第27話
テキト村を出たエルクとルリ、ブロン、トイニーはそのまま街道を外れて草原を少し進み森の入口へとやって来た。
「よし、それじゃあ、ここで別れるぞ。人面草の葉は任せたからな」
「「はっ、お任せ下さい」」
ブロンとトイニーに心強い返事を聞いたエルクは、ルリを伴ってキラーアントの巣を探しに森の中へと入って行った。
森の中に入ってキラーアントの巣を探すこと数十分、やっと手掛かりと言えるキラーアントに遭遇した。
「ルリ、あれがキラーアントだ。まあ、俺達からしたらザコだな。俺たちが少し警戒しないといけないのは巣にいる可能性があるキラーアントジェネラルより上位種からだ。キラーアントジェネラルはギルドが推定している脅威等級がミスリル級だ。まあ、アダマンタイト級ダンジョン『神獣の住処』の八十階層台をウロウロしている魔物と同じ位の強さってことだ。因みにラスボスのエンプレスキラーアントはオリハルコン級に指定されている。まあ、ブラックフェンリルと同じ位だな」
「あら、そうなの。なら酸にさえ気お付ければ私たちにとってはそこまで危険な相手ではないわね。まあ、エンプレスキラーアントの相手をするのがブロンだったら少し手こずりそうだけれど」
「お、あのキラーアント、どうやら移動するみたいだぞ。その先に巣が有るかも知れないな。あれの後をこっそり追いかけよう」
「ええ」
そして、エルクとルリは単独行動をしているキラーアントの後を気配を消しながら追いかけた。
エルクたちがキラーアントの後を追いかけていると、そのキラーアントは辺りを見回した後近くにある草むらに入って行った。
エルクたちは少し時間を置いてからキラーアントが入って行った草むらに近づきその辺りを調べてみた。
「あ、エルク、ここに穴があるわよ」
「え、本当か」
エルクはルリの声を聞いてその場に向かった。
「本当だ。どうやらここがキラーアントの巣で間違いないらしいな。よし、入るか。ルリ、明かりを用意してくれ」
「わかったわ」
ルリはそう言うと生活魔法のライトを使って明かりを用意した。
「エルク、準備出来たわよ」
「よし、じゃあ行こう」
そして、エルクとルリはキラーアントの巣へと入って行った。
巣の中は大人二人が余裕で並んで歩けるぐらい広く作られていたが、その代わりジメジメと湿気ていた。
「この肌にまとわり付くような湿気、私、余り長時間はこの場所にいたくないわね。後で、お風呂を所望するわ」
「はいはい。確かに俺もこの肌にまとわりつく感じは好きじゃないな。さっさと済ませてここから出よう」
「そうね。急ぎましょう。村人たちの事もあるしね」
エルクとルリは一本道を真っすぐ進んでいると前方で左右に別れている分岐点に差し掛かった。
「エルク、これは、どっちに行けばいいのかしら」
「そうだな。何かこのまま奥に進んでキラーアントを一体、一体倒して行くのも面倒くさいな。よし、ルリ、一旦この巣を出るぞ。良い事思いついたんだ。要はエンプレスキラーアントの酸の原液を手に入れればいいんだろ。だったらこんな面倒くさいことしなくても良いんだよ」
「一体何をするのかわからないけれど、何か思いついたのなら、わかったわ。一度巣を出るわ」
そして、エルクとルリは一度キラーアントの巣から出た。
「それで、一体どうするの」
「ああ、それはな、仙術を使うんだよ」
「え、まさか、あれを使うんじゃないでしょうね。でも、あれなら直接戦わないで酸の原液を手に入れる事が出来るかも」
「そう言う事だ。それじゃあ始めるぞ」
そして、エルクは両手をキラーアントの巣に向けて仙術を発動した。
「仙術、氷の型、氷神の絶対零度領域」
エルクが氷神の絶対零度領域をキラーアントの巣に向けて放つと絶対零度の冷気がキラーアントの巣の中に入って行き一気に凍り付いて行った。
「よし、完了だ。ルリ、中に入るぞ。もう一度明かりを用意してくれ」
「わかったわ」
そして、再びルリのライトの魔法を頼りにキラーアントの巣へと入って行った。
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