3章 中2の夏休み

#34 夏休み間近




 陸上部の件が片付き、期末試験が終わると、もうすぐ夏休み。


 俺もワラシも部活動はしていないから、この夏休みはお互いフリーだ。



 とは言っても、夏休みの間も2つの学校絡みの行事がある。 課外授業のキャンプと、ボランティア活動の参加だ。


 夏休みに入って直ぐに一泊二日のキャンプがあり、7月の終わりに申し込んでいたボランティアがある。





 キャンプでは班行動がメインとなる為、この日のロングHRにて班ごとの話し合いが行われた。


 議題は「初日の夕飯と翌日の朝食の準備と役割分担」 前にあった家庭科の調理実習と同じようなものだね。



「じゃぁ早速、材料のリストアップからね」


「初日はカレーとサラダだね。 カレーは、じゃがいも、人参、タマネギ、牛肉、お米とカレールーかな。 サラダは?」


「レタス、トマト、キュウリ、ゆで卵にドレッシングとか?」


「ハイ!八田先生!」


「はい、キュウリ多めっと」


「おいコラまだ何も言ってないぞ!」



 その時、ワラシが核心を突いた。


「大丈夫。キュウリは最後全部シズカちゃん行き。ぐふふふ」


「それもそうだな。もういっそのこと、キュウリはカットせずに丸ごと八田さんのサラダに刺しとけばいいんじゃね?」


「なるほど。その方がシズカちゃんも食べやすいよね。ぐふふふ」


 俺とワラシが二人で、うんうんと納得顔で頷いていると、八田さんがしんみりした顔で語り出した。



「私、最近凄く悩んでるコトがあるんだけど、ケンピくん聞いてくれる?」


「八田さんでも悩むんだな。俺で良ければ悩み聞くよ?」


「ありがと。 私の悩みはね・・・・最近フミコちゃんがぜんぜん可愛げ無いの! 前はもっと大人しい小動物みたいで可愛かったのに!たまに毒舌なのもギャップがあって良かったのに!最近は毒舌しか無いの!ギャップじゃないの!ずっと毒舌なの!しかも私にだけいじわるなの!」


「ああ、それが本来のワラシの姿だから。シモネタとウンコネタ言われないだけマシだから」


「ケンピくんそれは言わないでよぉ。シモネタ言うのもウンチネタ言うのもケンピくんの前でだけなんだからね」モジモジ


「え?そうなの? そうか、俺だけ特別なんだな。嬉しいな」えへへへ


「もうヤダこの人たち。班替わって欲しくなってきた」



 このタイミングで、これまで黙って見ているだけだった石垣が口を開いた。


「八田さん。ケンピみたいな裏切者ほっといて、俺たちでキャンプの準備決めようぜ」


「え?石垣くんと二人で? ソレもっと嫌なんだけど」



 石垣、3秒で瞬殺された。











 そんなこんなで1学期最終日。


 この日は半日授業なので、家帰ってお昼食べたらワラシと一緒にキャンプに持って行く食材とか小物を買い出しに行くことになっていた。



 HRで担任から夏休みの過ごし方とか、悪さして周りに迷惑かけるなよとかしつこく言い聞かされてからようやく解放されて、さぁ帰ろうかというところで、他のクラスの男子が教室の入り口から八田さんを呼び出していた。



 今日は八田さんとは何も約束が無いので、特に気にせずにワラシと帰ろうと帰る支度をしていたら「ケンピくんとフミコちゃん、少しだけ待ってて。お願い」と八田さんに頼まれた。


「ん?」と思ったけど、八田さんは呼び出して来た男子のところへ行ってしまい、その男子とどこかへ行ってしまった。


 さっきの男子って、確かサッカー部の2年だっけ。

 八田さんも部活してないし、部活とは関係ないよな・・・あ、告白?



「ワラシ、八田さんから何か聞いてる?」


「多分告白されてる。最近サッカー部の先輩に言い寄られてるって」


「へぇーやっぱりさっきのそうなんだ。 八田さんってやっぱモテるし人気者だもんな」


「でもシズカちゃんはその先輩全然興味ないって。その先輩凄くチャラチャラしてて慣れ慣れしくて断ってもしつこくて困ってるって言ってた」


 うーん

 さっき呼ばれて一人で行っちゃったけど、大丈夫なのか?



「ワラシ、さっき八田さん一人で行っちゃったけど、今頃困ってるんじゃないのか?」


「そうかも・・・どうしよ?助けに行かないと不味いかな?」


「うーん、何事もなく戻ってくるかもだから、ワラシはココで待っててくれる? 俺探しに行って来る」


「うん、分かった。戻って来たらスマホで連絡するね」


「おっけ、んじゃ行って来る」








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