#24 買い出しのデート パート2
歩きながらお昼は何食べたいかワラシに聞くと「ラーメン食べたい!」と即答だったので、とんこつラーメンのお店に入った。
店内は、そこそこ混んでいたけど、まだ席は空いていたから直ぐに座れた。
二人ともとんこつラーメンを注文して、待っている間に今年のボランティアのことを相談をした。
「今年のボランティア、ワラシと一緒のにしたいんだけど、いい?」
「うん、良いけど、何にするとか決めてるの?」
「いやまだ。 それをワラシと相談したかったの。でも時期は夏休みにしたいとは思ってる」
「私も夏休みでいいよ」
「ワラシは去年は何のボランティアだったの?」
「学校紹介ので、中東とかアフリカとかに送る衣類の仕分け?」
「なにソレ?」
「うんとね、不用品とかで回収した洋服とかをアフリカとかの貧しい地域の子供とかに送るんだって。それで送る前に男性用とか女性用とか、あとはサイズの仕分けとか汚れの確認とかしてダンボールに詰めていくの」
「へぇ~、それって結構大変だった?」
「ううん、全然楽だったよ。時期も去年は夏休みだったよ」
「じゃぁ今年もソレある様ならソレにするか」
「うんわかった。 月曜日のお昼時間に申し込みの用紙貰いにいく?」
「うん、そうしよ」
そこまで決めたタイミングで、とんこつラーメンが運ばれて来たので二人で「いただきます」と言って食べ始めた。
ワラシは背が低くて体も小さいのに、よく食べる。
俺と同じ量のラーメンでも普通にスープまで完食していた。
お店の入り口に行列ができ始めていたので、食べ終えると直ぐに席を立ち会計を済ませ、お店をあとにした。
お店を出てから再び手を繋いで、のんびり歩きながらお喋り。
「ワラシ、ラーメン好きなの?」
「うん、大好き! ウチ、お店してるからあまり他所のお店で外食とか出来ないんだけど、近所のラーメン屋さんだけはご近所同士の付き合いとかもあってよく行くの」
「へぇー、ワラシんちのご近所のラーメン屋さんって言ったら「曙ラーメン」? 春日先輩んちか」
「そうそう春日さんのお家の。 曙ラーメンの塩ラーメンが好きなの」
「あー、俺も何回か食べたなあそこの塩ラーメン。確かに美味しかった」
お喋りしながら歩いていると女性物の雑貨屋さんに着いたので、店内に入ってワラシが文房具をアレコレ物色しているのに付いて周る。
ワラシは可愛いシャーペンとか筆入れを探していて、気に入ったシャーペンを見つけたらしく、俺に「ケンピくんもお揃いにして使ってみない?」と聞いて来た。 以前の俺なら、女子にお揃いの文房具とか言われたら、恥ずかしくて即拒否していただろう。
だが今の俺は、ワラシがそうして欲しいなら何も迷うこと無い。そのシャーペンがいくら女の子向けのファンシーな物だろうと、ワラシの喜ぶ顔を見る為なら、と俺も購入。
ワラシの文房具の買い物も終わると、俺はその雑貨屋の中で気になって居たコーナーへワラシを連れて行った。
女性物のバレッタやヘアピン等、頭に使うグッズのコーナーだ。
当然、俺が自分で使うためじゃない。
ワラシに使って貰う為だ。
雑貨屋に来てからワラシの後ついてうろうろしてたらこのコーナーが目に入って、折角俺の為にオカッパ卒業を決意してくれたワラシに、俺から応援の気持ちで何かプレゼントがしたくなったんだよな。
ワラシに聞いてみると、あまりこういうグッズは持ってないそうで普段家ではヘアバンドとかが多いらしく、なら丁度いいと思いアレコレ選んではワラシの頭に当ててチェックをした。
ワラシの方も興味はある様で、俺が選んでは頭に当てると、自分もお店の棚に設置されている鏡でチェックしていた。
俺としては、とあるアニメのバニーな先輩が付けてたようなウザギのヘアピンをイメージしていたが、ああいう子供っぽいのはワラシみたいな身長チビっ子が付けると、本当に子供っぽくなってしまいあまりよろしく無かった。 多分、大人っぽい綺麗な人が敢えて子供っぽい物を使うから可愛いのだろう。
ワラシの意見も聞きつつ、シンプルなデザインのクリップタイプのヘアピンのセットと、少し大きめのパールみたいな質感のバレッタを1つ選んで購入して、ワラシにその場でプレゼントした。
俺は最初からプレゼントするつもりで選んでいたが、そのことを口に出して伝えずにアレコレ選んでいたし、ワラシは本当に買って貰えるとは思っていなかったのかプレゼントを受け取ると、ビックリして固まっていた。 俺としては、大した金額じゃないし、親から貰ったお小遣いで買ったものだから、そんなに気にするほどのことじゃないと思っていたが、ワラシにとっては異性からのプレゼントは生まれて初めてだったらしく、驚きと感激の嵐だったらしい。
買い物の後、休憩しようってことでモール内にあるファーストフードに行って、シェイクを飲みながら色々お喋りしていたが、ワラシは俺が渡したプレゼントの包みを大事そうにずっと抱きしめていた。 俺もそんなワラシの様子を見ていると、嬉しい気持ちがジワジワ湧いて来て、恋人同士が何かとイベントの度にプレゼントを贈り合うことが習慣になっていることを思い出しては、「プレゼントするのって相手が喜ぶ姿見たくてするんだな」と妙に納得した。
週明け月曜日、ワラシは俺がプレゼントしたヘアピンで髪を留めて学校に来た。
俺もワラシとお揃いのシャーペンを持って行った。
そのシャーペンを見た石垣が「ケンピの顔にちょー似合わねー」とゲラゲラ笑いやがったので、石垣が笑うのを止めるまで肩パンチした。
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