第22話

 翌日の早朝、エルクはルリよりも先に起床すると一人小屋の外に出て仙術を使う際の基礎となる剣術と体術の鍛錬をしていた。


 エルクが鍛錬を始めてから暫く経つと山脈エリアからブロンたち家族が飛んできた。


「これはこれは、主、おはようございます。早朝から鍛錬ですかな」


「ああ、それよりお前たちこそこんなに早くにここに来るなんてどうしたんだ」


「いえ、大したことではありませぬ。ただ、皆、珍しく早起きをしてしまったのでいつもより早く来ただけですよ。それより、ルリ様は」


「ルリならまだ寝ているよ。俺はもう少し鍛錬を続けるけどお前たちはどうするんだ。ルリは多分まだ起きて来ないと思うぞ」


「そうですな。では、私と息子のバズで主の鍛錬のお相手をしましょう。それで、今日の朝食は妻のトイニーと娘のノワールが作らせてもらいます故」


「まあ良いけど。美味い朝食を作ってくれよ」


「は~い。わたくしが美味しい朝食を作って差し上げますわ」


 そして、俺とブロン、バズはそのままその場で鍛錬を続け、トイニーとノワールは魔道馬車の中に設置してある魔道コンロで朝食を作り始めた。


 それから少しして小屋の中から目をこすりながら、まだ眠そうなルリが出て来た。


「あら、みんな、おはよう。朝から精が出るわね。ん、何だか美味しそうな匂いがするわね。何かしら」


 ルリは辺りをきょろきょろ見回すと魔道馬車を見つめた。


「何か馬車からいい匂いがしているみたいだけど、どうしたのかしら」


「ああ、今、トイニーとノワールが朝食を作っているんだよ。どうやらそろそろ出来るみたいだな。ルリは早く顔を洗っておいで」


「ええ、そうするわ」


 そう言ってルリが小屋の中に戻ると同時に馬車の扉が開いてノワールが料理を持って小屋の外に置いてあるテーブルの上に配膳し始めた。


「お前たち、どうやら朝食が出来たみたいだからルリを呼んで来るよ」


「はい」


 エルクはブロンとバズにそう言うと小屋の中に入って行った。 


 そして、ブロンたちが料理を配膳し終わる頃にエルクがルリを連れて小屋の外に出て来た。


「みんな、待たせたな」


 エルクはそう言うと席に座りみんなを座らせると朝食を食べ始めた。


「お、美味しいじゃないか。これからは食事はトイニーに任せるかな。どう思うルリ」


「ええ、良いと思うわよ。とても美味しいわ。どの料理も丁寧な仕事がされているわ。お店を出しても上手くやっていけるんじゃないかしら」


「そうだな。少し落ち着いたらそう言う事をして見るのも良いかもな」


「お二人とも、そんなに褒めていただいて恐縮です。これからも精進して参ります」


「ああ、よろしく頼むよ。取り敢えず、今日の夕食もよろしくな」


「はい。かしこまりました」


 そして、トイニーに作ってもらった朝食を美味しく頂いたエルクたちは食事の後片付けをした後、箱庭を出て冒険者ギルドに依頼を受けに行った。








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