4章 何も無いけど楽しい日常

#57 新学期初日①

 4章からは、今までと少し趣を変えて、2~3話で1つのエピソードを描き日常系っぽく書いていこうかと思います。

 また、1つのエピソードが書けたら順次公開していく様にしたいので、毎日更新では無く不定期となります。

 どうぞ引き続き、お楽しみ下さい。

 

______________



 2学期初日の朝。



 久しぶりに着た制服姿で家を出る。

 今日は授業が無いから通学カバンも軽い。


 今日から9月と言えど、まだまだ朝から暑い。

 でも夏休み毎日ジョギングしていたお陰か、夏休み前よりも体の方は快調だ。



 少し歩くと後ろから「ケンピー!」と声を掛けられた。

 真中と石垣だった。


「おいっす」


「ケンピ、日焼けしてんじゃん?」


「おう、プール何回も行ってた。あとバーベキューもしたな」


「ワラシと?」


「うん。あと八田さんとバッキーと」


「ん?バッキー?」


「千葉のことな。千葉と仲直りして今はバッキーって呼んでる」


「うは、マジか」


「お、じゃあ上手くいったのか」


「おう」


「ん?真中は千葉と仲直りする話、知ってたの?」


「おう、夏休み中にケンピから相談受けてて聞いてたぞ」


「俺、聞いてねー」


「あのな、石垣もその相談の時呼ぼうとしたぞ? お前オオクワ捕まえに行くからパスって言ってたじゃん」


「あーあの時かー、っていうか、夏休み中、千葉とか八田さんと遊んでたのか?」


「おう、宿題終わってからは毎日の様に遊んでたな」


「俺も呼べよ!なんでいつもケンピばっか良い思いしてるんだよ!」


「お前宿題終わってないだろ。しかも呼んでも八田さんの前になると黙るじゃん」


「はぁ、真中もケンピも彼女出来ると冷たいよな」



 そんなこと話しながら歩いていると「ケンピくーん!」とまた後ろから声掛けられた。


 今度はワラシだ。


「ワラシ、おはよ」

「おっす、ワラシ」

「おっす」


「ケンピくんおはよ。真中くんと石垣くんもおはよ」



 ワラシは真中や石垣相手なら、もう普通に喋れる。

 二人もワラシには友達として普通に喋る。


 だから俺とワラシの二人でバッキーの事を色々教えてあげながら学校まで歩いた。


 石垣は「へー、そうなんだー」とあまり興味なさそうだったけど、真中は「二人がそこまで楽しそうに教えてくれるってことは、千葉は本当に心入れ替えたのかもなぁ」と感心しているようだった。



 そして、学校に着いて教室に向かって廊下を歩いていると真中は言った。


「よし、俺も千葉のことバッキーって呼ぶわ。それであいつの反応見て、またクラスで上手くやって行けるか様子見るわ」


「おう?そうか。 じゃあ俺からも頼む。バッキーのことよろしくな」


「私からもお願い。バッキーは素直になれば面白い子。真中くんならバッキーの天然つっこみ引き出せる」


「ははは、わかった。頑張ってみるよ。じゃあな」


「あいよ、またな」



 やはり真中は良い奴だ。

 見た目も中身もイケメンだしな。





 真中と別れて俺たち3人は6組の教室へ向かう。


 教室に入ると、八田さんは既に来ていて俺たちを見つけると両手をぶんぶん振りながら「おはよ!フミコちゃん!ケンピくん!」とオーバーアクションで挨拶をしてくれた。

 石垣はスルーされてた。


 そして、目立ちたくないワラシが「チッ」と舌打ちしたのを俺は見逃さなかった。


「八田さん、おはよ。でもそんな大声で挨拶されてワラシ怒ってるよ」


「えー!久しぶりの学校だからテンション上がるでしょ?」


「いや、昨日八田さん夏休み終わること悲観してたじゃん。なんで学校来たらテンション上がってるのさ」


 すると八田さん、腰に左手を当て右手の人差し指立てて左右に振りながら

「チッチッチッ、青春とは矛盾の連続なんだよ? 知らないの?」



「シズカちゃんウザい」


 うむ、今のはウザいな。


「えーフミコちゃん学校だと冷たくなーい? あんなにおっぱい揉みあった仲なのに!」


「チッ」


 あ、また舌打ちした。




 とりあえず俺は他にも用事が有ったので、二人から離れて宮森さんのところへ向かった。


「宮森さん、おはよ」


「ケンピくん、おはよー!」


「それで千葉のことなんだけど」


「うんうん」


「無事に仲直り出来た。 千葉からもちゃんと謝って貰えた」


「そっかー、態々教えてくれてありがとうね」


「いや、宮森さんが色々話聞いてくれたお陰だから、こっちこそありがとうね」


「でもホント、よかったね!!!」

 宮森さんはそう言って、俺の肩をバンバン叩いてきた。

 相変わらず加減しない暴力は健在だ。



 とりあえず今日しておこうと思ってた真中と宮森さんへの報告は、朝の内に済んだ。


 後は、休憩時間に3組にバッキーの様子でも見に行くか。






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