第59話
エルクは、酔っぱらい三人組にそう言うと、仙術、幻の型、悪夢の声を三人組に聞かせ三人を強制的に眠らせると、三人それぞれに地獄の様な悪夢を見させて、三人をその場に掘地してエルクはルリの待つ酒場へと向かって行った。
エルクは目的地の酒場に着き、酒場の中に入ると、先に来ているはずのルリを探すために酒場の中をキョロキョロと見回した。
すると、酒場の奥の端っこの席で自分に向かって手を振っているルリの姿を発見したエルクは、自分も手を振り返してからルリの座っている席へと向かった。
「悪いな。ちょっと遅くなった。あの酔っぱらいの三人組に指導をしていたら思いのほか舐めた口を利くものだから、少し入念に指導をして来ちゃったよ。今頃、あいつ等仲良く特上の悪夢を見ておもらしでもしているんじゃないかな。まあ、これに懲りたらもう二度と酔っぱらう程お酒を飲もうとは思わないだろうな。まあ、そんな事、俺達の知った事じゃないけどな」
「全く、エルク、あなた、私がこの席に座ってあなたを待ちながら偶に声を掛けて来るナンパ目的の酔っ払いを軽く威圧を当てながら排除していた時に、そんな面白そうなことをしていたなんて、酷過ぎるわよ。罰として、きょ、今日こそは、城のエルクの部屋のベッドで、そ、その、エ、エッチして貰うからね!!」
「!?な、ル、ルリ、お前は大きな声で一体何を言っているんだ。こんな場所でそんなこと言ったら」
エルクがルリにそう言うと、それまで他の席で思い思いに会話や食事、酒飲みを楽しんでいた他の客が一斉に口笛を吹いたりしてエルクとルリをあおって来た。
「と、兎に角、その話は一体保留だ。宿に帰ってから、そ、その、ちゃんと話そう」
「そ、そうね。そ、そんな事よりあなたをここで待っている間に周りでされていた色々な話に聞き耳を立てていたのだけれど、三つほど情報を得たわよ」
「へ~、この短時間で三つも情報を得たなんて中々やるじゃないか。ルリには情報収集の素質があるのかな。それで、一体どんな情報なんだ」
ルリの得た情報は主に三つで、一つ目は、エルスハイド辺境伯領の領都エルスで、今まで中々尻尾を掴むことが出来なかった邪神教団のエルスハイド辺境伯領支部の幹部が捕縛されたという事件、二つ目は、王都近くに領地を持つアンディゴ子爵の領地のティゴンの町の近くにあるドラゴンマウンテンに住み着いていたレッドドラゴンを討伐しようとして失敗したあるゴールド級冒険者パーティーの話で、三つ目は、今回、エルクとルリが受けた依頼のオーガ討伐に関する情報だった。
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