第8話

 ニマニマした顔で、『なあに、エルクは私との間に何も無かった方が良かったの』と聞いて来たルリにエルクは、真剣な顔で返事を返した。


「あるに決まっているだろ。もしそんなことがあってルリの体調が悪くなったりしたら大事だろ。あ、んんっ、そ、そう言うことはこのダンジョンを出てからするとしよう」


『え……』


「え、も、もしかして俺と、そ、その、エ、エロいことするのは嫌だったか。嫌なら今の内にきっぱり言ってくれると、俺としても心の整理が出来るからありがたいんだけど」


『え、ああ、べ、別に嫌じゃないんだけど、本当に私となんてしてくれるの。自分で言うのも悲しいけど、私は獣よ。それでも本当に良いの』


「ああ、俺は、種族とか全然気にしないからな。全く問題ない」


『そ、そう。そうなのね。全く、これから地上に向けてダンジョンを攻略して行くって言うのに調子が狂う様なことを言わないでよね。どどど、どうしよう。嬉しすぎてまともにエルクの顔を見ることが出来なくなっちゃったじゃない。一体どうしてくれるのよ。この女たらしめ』


 エルクはルリが後半何か言っていたのはわかったが、まあ、大したことじゃないだろ。と思い気にしないことにした。


「よし、さっさと朝食を食ってダンジョンの攻略を再開しますか」


 そして、エルクとルリは、朝食を食べた後、箱庭を出て百八十九階層に上って行った。


 ダンジョン攻略を再開した俺とルリは、今、百五十五階層の中ボス部屋の前にいた。


「今日は、この中ボスまでだな」


『そうね。途中のボスや中ボス以外は全部エルクの戦闘経験を積ませるためにエルクに倒してもらっていたから、ここまで来るのに少し時間がかかってしまったものね』


「でも、そのおかげで俺って大分強くなったよな」


『ええ、そうね。明日からはボス以外はエルクが倒すと言うことで良いんじゃないかしら、エルクにはまだまだ戦闘経験が足りていないのだしね』


「ああ、俺のために世話をかけるな。よし、それじゃあ今日の最終戦に臨むとするか」


 そして、エルクとルリは中ボスの部屋へと入って行った。


 中ボスの部屋に入ってみると、そこには漆黒の体をしたワイバーンが三体の普通のワイバーンを伴ってまるでダンジョンの外かの様に広がる青空の下を優雅に飛んでいた。


「まじか、ボス部屋にもこう言う使用があったんだな。こう言うのは、ボス部屋以外の階層にしかないと思っていたよ。ところで、あのワイバーンたち欲しいな。テイムしてみるかな」


『良いんじゃないかしら。箱庭も私たちだけだと少し寂しいしね』


 ルリとも話してあのワイバーンたちをテイムしてみることにしたエルクは、上空を飛んでいるワイバーンたちの近くまで行って、テイムをかけてみた。


【エルクは、ブラックワイバーン一体とワイバーン三体のテイムに成功しました】


【ブラックワイバーン一体とワイバーン三体がそれぞれセイントキングワイバーンとセイントワイバーンに強制進化しました。これによりセイントキングワイバーンとセイントワイバーンは全て、魔獣から聖獣へと変化したため神獣の箱庭へ入れることが可能になりました】


【エルクは、セイントキングワイバーンとセイントワイバーンから仙術と聖術を獲得しました。聖術は仙術の下位術なので仙術に統合されます】


 エルクがワイバーンたちのテイムに成功すると、ワイバーンたちがエルクとルリを囲む形で降りて来た。


「お前たち、取り敢えずこれからよろしくな」


『はっ、我妻と子ども共々お世話になります。我が主』


「え、お前ら家族だったの」


『はい。それで、名付けなのですが、出来れば今の名をそのまま付けていただけないでしょうか。ぶしつけなお願いだとは思いますがどうぞよろしくお願いします』


「わかった。それで、お前たちは何て言う名前なんだ」


『はい。我はブロン、妻はトイ二ー、そして、息子と娘のバズとノワールです』


 エルクは、ワイバーン一家にそれぞれ名前を付けてあげると、箱庭のゲートを開いて中に入れてあげた。








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