第20話 王宮結界編 ー終ー

「いやー実に楽な作業だったのう」

「かっった。何この結界」

「何をいっとる。当たり前じゃろ。誰作だと思っとるんじゃ」

えっへん。と自信満々に少女は答えた。


今、張った結界の外に来ている。

「これ、国中に張れば?」

「それは舞が疲れるじゃろ」

「霊気の心配はしないのね」


当たり前だが、結界を張るために、霊気だけが必要条件な訳はない。

それが王宮結界のような大がかりな物ならなおさらだ。

より性能の高い結界とは、それが決して破られない結界であることと同義だ。

そして、破られない結界を作るためには、結界に組み込む仕組みをエグい内容の量にする、に限る。


リーセル固有の霊気量、そして、無駄に読み続けてきた魔術書の知識が役立ったみたいだ。

今、この国が総力をかけてこの結界を解こうとしても、恐らくすぐには無理だろう。

少女が知っている数多ある魔法を縦横に織り込み、加えて国外の知識すら入れ込んだらしい。

「ワシ、この結界、解除できるのだろうか」

「良いじゃん。国王と重臣の人たち、めっちゃ喜んでたし」

「ま、それもそうじゃな。後でもらえる大量の報酬を楽しみにしておこう」



「あ、ああ、ご苦労。お前、結界術、こんなに卓越してたのか」

魔法部省の長やら他の部省の長やらが、結界を見つめてぼーっとしていた。

「じゃ、ワシは帰るぞ。解除の方法は、後日魔術書にして届けよう」

「あ、ああ、頼む」


「あの子の手綱、離しては絶対駄目ですね・・」

「間違いないな・・」


「おい、待たれよ。虹翼殿」

「あ?ワシはもう帰るんじゃy・・・おぬし、王様か」

(無礼すぎて消えたい)

「そのような敬称を使われる身分ではないぞ。なんじゃ?」

無礼すぎる少女を叱ろうと、部省長たちが責めに来たが、それを抑えて王様は言った。

「感謝する。国を代表して礼を言おう」

「うげーー」

(馬鹿。馬鹿すぎる。うちの主人が馬鹿すぎる)


呆れと見下しが混ざったような表情で国王を見ている。

主人が無礼すぎる定期・・・。こんな定期いらん。

「・・・そうか。君は立派な者だな」

国王は、ただの税金無駄遣い野郎では無いのかもしれない。

「ワシの存在理由は自分の為だけじゃ」


浅く微笑んだ少女は、軍服のマントを翻して空中に舞った。

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