第70話

 グースはエルクとルリにそう言うと、翼を羽ばたかせて一気にその場から飛び去っていった。


 グースが飛び去るのを見送ったエルクとルリは、少しの間グースが飛び去って行った方向の空を見上げていたが、お互いに辺りを警戒するために張っていた気配察知に魔物達の反応が引っ掛かった事で現実に引き戻され辺りの警戒をし始めた。


「グースが居ないなった途端に、今までこの迷いの森の中心部に居た魔物達やその魔物達によって住処をおわれていた魔物達も続々と元から居た場所に戻り始めたみたいだな」


「ええ、そうね。大怪我をしていたとは言え本当にはた迷惑な巨大なトカゲだったわね」


「おいおい、ルリ、お前、そんなにグースのことが嫌いだったのか。でも、その巨大なトカゲって言うのグースの前では言うなよ。あいつ、あの感じだとそれを聞いただけで、また、暫く泣き続けるぞ。一々泣き止むのを待つのが面倒くさいからさ」


「そうね。それは面倒くさいわ。グースの前では言わない様に気を付けるわ」


 そして、エルクは自分とルリに仙術『神隠し』を施すとその場を立ち去り、浅層に出て来てしまっていたオーガ達の集落がどうなっているかを確認するためにオーガ達の集落を目指して歩き出した。


 エルクとルリが最深部から浅層と中層の境付近にあるオーガの集落近くに到着すると、オーガ達は丁度、浅層と中層の境付近に今回新しく作った集落を放棄して、元々居た中層へと戻る準備をしていた。


「どうやら、オーガ達は中層に戻るみたいだな」


「ええ、その様ね。これで無駄にオーガ達を殺さなくてもよくなったわね。私、正直今回は、グースが中心部に降りて休憩していたせいで、住処をおわれて浅層に出て来るしかなかったオーガ達を殺したくなかったのよね。勿論、街道で悪さをしていたオーガは別だけどね」


「まあ、そうだよな。俺も正直、あの集落に居るオーガ達を殺さずに済んで、内心良かったって思ってたんだよ。よし、それじゃあ、オーガ達の移動を見届けたら俺達もマスイの街に帰ろうか」


「そうね。そうしましょう」


 そして、エルクとルリはオーガ達が中層へと戻って行くのを数時間かけて見届けると、その場を後にし、マスイの街へと帰って行った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回は少し短めになってしまいました。






最後まで読んでいただきありがとうございます。


『面白かった!続きが気になる!今後の展開が気になる!』と思いましたら


☆☆☆から、作品の応援をお願いします。


面白かったら☆三つ、つまらないと思ったら☆ひとつでも大丈夫です!


何卒よろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る