが望んだことじゃ」
「解析完了!」
「虹翼!撤退しろ!これは命令だ!従ってくれ!」
「分かっとるわ指揮官。ワシとて勝てない戦いに命を懸けるほど、正義の味方ではない」
少女は、周囲に円状の斬撃攻撃をまき散らすと、領分の空中に飛び上がった。
そして、一気に国までの空を飛び駆けた。
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