第39話

 村人達の治療を終えてから数時間がたった頃、教会の外の空き地にテーブルを出してエルク達が昼食を取っていると、教会の方から音がしたのでそちらの方を見てみると、教会の扉が開いて丁度、何人か人が出て来たところだった。


「あ、村長夫人、気が付かれたんですね。気分はどうですか」


「ええ、お陰様でとてもいい気分です」


 村長夫人がエルクにお礼を言っていると、夫人の隣にいた同い年位のおじさんが夫人に話しかけた。


「おまえ、この人達は一体どなただい」


「あなた、この方々は私達を治療して下さった人達ですよ。あ、そうだわ。エルクさん、でしたね紹介します。私の隣にいるこの人は私の夫でこの村の村長をしているカイムと言います。あなた方が受けて下さいました依頼を出した者です」


「依頼を受けてくれた、と言うことは、あなた方は冒険者の方でしたか、これはご挨拶が遅れまして申し訳ありませんでした。私、この村の村長を務めておりますカイムと申します。今回は我々を救ってくださいましてありがとうございます。今夜は是非我が家にお泊り下さい。私が案内したい所なのですが、私はまだやる事が残っておりますので、妻に案内させます。どうぞ我が家にて寛いでいて下さい」


「それじゃあ、お言葉に甘えて今夜は止まらせて貰おうかな」


 エルクは皆の顔を見てから村長にそう答えると奥さんに案内されて、また村長の家にお邪魔することになった。


 そして、数時間後、村長が家に戻って来て、皆で夕食を食べた後、今回の件で報酬を上乗せすることになりそうなのだが、この村には依頼書に記載されている以上の金額を出すのは現状、厳しいと言う事を村長はエルク達に話した。


「ああ、村長、そう言う事なら別に上乗せはしなくて良いよ。幸い今回の依頼ではキラーアントの巣で結構な量の素材を手に入れているからな。それに俺達は金には困っていないんだ。だから、何の心配も無いよ」


「そうですか。本当に重ね重ねありがとうございます」


 そして、その日エルク達は、村長の家でぐっすりと眠りに就いた。


 因みに井戸の毒は教会の外の空き地で食事をする前に浄化済みである。


 

 翌日、エルク達は朝食を村長の家で頂くと、午前九時を少し回った頃にテキト村を後にし、辺境の街、マスイへと帰って行った。


 数時間の馬車の移動を経てマスイの街に戻って来たエルク達は、そのままギルドへと向かった。






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