第80話

 緊急の報告を伝えに来た兵士はそう言うと、速足で街の中に戻って行った。


 緊急報告をしに来た兵士を見送ったトイニー達は、これから二手に分かれて新たに氾濫した北のゴールド級ダンジョンと西のシルバー級ダンジョンに向かうことを従魔間、従魔と主人の間で使うことが出来る念話でエルク達四人に伝えた。


『主様、ルリ様、それにあなたにバズ、そう言うことですから一時的になるとは思いますが、門の防衛を外れます。よろしいでしょうか』


『ああ、大丈夫だと思うよ』


『ええ、魔物達は一体たりとも取り逃さないわ。こっちの事は私達に任せてあなた達は直ぐに北のゴールド級ダンジョンと西のシルバー級ダンジョンに向かいなさい』


『主様、ルリ様、ありがとうございます。と言うことで、主様たちからのお許しが出ましたから私達は、一度、門の防衛を外れます。あなた、バズ、間違っても魔物を取り逃して主様やルリ様、そして、街の人達に迷惑を掛けない様にして下さいね。お願いしますよ。では、私達はこれで失礼します』


 そして、エルク達との念話を切ったトイニー、ノワール、フェリス、アリスの四人は、北と西に向かってそれぞれ走り出した。



 魔物が氾濫した北のゴールド級ダンジョンに向かったトイニーとノワールは、暫くそのまま走り続けていると前方にマスイの街に向かって進軍して来る魔物達の群れを発見した。


「どうやら、あれがゴールド級ダンジョンから氾濫した魔物達みたいですね。見たところ獣系の魔物で構成されている様ですね。今のところ溢れて来ているのはブロンズ級魔物までの様ですね」


「そうですわね。お母さま。でも、この魔物達が溢れているダンジョンはゴールド級ダンジョンですから、これからシルバー級、ゴールド級の魔物達が溢れて来ますわよ。もしかしたらダンジョンボスのミスリル級の魔物も出て来るかも知れませんわ」


「そうですね。ですが、もしかしたらではなく、確実にダンジョンボスのミスリル級魔物は出て来ます。それがスタンピード、氾濫と言うものですからね。さてと、ノワール、取り敢えず、今溢れている魔物を一掃しますよ。私に続きなさい」


 トイニーはノワールにそう言うとマスイの街の向かって進軍してきている魔物の群れに向かって駆けだして行った。



 トイニーについて来るように言われたノワールは、母親のトイニーの後ろを少し離れて追いかけて、トイニーが純粋な魔力を両腕と両足に纏わせて魔物の群れに飛び込んで行くのを見て、ノワールも両腕と両足に雷の魔力を纏わせて魔物の群れに飛び込んで行った。



 両腕と両足に純粋な魔力を纏わせて魔物の群れに飛び込んで行ったトイニーは、魔力を纏うことによって強化された身体能力をフルに使って自分の周りに群がっている魔物達を容赦なく殴り殺し蹴り殺して行った。


 トイニーと同じ様に両腕と両足に雷の魔力を纏わせて魔物の群れに飛び込んで行ったノワールは、雷が放電している腕や足で自分に襲いかかって来る魔物達の頭や胸を一撃でくり抜き、消し飛ばしながら魔物達を次々と倒して行った。




 


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