第14話 王宮結界編 ー中 第一幕ー

現在、僕たちはエルナード城の一室にいる。

時刻は夜。

気分上がり気味で学校に行こうとしてた日の夜だ。


明日から、王宮結界を張る儀式に入ることが決まった。

今は気休め程度に簡易結界を張っているらしい。

明日の朝には一度家に帰って必要なものを取りに行かないといけない。

まさか舞用の服を作ったタイミングで結界を張ることになるとは。最早怖い。



王宮結界を張る儀式は数日間に及ぶほどの大がかりなものだ。

正直なところ、僕は結界についての知識は浅く、王宮結界の張り方も知らない。

結界を張るための特別な道具は国側が用意する為、こちらからは初等部の時に使った結界術の道具を持参するだけでいいそうだ。

結界張りの為の服があり、それを着用した魔術師が神像の前で丸一日をかけて詠唱と舞を繰り返し、その魔術師の全ての霊気を注ぐことで完成するそう。


上層部がリーセルに結界を張ることを頼んできたのはここに理由があった。

王宮魔法使いにはリーセルよりも結界面では優れた師が多く存在する。

しかし王都結界のバフの副作用で霊気が脆弱になっている彼らに、結界を張れるほどの霊気が無いということだ。


幸い、何故かリーセルは王都結界のような大がかりな結界を以前張った経験があるらしい。

いつ、どんな結界を張ったのか、聞いてみたが

「さあ、ワシもババアじゃからのお」

と何やらはぐらかされてしまった。

ババアって言っても口調がそうなだけなのに。


当の本人は、舞の振りを記憶の奥底から思い出し、学校が休めることにルンルンのご様子だ。

この子緊張とかないのかな。



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