#67 女の子達の休日のオシャレ
体育大会当日の放課後は、花岡さんと鈴木くんが部活がある為、祝勝会は週末土曜日に俺の家ですることになった。
ファミレスやカラオケボックスで騒ぐのは俺たちのような田舎の中学生にはちょっと敷居が高いし、金銭的にも家とかでお菓子とか持ち寄った方のが安上がりだから。 それで、俺んちだったら前々からバーベキューしたりみんなで集まって遊んだりしてるので、じゃあ今回もとなった。
ということで、体育大会が終わった後の放課後は、俺とワラシと八田さんの3人で大人しく帰る。 バッキーは実行委員の為、後片付けがあって今日は一緒に帰れなかった。
「それにしても、今日のリレーは凄かったね!」
「俺たちの走り、ちゃんと見ててくれた?」
「もちろん!みんなすっごい恰好良くて、私も必死に応援したんだよ」
「そっか、八田さんが元気になってくれてよかったよ」
「もうね、フミコちゃんがあんなに真剣な顔で走るの初めて見たし、ケンピくんの最後も凄かった! 3年生相手に追い抜いたと思ったらビューーーンって置き去りにしちゃうんだもん! 何て言うの、最後の伸び?一人だけ異次元だったよ!」
「ケンピくんが最後の直線で加速すると同時に私の胸のドキドキもトップギア。恰好良すぎてあんなの見せられたら全校女子みんなパンツびちょびちょのぐちょぐちょ」
因みに、ゴール直後抱き合った俺とワラシだったが、二人ともムラムラしてしまったので、閉会式の後二人でこっそり部室棟の物陰に隠れて、チュッチュチュッチュとちょっとだけ発散した。 学校内でキスするのは初めてのことだった。
「走ってる俺の方は、めちゃくちゃ必死だったんだけどな。余裕なんて無くて死ぬ気で走ったよ」
「今日の体育大会のMVPは、間違いなくケンピくんだね。ハードル走でもダントツ1位だったし」
「ハードル走もそうだけど、練習しておいたお陰だと思うよ。みんな練習に付き合ってくれてありがとうね」
「まぁ、ケンピくんは私が育てたようなものだしね!総監督としては鼻が高いよ!」
「チッ」
「八田さん、調子に乗り過ぎると、また障害物競走の二の舞だぞ?」
「シズカちゃんが泣いて途中リタイアした黒歴史を私は忘れない」ぐふふ
「それはもう忘れてよ!」
そんな風に3人でお喋りしながらワラシんちの喫茶店に着くと、テーブル席に座っていつものバニラアイス抜きのコーラを注文して、お喋りしながら宿題を始めた。 最近はずっと体育大会の練習ばかりしてたから、こうやってワラシんちの喫茶店でのんびりお喋りするのは久しぶりな気がした。
◇
そして、週末の土曜日。俺んちでの祝勝会の日。
朝からワラシは来ていた。
ワラシとは毎週末お互いの家に行き来してるし、服装も家でゴロゴロできるラフな物が多いが、この日は流石にオシャレしてて気合が入っているようだった。
以前、俺がプレゼントしたバレッタで髪をハーフアップに留めて、白いロングのTシャツに赤と黒のチェック柄のミニスカート、同じく赤と黒の縞ニーソに編み上げブーツと、いつにも増してパンクなオシャレだ。
因みにロングTシャツの胸には、ダースベイダーとルーク・スカイウォーカーがそれぞれ腕を組んでそっぽを向いているイラストがプリントされていて、上に『親子喧嘩中』とタイトルが書かれている。 どこでこんなTシャツ見つけて来るんだろうか。
そして、最早ワラシの得意メニューと言っても過言では無い手作りのパウンドケーキを紙袋にいくつも入れて持ってきてくれた。
「今日はいつもよりも気合の入ったオシャレだな。 如何にもワラシっぽいセンスで可愛いよ」
「ありがと」ぐふふ
「とりあえずみんなまだ来ないし部屋で待ってよか。 荷物はケーキ?預かるよ。美味しそうな甘い匂いするね」
「全部で4つ作って来たの。 1つはケンピくんの家族用だから、先に分けておいてね」
「いつも悪いな。 みんな喜ぶよ、ありがとうな」
そう言って玄関でブーツを脱いで上がって来たワラシを抱きしめて、見つめ合ってからチュっとする。
俺の部屋へ行っても、いつもの様にワラシをヒザの上に乗せた対面座位で、ちゅっちゅとイチャイチャしつつお喋りしながらみんがが来るのを待った。
今日のメンバーは、言い出しっぺの花岡さん、総監督の八田さん、クラスは違うけど練習を手伝ってくれたバッキー、そしてワラシと俺。 鈴木くんは午前中部活があるらしく、終わってから直接ウチに来る。
そして、今回祝勝会をすることを聞きつけた石垣も来ることに。
あまりにもしつこく「俺も行きたい!」と言うので、花岡さんに確認すると「いいよ~」と適当にOKされたので、「くれぐれも調子に乗って変な事するなよ? 特に八田さんをまた怒らせるなよ?」と約束させて、来ることをOKした。
花岡さんは俺んちの場所を知らない為、八田さんとバッキーの3人で待ち合わせしてから自転車でやってきた。
ワラシと二人で玄関で出迎えて上がってもらい、俺が自分の部屋に案内して、ワラシはその間にキッチンで飲み物の用意している母さんを手伝いに行ってくれた。
