第66話

 お互いに十体ずつオーガを倒したエルクとルリは、オーガの死体を無限収納に回収すると、街道にそのまま置いてあった魔道馬車の前に集合し、一度馬車の中に入りこの後、どの様に動くかについて馬車内のリビングで紅茶を飲みながら話し始めた。


「それで、ルリ、気配察知に引っ掛かったオーガの集落の規模はどの位だったんだ。オーガの数によっては、少し間引かないといけないからな」


「そうね。ざっとの数で良いならわかったわよ。集落にいるオーガの数は、およそ、五十体ね。勿論、雌や子供も数に入れてだけどね」


「そうか、それじゃあ、大体、十体から二十体は間引かないといけないかもな。まあ、出来るだけ間引く数を少なくして、丁重に森の中層に帰ってもらうとするか」


「そうね。で、問題はその前の中層か深層で起きている問題についてね。こればかりは、実際に現地に行って調べてみるしかないわ」


「そうだな。受付嬢には、『森の奥、中層や深層には入らないで下さいね』って言われているけど、今回ばかりは入らない訳にはいかないもんな。さてと、この紅茶を飲み終えたら先ずは、森の中層に向かうか」


 そして、紅茶を飲み終えたエルクとルリは、魔道馬車から外に出ると、エルクは魔道馬車と魔道馬を無限収納に収納して森の中へと入って行った。


 森の中へと入ったエルクとルリは、オーガの集落の間引きを後回しにして先に進むと、約一時間程で森の浅層と中層の境までたどり着いた。


「ルリ、ここから先がこの森の中層だ。中層からは何が起きるかわからないからここから先は今まで以上に慎重に進むぞ」


「ええ、わかっているわ」


 そして、中層へと足を踏み入れたエルクとルリは、それから数十分間お互いの気配察知をフル稼働させて歩き続けていた。


「今のところ大したことは起きてないわね。魔物にも余り遭遇しないし、何と言うかとても静かだって言う印象よね」


「ああ、確かにそうだな。でも、そのとても静かだと言う印象が、この森ではとても異常なことなんだよ。この迷いの森は下はブロンズ級から上はアダマンタイト級、未確認だがもしかしたらアダマンタイト級の一つ上のオリハルコン級まで生息している様な魔物の巣窟なんだ。こんなに魔物と出会わないことの方が異常事態なんだよ」


「成程、そう言う事なのね。それじゃあ、この異常事態の原因があるとするなら、この先の深層部か最深部にあると言う事ね」


「そう言う事だ。もし、この異常事態の原因がオリハルコン級の魔物、又はそれ以上の魔物や者の仕業だとしたら、今回のこの依頼は俺達にとって今までにない程に危険な依頼になる可能性がある。十分に気を引き締めて先に進もう」


「ええ、わかったわ」


 そして、周囲を警戒しながらエルクとルリは、迷いの森の中層部を深層部に向かって進んで行った。






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