#18 よく喋る癒しの天使
給食を食べ終えた後、いつもの様に図書室でワラシと待ち合わせ。
もう何度目かだから俺もワラシも慣れた物で、言われなくても俺はワラシの隣に座り、ワラシも俺と肩がくっ付くくらいイスごと寄せる。
「今朝、ワラシが俺の方見てニッコリしてくれたじゃん?」
「ええ、ええ、ありましたね。 何か視線を感じて振り向いたらケンピくんが眉間に皺寄せて面白い顔してたんで思わず笑いそうになっちゃいましたよ。私教室じゃ大人しくしてるのにケンピくんの顔芸に、してヤラレました。ケンピくんあんな隠し技持ってたんだね。ちょっと卑怯だと思いました。今なら石垣くんの気持ちも分かる気がしますよ」
「いや顔芸でも隠し技でも無いんだけどな・・・ワラシにそんなこと言われると、マジで凹むんだけど?」
「え?顔芸じゃなかったんですか? じゃぁあれは・・・お腹でも壊してました?トイレ行って一回ウンチしたら楽になりますよ?紙ありますか?貸しますよ?学校のトイレ行ってウンチしたあと紙無くて地獄見た事何度もあるのでいつも持ち歩いているんですよ、私」
「ワラシって、とりあえずウンチネタ振っておけば大丈夫とか思ってない? っていうか俺お腹壊してないからな!ワラシに向かって念を送ってただけだからな!」
「ケンピくん興奮しないで下さい。図書室追い出されちゃいますよ。折角のオアシスなんだから静かにしましょう」
「ああ、スマン」
「それで、念とは?テレパシーとかですか?ケンピくんもそういうのに凝り始めてるんですか?サイコキネシスとかUFO呼び出すとかそういう系統に目覚めちゃいました?中学2年ですもんね。そういう年頃ですもんね。うんうん。私もそういう経験あるから凄く分かりますよ。でも気を付けて下さいね。後で絶対来ますから。悶絶する位恥ずかしくなるのが。自分の行動振り返って「うわぁぁぁ」て叫びたくなるんですよ。私の時はカエル捕まえてきて一生懸命人間語覚えさせようとしましたね。毎晩3時間くらいカエルにカタコトの日本語で話しかけてましたけど、あれは半年後くらいに猛烈に恥ずかしくなりましたね」
「いや、俺のは中二病じゃねーよ、多分・・・・」
「うんうん、そうですよね。否定したくなっちゃいますよね。思春期ってそういう物ですよね」
「なんか今日のワラシ、俺の事を肯定しているように見せかけて、若干上から目線でバカにしてるよな? ワラシがそんなヤツだとは思わなかったな。 折角今朝のワラシの笑顔に癒されてワラシのことが天使に見えたってお礼言おうと思ってたのに、ワラシがこんなヤツだって分かってガッカリだわ」
「むむむ、私見て癒されてたんですか?それはちょっとテレちゃいますね。ぐふふふ。でも私が天使に見えるとかやっぱり中二病じゃないですか?お薬出しましょうか?処方箋書きますんでお薬の購入は向かいの薬局でどうぞ。え?ジェネリックですか?う~ん、中二病に関する医薬品はジェネリック対象外ですね」
ワラシがちょーウザいことばかり言ってるけど、俺、実は全然怒っていない。
口では文句言って怒ったフリしてるけど、ワラシのトークが面白すぎる。
なんでこんなに次から次へと絶え間なく面白い話が湧いてくるの?
やっぱりワラシって頭の回転が良いのかな。
それとも普段からこういうことばっか考えてるからネタのストックが豊富なのかな。
こんな話をしながらも俺たち二人は周りから見えない様にこっそり手を繋いだりしてて、やっぱりワラシと二人でいちゃいちゃする時間は楽しいし癒される。
「ところで、カエルに日本語教えてたのって、どんな風に?」
「ワタシノナマエハフミコイノウエ。スキナタベモノハネギトロマキ。キライナタベモノハスノモノデス」
「システムメッセージもやってみて」
「――ソノリクエストニハオコタエデキマセン――」
「一緒じゃね?カエルと会話するのとシステムメッセージ」
「――コノセカイノシンエンニフレルノハ、キケンデス。タダチニヒキカエシテクダサイ――」
「ワラシの世界観、難しくてよく解らんな」
「――ケンピハエラバレシモノ。コノセカイノキキヲスクウモノデス――」
「え?そうなの?俺、実は勇者だったりするの?」
「――ケンピノショクギョウハ、ショウカンシデス――」
「え?召喚士だったの?俺」
「――ケンピハフミコヲショウカンシタ――」
「え?ワラシって召喚獣だったの?」
「ふぅ、大した用事もないのに召喚するなんて、ウチのご主人様は人使いが荒いですねまったくもう。ブラック企業並みですよ。金曜日の退勤時に土曜の休日出勤命令してくるのホント迷惑ですよね」
「もう訳が分かんないぞ。ワラシのヘビィなトークにこれ以上ついて行ける自信ないわ」
「私は強く要望します!召喚獣の労働環境改善を求めます!」
「具体的にはどんなことを?就労時間とか?」
「いえ、頭ナデナデを求めます!あとハグも!」
「やっぱワラシって甘えん坊だよな。とりあえず頭は撫でとくな。 ハグはここだと見られるからまた後で」
そう言ってワラシの頭をナデナデすると「ぐふふふ」といやらしい笑顔になった。
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