八田さんたち3人はウチの学校の2年を代表するような美少女たちだが、その服装のセンスはバラバラでちょっと面白い。
八田さんは、髪をサイドテールにまとめて、真っ赤なロングのTシャツに黒いレースのミニスカートで、黒いタイツにアディダスのスニーカー。
Tシャツの胸には白い文字で「フレンドリーファイア日和」とプリントされている。
更にそのTシャツの背中には、的がプリントされていた。ココを狙えってことだろう。
俺やワラシやバッキーの様な身近な人からはいつも雑に扱われてる八田さんに、ピッタリだ。
後で聞いた話では、今日のワラシと八田さんの服装は、以前二人で買い物に行った時に買って来た物だそうで、二人で示し合わせて今日着て来たらしい。 道理でどことなく似たような色合いだ。
バッキーは、カチューシャで前髪を上げてて、赤い半袖のニットに濃いグレーのスカートをサスペンダーで吊ってて、脚は黒いタイツに茶色のショートブーツ。
見た目だけは清楚なバッキーらしいが、いつもよりも大人っぽい。
それに、ニットで大きな胸のラインが強調されてる上にその胸がサスペンダーに挟まれているせいで、ぶっちゃけここに居る女子の中で一番エロい。
そして、私服姿を見るのが初めての花岡さんは、薄い水色で無地のTシャツに、スリムなGパン。靴はクロックサンダル。
意外にも、学校イチの美少女は実にシンプルで地味な服装だった。
オシャレというよりも、どちらかと言うと、普段着?俺やワラシが遊ぶ時の様な家でゴロゴロできるスタイルだ。
だが、今いる4人の女の子の中で、一番華があった。オーラとも言うべきか。
シンプルで地味な服装だからこそ、長身でスタイルが良く、小さくて可愛い顔が際立っているのだろう。 花岡さんは自分の容姿が優れているのを分かってて、着飾ることを敢えてしていないんじゃないかと思えた。
そんな花岡さんを見て、「花岡さん、凄いな。同じ中学生に見えない」と思わず感嘆の言葉を漏らした。
「え!?やっぱ地味すぎた? 今日はみんなで騒ぐつもりだったから動き易い服装にしたんだけど、ジャージよりはマシでしょ?」
普段はジャージなのかよ。
「いや、地味じゃない。 花岡さんは自分の容姿の素晴らしさをよく理解してて、それをシンプルな服装を着こなすことで更によく見せるのが上手だな、そういうことが出来るセンスが凄いな、中学生のレベルじゃないなって思ってホメたの」
「えー?そんな難しいこと考えてないよ? マジで最初ジャージで来ようとしたんだけど、流石に初めて男の子のお家にお邪魔するし、シズカちゃんも千葉さんもオシャレしてくると思って、ちょっとは小綺麗な格好をってGパンにしたんだけど」
「花岡さんは、スカートとか履かないの?」
「あーそういえば、あんまり履かないかも。 家とかだとずっとジャージとかハーフパンツが多いね。休みの日に遊ぶ時もバレー部の友達とかが多いからみんなこんな感じだし」
「まぁ体育会系だしね」
「そうそう、ケンピくんもそんな感じでしょ?」
花岡さんと二人で盛り上がっていると、八田さんがちょっとスネた。
「私とアキちゃんも頑張ってオシャレしてきたんだから、私たちもホメてよ!」
男子がまだ俺しか居ない為か、欲しがり屋さんの八田さんがいつもの様に我儘を言い出したので、八田さんとバッキーの服装もホメることに。
「流石八田さん、相変わらず可愛くてオシャレに余念が無いね。 障害物競走の粉塗れの真っ白い姿でエグエグ泣いてたのがウソみたいだ」
「はぁ!? いい加減ソレは忘れてよ!もう!」
折角ホメたのに、まだ騒ぐ八田さんをスルーして、今度はバッキーをホメる。
「今日のバッキー、最高。 流石ワラシに次ぐ美巨乳の持ち主。良い物を拝ませてくれてありがとう」
そう言って、神妙な面持ちでバッキーに向かってパンパンと2度拍手してから頭を下げると、バッキーは胸を突き出す様にエッヘンのポーズで「ふふふ」と笑みを浮かべた。 どうやら、胸を強調した清楚なのにエロイ今日の服装は、狙ってやっていたらしい。勝ち誇った様などこか余裕を感じさせる笑顔だ。
その笑顔を見ていると、胸が小さいことがコンプレックスの八田さんに対して、マウントを取っている様にも見えてしまう。
そんなことをしみじみと感じ入っていると、花岡さんがバッキーの背後に回り「千葉さんもおっぱい大きいよね!」と言いながらガシっと両手でバッキーのおっぱいを鷲掴みにして、遠慮なく揉み始めた。
謎の巨乳マウントで余裕かましていたバッキーは不意打ちされた形になり、抵抗虚しくされるがままに花岡さんにおっぱいを揉まれ続けていた。
美少女二人の組んず解れつの様子は、バッキーのおっぱいを強調した服装にちょっぴりムラっとしてたこともあり、「羨ましい。俺も混ざりたい」の一言だった。
因みに、チラリと横目で八田さんへ視線を向けると、両手を自分の胸に当てて静かにモミモミと哀愁を漂わせていた。
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