#68 盛り下げる石垣と盛り上げるエロ親父といつも通りのワラシ
ワラシが飲み物やケーキを切る為のナイフとかお皿なんかを用意してくれて戻ってくると、花岡さんに胸を揉まれ続けているバッキーを見て危険を察知したのか、俺の背後に隠れた。
「花岡さん、もうその辺にして落ち着こう」
「ふぅ、千葉さんも中々の揉み心地♡」
「もうお嫁にいけない・・・」
なんとかバッキーから花岡さんを引き剝がして大人しくさせると、バッキーは花岡さんから距離を取って座った。
「八田さんもそんな隅でイジケテないで、お菓子食べよう」
「そ、そうだよね!お菓子食べよう!」
八田さんは立ち直りが早く、花岡さんの隣に座った。
ようやくみんな落ち着くと、それぞれが持ってきたお菓子とかをテーブルに並べてくれた。
ワラシは自分で持ってきたパウンドケーキを食べやすい大きさにカットしていく。
八田さんとバッキーは、昨日の放課後、二人で協力して手作りでクッキーを作ったらしく何種類か持ってきていたので、用意した大皿に出してもらう。
花岡さんは、カップに小分けしたプリンを作って持って来ていて、それをテーブルの一か所にまとめて出してくれた。
因みに俺は、飲み物とスーパーで買って来たスナック菓子を提供。
こうして、みんなで持ち寄った物をキャッキャ言って食べながら、お喋りを始めた。
まぁ、祝勝会とは名ばかりで、実際のところはいつものメンバーに花岡さんが加わって、楽しくお喋りしてるだけだね。
「後、誰が来るんだっけ? 鈴木くんは部活終わってからって言ってたから、お昼から?」
「うん、鈴木くんは部活終わったら直接来るって。 連絡来たら迎えに行ってくるよ」
「あれ?石垣くんも来るとか言ってなかった?」
「え?石垣くんも来るの? なんだかテンション下がるんだけど」
花岡さんが石垣の名前出した途端、八田さんのテンションが下がった。
「あー、本人がどうしても来たいっていうから、大人しくする約束で来るのOKした」
「シズカちゃん、そんなに苦手なの?」
「石垣くん、シズカちゃんとかの前になると凄く大人しいか余計なことしてシズカちゃん怒らせるから、シズカちゃんの天敵。ハタから見てると面白いよ」ぐふふ
「もしかして、石垣くんってシズカちゃんのことが好きなの?」
「好きっていうか、可愛い子なら誰でもいいんだと思う」
「フミコちゃん、マジで止めて」
「へー石垣くんがね~、っていうか、石垣くんはナイよね?」
「ナイナイ」
「シズカちゃんだけじゃなくて、花岡さんとバッキーも危ないよ」
女子4人の恋愛トーク(というか石垣の話)は遠慮が無くて、俺は口を挟むことが出来ず聞いているしか出来なかった。
そんなタイミングで、石垣がやって来た。
「みんな!お待たせ!」
やたらとテンションが高い石垣は、八田さんと花岡さんの間に座ろうとしたが、八田さんがすかさず花岡さんに抱き着く様にズズっと移動して間を詰めた為、石垣は一瞬固まったが何事も無かったかの様に振舞いつつ、広く空いた八田さんとバッキーの間に座った。
そして、バッキーも石垣とは仲が良いわけでは無いし、先ほどのワラシからの注意喚起が有った為か、石垣に背を向けるようにして反対隣に座る俺にばかり話しかけていた。
両隣にそっぽ向かれた石垣は、対面に座るワラシに話しかけて、ワラシもいつも通り話し相手になってはいたが、隣に座る俺の腕をギュっと掴んで離さず、恐らく本当は俺とイチャイチャ楽しくお喋りしたいのに、仕方なく石垣の相手をしてるのだろうと思われた。
ある程度は予想していたが、流石に本人目の前にして冷たくしないだろうと思ってたのに、この中で一番他人に容赦しないワラシだけが気を使ってて、女子の間での石垣の位置づけが如何に低いか如実に表れていて、そんな女の子連中と違い同じ男子の俺は非常に気不味かった。
しかし、俺の心労を他所に、石垣はやはり石垣だった。
「このケーキってワラシが作ったんでしょ? クッキーとプリンは誰が作ったの?」
「クッキーはシズカちゃんとバッキーの手作りで、プリンは花岡さんの手作りだよ」
石垣の質問にワラシが答えると、「へぇ~」と言いながらプリンのカップを手に取り食べ始めた。と思ったら、プリン食べながらクッキーも勢いよくバクバク食べ始めた。 プリンは一人1つはあったから問題無いのだが、クッキーは大きな皿でみんなで食べられるようにしていたのを石垣が一人でバクバク食べ始めたものだから、バッキーはドン引きして八田さんは鬼のような形相になった。
せめて「頂きます」とか「ご馳走様」とか「美味しい」とか言えば良いのに、無言で当たり前の様に食べ始めるから、イラっとさせてしまったのだろう。
「石垣、一人で食べようとするな。みんなの分が無くなるだろうが」とすかさず注意するが「え?早い者勝ちでしょ?」と
