第51話 幼馴染パーティー視点7
ミゲル達が大きな岩の影から二体の巨大な魔物の様子を伺うと、二体の巨大な魔物はお互いの首筋をその大きな顎で噛み付き首に強靭な牙を喰い込ませていた。
二体の巨大な魔物は暫くお互いの首に噛みつきその辺り一帯を暴れ回っていたが、お互いに長時間首に食い付いていたせいで顎が疲れたのか、お互いに首に食い込んでいた牙を抜くと一度お互いに距離を取り相手の様子を伺い始めた。
「お、おい、ミゲル、あのレッドドラゴンと戦っている魔物はもしかしてミスリル級のロックドラゴンじゃないか!!ミスリル級の魔物を二体も相手するなんて絶対に無理だ。今すぐにこの場から離れた方が良い。おい、ミゲル、聞いているのか」
ゴードンの必死の訴えを聞いたミゲルは、しかし、その意見を聞き入れる事は無かった。
「ゴードン、お前は一体何を言っているんだ。こんな所で引き返せる訳がないだろう。俺達は暫くこの場で待機だ。あの二体の魔物の決着がつき次第生き残った方を速やかに討伐してその後、レッドドラゴンとロックドラゴンの素材を回収して、下山する。これは決定事項だからな。お前達、わかったな」
ミゲルの有無を言わせぬ物言いに威圧されたゴードン、ナナリー、マリアはそれ以上何も言う事が出来ず、ミゲルの言うままその場に留まり二体の魔物の様子を暫く見守ることにした。
それから暫くして、事態は急に動き出した。
お互いに距離を取りお互いを牽制し合っていたレッドドラゴンとロックドラゴンは、互いに遠距離技の必殺技であるフレイムブレスとロックブレスを放ち、お互いのブレスがミゲル達が潜んでいる大岩の間近で衝突した。
フレイムブレスとロックブレスの衝突の余波によってミゲル達が潜んでいた大岩は吹き飛び、その大岩と一緒にミゲル達も例外なく吹き飛ばされ、ミゲル達はドラゴンマウンテンをもの凄い勢いで転がり落ちて行った。
フレイムブレスとロックブレスの衝突の余波によってドラゴンマウンテンの麓付近まで吹き飛ばされたミゲル達であったが、マリアの風魔法と水魔法によって全員一命は取り留めたが、皆、重傷を負って全く身動きが取れない状態となっていた。
特にミゲル達の安全を最優先にしたマリアの容態は酷い物だった。
ミゲル、ゴードン、ナナリーは四肢の複雑骨折だけで済んでいたが、マリアは複雑骨折に加えて左腕と右足の欠損と言う状態だった。
仲間の惨状を認識したゴードンはパーティーリーダーの許可を取らずに複雑骨折でろくに動かない左腕を強引に動かして懐から小さな石の様なアイテムを取り出すと、その石を地面に置いて「転移」と呟いた。
ゴードンが「転移」と呟くと、ゴードンが置いた石を中心に魔法陣が広がって行きミゲル達パーティーメンバーを覆いその後、強く光り出し、光がやむとその場にミゲル達の姿はもう無かった。
◈
ここはアンディゴ子爵領、ティゴンの町の城門前、二人の門兵が任務である門の前に出来ている商人や冒険者、旅人等で出来た列の整理をしていると、突然その列から少し離れた位置にそこそこ大きい魔法陣が展開しだした。
「「ん、な、何だ。……ま、魔法陣、うっ、ま、眩しい」」
二人の門兵は突然現れた魔法陣から発せられた光によって目が眩み咄嗟に目を瞑った。
暫くして光がやみ二人の門兵が目を擦りながら魔法陣が現れた場所を確認してみると、そこには体中がズタボロで瀕死の重体となっているミゲル達の姿があった。
そして、ミゲル達は自分たちを発見した門兵と応援で駆け付けた兵によってティゴンの町にある治療院へと運ばれて行った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
『面白かった!続きが気になる!今後の展開が気になる!』と思いましたら
☆☆☆から、作品の応援をお願いします。
面白かったら☆三つ、つまらないと思ったら☆ひとつでも大丈夫です!
何卒よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます