第28話 少女の秘密
「リーセルー。着替えってあるの?」
「おー」
「おっけー」
南側への弾丸ツアーの日の夜。
今日は久しぶりに学園の寮にお泊まりだ。
リーセルも幼い頃は、寮生活を送っていた。
少年二人は今も寮生活で、二人部屋の為、二人の部屋のお風呂を借りている、というタイミングです。
「ほー見た目とは裏腹に、気持ちいいもんじゃなー」
大量の生徒を抱える寮は、少年コンビが超優秀生徒とはいえ、寮の施設費にお金を回す余裕はないらしい。
お風呂も、さび付いていないと言えば嘘になるが、たまに風で汚れを吹っ飛ばしているらしい。
(あざと野郎は綺麗好きであった)
「さびは無いが、どこか隙間風を入れる穴があるのではないか?」
お風呂という時間は、少女が自身から光壁を外せる数少ない時間なのだ。
しかしそれが今は裏目に出たのか、寒いらしい。
「まあ、そこまで文句も言ってられないでしょ。三人とも、海水に突っ込んでたんだから」
「それは酒豪のテンションが悪い」
粗方予想はついたと思うけど、浜辺に着いたところで、酒豪が騒いでバイクが横転、全員海にドボン。となった。
ご丁寧に、あざと少年がシャンプーとリンスまで用意してくれた。
お風呂嫌いな少女も、今日に限っては快適なお風呂時間を過ごしている。
と思った矢先、
ブーーーーン・・・
「おい、なんじゃこの音」
血相変えて少女が眉間にしわを寄せたのもそのはず。
虫の羽音がする。
探知を全開にして捜索した結果、ただの蚊だった。
(・・・少女の悲鳴にしばしお付き合い下さい・・・)
(うちでは虫なんて出ないもんで。)
「なんだい?悲鳴なんて上げて」
心配してあざと少年が来てくれたと思ったら容赦なくドアを開けやがった。マジか。
「か、蚊じゃ・・」
「またしょうもないことで・・・」
あざと少年も呆れて頭を抱えた。申し訳ない。
「どーしたの?」
晩酌中の酒豪少年まで、顔をのぞかせた。
「蚊だって」
「リーセルって、変なところでビビりな性格出るよねー」
「ば、馬鹿にするでないz・・・」
突然、冷や汗ダラダラになったリーセルさん。僕も思わず叫びたくなった。
「ぎゃーーーーーーーーー、わ、ワシの腕に虫如きがくっつくな!今すぐ退散しろ!しばくぞ!〇されたくなかったら今すぐ消えろ!」
「既に叩き潰しといてそれはないよ」
「貴様ら、次私がここに来るまでに、穴の一つも残らぬように直しておけ」
そんなことでガン飛ばさんでも・・・。と陽気な考えでいられたのもつかの間だった。
しばらく少女の貧乳話で盛り上がられ、二人が部屋に戻った。
不意に、虫が止まっていた位置の腕を見たとき、少女は硬直した。
「どった?」
「わ、ワシの体内には、黒いブツが入っているのか?」
「は?」
「先の虫が血を吸っていった所、黒い液体が流れ出ておる」
・・・僕、リン。今世紀最大の失態を犯しました。
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