#59 八田さんの哀愁
1話だけ更新です。
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2学期が始まり、1週間すると学力試験があった。
試験の内容は5教科の夏休みの宿題から出される物で、宿題をまともにやって居ればそれほど難しくない。
俺はワラシと真面目に勉強していたから、慌てなくても大丈夫。
バッキーも一人ぼっちで過ごした夏休み前半に、きちんとやっていたから大丈夫。
そして、勉強よりもお喋りばかりの八田さん。
学年で3位だと。
優等生と呼ばれるのも、伊達じゃない。
元々勉強出来ちゃうから、いつも余裕なんだね。
因みに、ワラシが15位。バッキー23位。俺は28位だった。
俺としては、学年で30位以内なんて、初めてで俺にとっては快挙なんだが。
「ふふふ~ん♪ ケンピくん、私のこと、見直した?」
「うん、そうだね。 まさか八田さんがこんなに勉強出来るとは1ミクロンも思ってなかったよ。 あれだけお喋りばかりしてたのも、実は余裕かましてたんだね。 お喋りばかりしてないで勉強しろって注意してた俺のこと本当は腹の底で笑ってバカにしてたんだね。 俺はとんだピエロだったって訳だね。 サッカー部の先輩から助けた俺のことをいつもバカにして見てたんだね。心の友とか言いながら酒の肴にして笑ってたんだね。 俺やワラシのことを腹黒いとか性格悪いとか言いながら、実は八田さんが一番腹黒くて性格悪かったんだね」
まぁ、八田さん1学期の期末でも上位だったから、ホントは勉強出来るの知ってたけどね。
「すとっぷすとっぷ!ケンピくんネガティブ過ぎ!しかも口調がダークな時のフミコちゃんみたいになってるよ!」
「うむ。 俺とワラシは一心同体だからな」
「呼ばれた気がした」
「フミコちゃんは呼んでないよ!」
「いや、俺が呼んだ。 八田さんが俺のことをイジメるから、ワラシに慰めて貰おうと心の中で呼んだんだ。 流石ワラシ、ソウルメイト的なアレで通じたんだな」
「ぐふふ。ケンピくんと私はいつも通じてるからね。 ココが教室じゃなかったら今頃唾液の交換に勤しむのに」じゅるり
「しかもココだと邪魔者もいるしな、今目の前に」
「ちょっと!試験の順位ホメて貰おうとしただけなのに、何で二人だけの世界に入ろうとするのよ! それに、また私のこと邪魔者扱いして!」
「わかったわかった。 八田さんは、責任感強くて美人で勉強も出来て優等生でみんなの人気者でおっぱいも小さくて、素敵だね。 これでいい?」
「めっちゃ義務的!?そしてめっちゃメンド臭そー!」
「八田さん、欲しがるばかりじゃダメなんだぜ? ワラシの様に、与える側の人間にならないとな」
「やっぱりシズカちゃんは、欲求不満なんだね。 欲求不満で心に余裕が無いんだね。 余裕が無いからそのうち甘い蜜に誘われて簡単に誘惑されちゃうんだね。 不倫に走る人妻の典型的なパターンだね」
「今度は不倫する人妻扱い!? 私、恋人すら居ないのに!」
お昼の給食の後、教室でいつもの様に八田さんをイジっていると、バッキーが遊びに来た。
「バッキー聞いてくれよ。 八田さんが褒めろ褒めろ煩いんだよ。バッキーからもガツンと言ってくれよ」
「アキちゃん!アキちゃんは私の味方だよね! さっきからこの二人が胸が小さいとか欲求不満の人妻みたいだとか酷いことばっか言うんだよ!」
「はぁ、シズカちゃん、そういうトコだよ? 欲しがってばかりじゃ誰も与えてはくれないんだよ? 私は痛い目見てるからそういうの良く判ってるからね」
「流石バッキー甘くない。ドコかの欲求不満とは違うね。ケンピくんのイケメンぷり見てもビチョビチョにならないだけはあるね」
「そんなことよりケンピくん? 体育大会はリレーとか出るの?」
「うーん、どうだろ?まだウチのクラスは決めてないからどうなるか分かんない」
10月の上旬に学校行事の体育大会がある。
短距離やリレーなんかの主に陸上種目の運動会で、次のHRで各自の出場種目を決めることになっていた。
「だったら、リレーに出てよ! 久しぶりに本気で走るケンピくん、私見たい!」
「お?珍しくバッキーからのお願いだ」
「ケンピくんなら、足速いから立候補しなくてもリレーに選ばれるはずだよ」
「因みに3人は何に出るつもりなの?」
「ワタシはフミコちゃんと二人三脚に出たい!」
「シズカちゃん目立つからイヤ」
「秒で振られた!?」
「バッキーは?」
「私は運営委員になったから、種目には出ないで当日は雑用とかになると思うよ」
「なるほど。 俺はハードルとか出たいな」
「そういえば、陸上部の時、ハードルもよく練習してたね」
「おう。選手として大会とか出たことないけど、そこそこ行けると思う」
「ハードルだと、練習の差がハッキリ出るからね、ケンピくんの独走になりそうだね」
「どうなんだろ?でも、綺麗に走れるとアレ気持ちが良いんだよな」
「気持ち良く走るケンピくんを見て、私も気持ち良くてビチョビチョに・・・・なるほど」
「確かにケンピくんの走る姿は恰好良かったからね」
「因みに、ワラシも足速いからな」
「え?そうなの!? フミコちゃんって卓球だけかと思ってた」
「ぐぬぬ、ケンピくんそれは言わないで欲しかった」
「なんでなんで?」
「おっぱい大きいと、走るの恥ずかしいから」
「わかる!私も走るの恥ずかしい」
「流石バッキー私のおっぱい仲間」
おっぱい大きい子が走ると、胸がブヨンブヨンするから人前だと恥ずかしいということだろう。
そして、ワラシの言葉に八田さんは明らかに気落ちしていた。
「八田さん、女の子の魅力はおっぱいだけじゃないからな。そう落ち込むな」
「言わないで・・・珍しくケンピくんが慰めてくれたけど、全然嬉しくない」
そう言いながら、両手で自分のおっぱいを押さえてモミモミする八田さんの姿は、哀愁が漂っていた。
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