第14話

 森の中へと入ったエルクとルリはブロンたち家族に森全体の偵察をする様に指示を出した後、ゴブリンの住処を探索しながらエスト村の村人たちを捜索していた。


「どうだルリ、お前の方が俺より索敵範囲が広いからな何か気配を感じるか」


「いいや、今のところは四方の索敵に向かわせたブロンたちの気配しか感じないわよ」


「そうか、じゃあ俺たちはブロンたちから念話で何らかの報告があるまで取り敢えずこのまま真っすぐ進みながら引き続きゴブリンの住処とエスト村の村人の捜索をしよう」


「そうね。それじゃあ先に進みましょ」


 そうしてエルクたちはブロンたちから報告が来るまで捜索を続けるのだった。 


 それから程なくして散り散りに索敵を行っていたブロンたちから念話で次々と報告が来た。


 報告の内容は四人とも偵察に行った先で小規模のゴブリンの住処を見つけたのでこのまま殲滅しても問題ないかと言うことだった。


「ああ、わかった。それじゃあお前たちは発見した小規模のゴブリンの住処を殲滅して、囚われている村民を見つけたら保護して村まで送ってあげろ。俺たちもたった今発見したゴブリンの住処を襲撃する。どうやら結構な人数の村人が囚われているみたいだからな。じゃあまた後でエスト村で」


 エルクとルリはブロンたちとの念話を切るとつい先ほどルリの索敵魔法の端に引っ掛かったゴブリンの住処に向けて歩き出した。


「ここの住処は結構規模が大きいな。ルリ、辺りの警戒をしていてくれ、俺は住処の中の様子をもう少し詳しく探って来る」


 エルクはルリにそう言うと索敵魔法を発動させながらゴブリンの住処の外周をぐるっと回って正確なゴブリンの数と囚われている人の人数そして、住処の奥に洞窟の様な物があるのを把握してからルリの下に戻った。


「今戻った。どうやら殆どの攫われた村娘と捜索に出た村人はこの住処に囚われているみたいだな」


「そうなのね。それで、ゴブリンの種類と数はどうだったの」


「ああ、数は百五体いたよ。しかもゴブリンジェネラルやゴブリンキングまでいた。これは思っていたよりも殲滅に時間がかかるかも知れないな」


「そうかしら。あのダンジョンを攻略した私たちならそんなに時間は掛からないと思うけど」


「ああ、そう言えば俺たちってあのSランクダンジョン『神獣の住処』を攻略してたんだったな。あんまりのことでついうっかり忘れてたぜ。よし、それじゃあちゃっちゃと殲滅して囚われている村人たちを救出するか」


 そして、エルクとルリは隠れていた茂みから立ち上がりゴブリンの住処へと踏み込んでいった。


「今回のゴブリンの住処は集落の形をしているから先ずは、門の所で門番をしているゴブリンエリートから各個撃破して行くぞ。ルリは人間形態の方が小回りが利くからそのまま先頭に参加してくれ」


「わかったわ。それじゃあ始めましょうか」


 茂みを出たエルクとルリは素早く門番をしているゴブリンエリートに近づきすれ違いざまに首を切り裂いて絶命させるとそのまま軽い足取りでゴブリンの集落の中へと入っていた。


 そして、エルクとルリは侵入したことがゴブリン達に知られることも構わずに出会ったゴブリンから次々と切り捨てて行き集落の中にいたゴブリン達を全て殺した後、集落の奥にある洞窟へと辿り着いた。


「この中だな村人たちが囚われている所は、それに最上位種のゴブリンキングやジェネラル、ロードもこの洞窟の最奥に居るみたいだ。俺はゴブリンキングたちを倒して来るからルリは先に囚われている村人たちの所に行って保護しておいてくれ」


「ええ、わかったわ。ゴブリンキング程度の魔物なら大丈夫だと思うけど気お付けてね」


「ああ、じゃあ行くぞ」


 洞窟の中に入ったエルクとルリが暫く一本道を進んでいると目の前に二股に別れる道が現れた。


「どうやら左の道の先にゴブリンキングを含めた複数のゴブリンが居るみたいだな。それにそっちの村民たちのいる方は、見張りのゴブリンエリートとナイトが数体しかいないみたいだな。ルリ、村人たちのことは任せたぞ」 


「ええ、任せておきなさい。そっちもさっさと終わらせなさいよ」


 エルクとルリはそう言い合った後お互い別々の道を進んで行った。








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