怒りゲージが限界突破した八田さんは立ち上がるとクッキーの大皿を取り上げ、石垣をキィ!と睨み「石垣くんの分はもう無いから食べないで」と妙に低いトーンで言い渡した。 すると、花岡さんもまだ手を付けられてない残りのプリンをサササっと隠した。
俺とワラシとバッキーは息を呑んでその様子を眺めていたが、当の石垣は何事も無かったかの様な顔して「ゲームやろっと。誰か対戦する? 誰も居ないなら一人でしよっと」とみんなに話しかけたけど返事して貰えなくて結果的に独り言を言いながら、テレビに向かって一人でゲームを始めた。
石垣が来る前までの女子トークを聞いてて(そんなに言ったら石垣が可哀そうじゃん)と内心思っていたが、実際に来てからの言動を見ていると俺にはこれ以上フォロー出来そうになかった。っていうか、以前から謎の自信と意味不明な勘違いの多いヤツだから、俺やワラシには暴走しはじめた石垣を止めるのは無理だろう。
そして本当なら、俺が石垣のゲームの相手をするべきだろうが、放置するしかない。
俺だって、石垣の味方だと思われて女の子たちを敵に回したくはないからな。
それに石垣が一人でゲームを始めた途端、バッキーとワラシが二人して両サイドから俺に話しかけながらナチュラルに腕を掴んでて、まるで俺を石垣の所へ行かせない様にしていた。
因みに、バッキーとワラシのトークの内容は、おっぱいをモミモミされた時の話だった。
「フミコちゃんはケンピくんに胸触って貰った事あるの?」
「1度だけモミモミして貰ったよ。アレはビチョビチョどころの騒ぎじゃなかった。ヘブンズドアが開きそうだったよ」ぐふふ
「え?ケンピくんってテクニシャンなの???」
「ケンピくんはゴッドハンドの持ち主。神の領域」
「どんな感じなのか凄い興味ある! さっき花岡さんに揉まれたけどすっごく乱暴なんだもん」
「ケンピくんはおっぱい揉む時もイケメンだよ」ぐふふ
「恥ずかしいからやめるんだワラシ。それにおっぱい揉むイケメンってなんだよ。おっぱいを前にしたら全ての中学生男子はエロ小僧だからな」
こんな話で盛り上がっていた。
こうなって来ると、更にワラシが何言い出すか心配だし、女子とのエロトーク楽しいしで、石垣のことはどうでも良くなるのは仕方が無いことだろう。
「どうして男子っておっぱい好きなんだろうね?」
「自分に無いからだろうな。女子がおちんちんに興味あるのと一緒じゃない?」
「なるほど」
「なるほど」
二人はそう納得すると、ハンドおちんちんを同時に勃起させた。
二人の息はピッタリだった。
ワラシは最初からこんなんだったし、ここに居るみんなはワラシがこういう子だというのを知っているから今更なにも言うまい。
しかしバッキーの方は、元々はこんな子じゃなかった。
腹グロかったけど、陸上部時代は堂々とシモネタ言ったりエロトークしてるのを見たことが無い。寧ろあざとくてブリっこだったしな。
なのに最近のバッキーと言えば、花岡さんとのガチンコスカート捲りが記憶に新しい。
女子同士のスカート捲りは他でもたまに見かけるから、まぁ良いだろう。
だが、パンツまで下げるのはバッキーくらいだ。お陰で学校イチ美少女の生ケツ見れたけど。
そして、おっぱいを強調した服装で男子の部屋に遊びに来て、尚且つテクニシャンに揉んで貰いたいかの発言。 からの、おチンチンに興味あることに同意した上でのハンドおちんちん。
一見ワラシの影響で、エロい娘になってしまったかの様だが、ワラシは女子相手にエロイことは滅多にしない。 エロいギャグやネタやって満足したり、俺に対して発情したりするくらいだ。
だがバッキーの場合は、なんだかエロ親父っぽい?
確かにワラシの影響はあるのだろうけど、ワラシとは違う独自のエロ路線を進んでいるように思える。
過去と現在の色々を整理してまとめると、つまりバッキーは元々エロかったがブリっこぶってそれを隠していたと。それがワラシとの触れ合いで、隠すことを止めたか無意識に解放されたのかエロに興味ある自分を出し始め、更にワラシという手本にしちゃいけない人が目の前に居たから、こんな風に無自覚に暴走しているのだろう。
「バッキー」
「うん?どうしたの?ケンピくん」
「バッキーは、今、楽しいか?」
「うん!楽しいよ!」
そう答えるバッキーは、100点満点の笑顔だ。
「そっか。 じゃあ俺からは何も言うまい」
本人が楽しければ、問題ないだろう。
エロ親父になろうがビッチになろうが、俺は友達として生暖かく見守るだけだ。
___________
更新ペースが遅くなり、すみません。
現在、新作を書き始めているので、今後は更に遅くなる見通しです。
気長にお待ち頂けると、ありがたいです。
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