第55話 箱庭内のブロンたち視点

 エルクとルリが冒険者ギルドで依頼を受けている時、箱庭内の城の大会議室には食堂から移動して来たブロン達が各自に配られた資料に目を通しつつ最初にどの動物や魔物、薬草を捕獲、採取して来るかを話し合っていた。


「私達が担当する薬草採集班は、極一般的な薬草や毒消し草などの一般的なポーションの材料になる薬草をはじめ、秘薬や伝説や神話に出て来る霊薬や神薬の材料になる薬草をはじめとする植物を中心にこのサンクリット王国に自生している植物を採取して来ようと考えています。何か意見のある方は何でも言って下さい」


 薬草採取班であるフェリスと娘のアリス以外の皆がおたがいに顔を見合って頷き合うと、皆を代表してブロンがフェリスに質問をした。


「では一つ良いだろうか。先ず、フェリス達の意見には皆、全面的に賛成だ。そこは心配しなくていい。しかしだな、先程の話だと秘薬は、まだわかるが霊薬や神薬の材料になる植物はそもそもこのサンクリット王国に自生しているのか。それに我々はどの薬草や植物が霊薬や神薬そして、一部の秘薬の材料になるか全くわかっていないんだぞ。その辺の説明をしてくれるか」


「あ、その事ですか。それでしたらこちらの辞典になります。昨夜ご主人様に許可を得てご主人様の書斎にある本を物色していたのですが、その時にこの世界の植物大辞典と言う本を見つけまして、この本に秘薬から霊薬、神薬を作るのに必要な材料の情報が載っていましたので、この情報は間違いありません。ご主人様曰くこの本はアダマンタイト級ダンジョン『神狼の住処』で手に入れたようですしね。あ、他に世界の魔物大辞典と世界の動物大辞典と言う本もありましたよ。この後確認してみて下さい」


 その後、魔物、動物捕獲班であるブロンとトイニーは、同じ班のノワールとバズをエルクの書斎に行かせ、世界の魔物大辞典と世界の動物大辞典を取って来させた。


「成程、この辞典はどの魔物や動物がこの国のどこに生息しているかから生態などの色々な情報が乗っているな。うむ、この辞典を参考にしてどの魔物や動物を捕獲するかを決めて行った方が確実かも知れないな。フェリス、情報を教えてくれて感謝する。まあ、出来れば、昨夜のうちに教えてくれていれば嬉しかったがな」


「すいません。私達はこの中で一番新参者なので、ご主人様にお褒め頂きたくて皆様に情報をお伝えするのが、遅くなってしまいました。今後はこの様なことが無い様にしますので、何卒お許しください」


「な~に、我々は別にフェリス達に怒っている訳ではないのだ。只、我々は皆、主殿の配下であり仲間なのだと言う事を今一度心に留め置いてくれると、我々は嬉しく思う」


「はいはい。難しい話はここまでにして、早いとこ捕獲する魔物と動物を決めて出発しようよ。早く仕事を終わらせて主様に褒めて貰って頭なでなでしてほしいからさ」


 突然のノワールの言葉に話し合っていた大人たちは、ポカンと口を暫くの間開けていたが、暫くすると皆一斉に笑い始めた。


 そして、ブロン達は三つの班で意見を出し合い捕獲、採取する魔物や動物、薬草の内容を詰めて行き、決まった内容を書いた資料を各班共に二枚ずつ用意してブロンとトイニー、フェリスが二枚の内の一枚を自分の懐に仕舞うと、残りの一枚をエルクの書斎にある執務机の上に置き、各自身支度を整えて城の玄関に設置してある箱庭のゲートから外の世界へと出発して行った。









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