#58 新学期初日②
担任が教室にやってくると体育館へ移動して、朝イチで始業式があった。
体育館では全校生徒が集まっているので、当然バッキーも居る。
チラリと3組の様子を見ると、バッキーも俺に気が付いたみたいで、小さく手を振っていた。
俺が軽く「よう」って感じで小さく手を挙げると、6組のクラス委員であり列の先頭に居る八田さんが「アキちゃーん!おはよー!」とデカイ声を出してた。
「チッ」
あ、ワラシまた舌打ちしてる。
始業式が終わり教室に戻ると宿題の提出があり、その後は席替えとなった。
結果から言うと、何故か俺は前回と同じで窓際の前から2番目。
そしてワラシは、なんと俺の前の席で、窓際一番前。
やはり俺たちには、ソウルメイト的な見えざる何かがあるんだろうな。
「どうしよ。後ろからケンピくんに常に見られてると思うとビチョビチョに」
「ワラシ、教室でそれ言うのは止めとけ」
「だってぇ。ぐふふふ」
何だかんだ言っても、また席近くになれて嬉しいんだろうな。
俺も嬉しい。
「ケンピくんケンピくん!また直ぐ近くの席だね!」
そして八田さんは、俺の後ろの席になった。
八田さん、夏休み前はクラスでみんなが居るともう少し控え目だったのに、夏休みの間ずっと一緒だったせいか、今日は教室でも普段のテンションのままになっている。
っていうか、八田さんもまた近くか。
なんか俺、まるでワラシと八田さんの二人に、ディフェンスでしつこく徹底マークされてるみたいだな。
因みに石垣は、廊下側の席に左遷されていた。
「ケンピくんケンピくん!今日も一緒に帰ろうね!」
「チッ」
あ、また舌打ちしてる。
「八田さん、分かったから少し静かにするんだシズカだけに。 さっきから八田さんが騒ぐ度にワラシが不機嫌になってるぞ」
すると八田さん、お口チャックのジェスチャーして黙った。
八田さんもワラシの持ちネタから学んだんだな。
と思ったら、直ぐに喋り出した。
「そだ!あとでアキちゃんの教室行こうね!」
なんで本当にこんなにテンション高いんだよ。
「まぁそのつもり」
「アキちゃん、3組で上手くやれてるといいね」
「さっき真中が、俺も今日からバッキーって呼んでみるとか言ってたから、多分大丈夫だよ」
「へー、なら帰りアキちゃんも誘って、どうだったかじっくり聞いてみようね!」
休憩時間になり、ワラシと八田さんの3人で3組のバッキーに会いに行った。
バッキーは一人で席に座っていたが、表情はそれほど暗くはなかった。
俺たちに気付くと、パァっと明るい顔になって廊下の俺たちの所までやって来た。
「バッキー、おはよ」
「おはよ!」
「アキちゃん、どう?」
「いきなりは良くはならないよ。でも、真中くんがバッキーおはよって声掛けてくれたよ。ケンピくんが何か言ってくれたの?」
「俺とワラシで、夏休みバッキーと沢山遊んだって話しただけだよ」
「そうなんだ。でもありがとうね。真中くんに声掛けられて嬉しかった。フミコちゃんもありがとうね」
「よかったね。ケンピくんの気遣いにバッキー既にビチョビチョ」
「そだ、アキちゃん! あとで一緒に帰ろうね。3組まで迎えに来るから」
「うん、待ってるね。 でも、ビチョビチョなのは私じゃなくてフミコちゃんの方だからね」
「じゃあ俺たち教室に戻るな」
まだまだだろうけど、あとはバッキーなりに頑張るしかないな。
クラスの違う俺たちは、応援するしか出来ないし。
この日は午前中に授業が終わり、約束通り3組までバッキーを迎えに行き、4人で帰ってワラシんちの喫茶店でお昼を食べて、夕方までワラシの部屋でお喋りして過ごした。
八田さんもワラシも、学校が始まってバッキーのことが心配だったんだろうな。バッキーが少しでも元気に学校に通えるように、バッキーを笑わせようとずっとお喋りを続けていた。
「今日のシズカちゃんフル勃起しすぎ。フル勃起八田一緒に居ると恥ずかしかった」
「そうだよ八田さん。 八田さんがテンション高くて騒ぐ度にワラシが舌打ちしてて、俺超怖かったもん」
「久しぶりの学校だし、しょーがないでしょ? 席替えもまた二人と近くの席になれたんだし!」
「シズカちゃん、もうフル勃起八田って呼ばれるの、受け入れることにしたんだ?」
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