#48 貪欲なワラシ
ワラシに祝って貰った誕生日の翌日。
朝起きて、ジョギングに行く為に着替えてから洗面所で顔を洗い、正面の鏡に写る自分のほっぺを見て、昨日のキスを思い出す。
自然と顔がニヤケる。
改めて、「ワラシは俺のカノジョで、俺はワラシに愛されているんだ」という実感が湧いて来る。
鏡に写る自分のニヤケ顔は、相変わらずブサイクだけど、なんか劣等感とか悲観とかそういう気持ちが薄れてる。
14歳になると同時に、ワラシのお陰で精神的にもヒト皮が剥けた気分だ。
ジョギングシューズを履いて、いつものコースを走る。
心なしか体が軽い。
「俺、昨日カノジョにキスしてもらったんだよ!」と大声で自慢しながら走りたい気分だ。
そのせいか、毎朝のジョギングでよく見かける名前も知らない人(俺と同じようにジョギングしてたり、犬の散歩の人などなど)たちにする「おはようございまーす」の挨拶も、テンションが高めになってるのが自分でも分かる。
帰り道にワラシんちの喫茶店の前を通ると、いつもの様にお母さんが店先の掃除をしていたので、「おはようございます!」と元気良く挨拶。
「ケンピくん、おはよう! 今日は元気いいね!」
「朝から体軽くてテンション高いっす」
「うふふ、あ、昨日誕生日おめでとうね。フミコまで焼肉に連れてってくれてありがとうね」
「いえいえ、俺もしょっちゅうご馳走になってますんで全然気にしないで下さい。 あと、またお店のお手伝いもさせて下さい! 俺ヒマなんでじゃんじゃんコキ使って下さい!」
「じゃあ、またお願いしようかな?」
「はい! じゃあ俺帰ります! また後で来ます!」
「はーい、車に気を付けてねー」
この日、朝からワラシの家に、ワラシと八田さんと俺の3人で集まった。
午前中はいつもの様に宿題を進める。
2時間ほど黙々と勉強を進めてから、この日の勉強を終わりにして、本題に入る。
遊ぶ計画の相談だ。
ただ3人でどこかに出かけようとかそういうのじゃなくて、千葉も誘って遊ぼうって話。
二人や真中たちにも話したが、別に千葉に謝って欲しい訳じゃないし、泣かれたりしんみりするのも避けたい。
となると、お互いテンションが揚がるような遊びに出かけるのが一番いいんじゃないかってことだ。
「夏だし、海とかプールとか?」
「海なら近いしいいかもだけど、八田さんとか千葉居るとナンパとか凄そうだな」
「じゃあプール?」
「プールかぁ。泳ぐ以外は?」
「バーベキューとかしたい。炎を見るとメスの血が騒ぐ」
「ワラシは泳ぐよりも食べる派か。食べるの好きだもんな、ワラシ」
「バーベキューねー、確かに良いかも。 ドコかのアウトドアの施設とかでするの?」
「あー、バーベキューするなら俺んちの庭でいいよ。 バーベキュー用のコンロとかテーブルセットとか色々あるし、それにウチだったら家に母さん居るから俺たちだけでも問題ないだろうし」
「じゃあ私もバーベキューに賛成で!」
「あとは日程とか準備か。 八田さん、申し訳ないんだけど千葉と連絡取って、誘うのと大丈夫そうな日とか聞いて貰ってもいい?」
「おっけー、今から電話してみるね」
八田さんが自分のスマホで千葉に電話を掛けると、直ぐに出てくれた様で、最初は事情説明みたいな話が続いて、ようやく千葉にも意図が伝わったのか、今度は「夏休み中何してる?」とか雑談を始めた。
俺とワラシはそれを横で聞いてて、ふとワラシの唇に目が留まる。
俺よりも一回り小さいんじゃないかっていうくらいの小顔にぷっくりとした唇が自己主張している。
昨日のキスをまた思い出して、顔がニヤケる。
俺の視線に気が付いたワラシが
「ケンピくん、いやらしい顔になってるよ。エッチなことでも考えてたの?心なしか股間がもっこりしてますね。オスの血が騒いじゃいました?」
「いや、昨日のこと思い出してただけだ。 因みにおちんちんは、半分立った状態。「半立ち」ってヤツだな」
「な、ななんと!おちんちんって半分立ったりするもんなんですか!? よく硬くなると大きくなるって聞くけど半分だと硬さも大きさも半分なの?」
「うーん、説明難しいな。 例えば普段はこんな感じで、それが元気いっぱいフル勃起状態がこんな感じだとするだろ? 半立ちだとこんな感じ」
俺は拳を握った右手をちんこに見立てて、ダラ~んと下げたりグッっと力強く持ち上げたりしながら説明した。
すると八田さんが左手で持ったスマホを右手で押さえながら
「ちょっと!電話してる横でおちんちんとかフル勃起とか止めてよ!千葉さんにも聞こえちゃってるよ!」
「八田さんが「おちんちん」とか「フル勃起」とか言うと、なんか美人なのが台無しだな」
俺の指摘に八田さんがキィィ!っと睨んできた。
睨まれた俺とワラシは、お口チャックのジェスチャーをして大人しく黙る。
しばらく八田さんが話すのを黙って聞いていると、再びワラシと目が合う。
ニコリと微笑むワラシ
やっぱりワラシの笑顔には癒されるなあ、と思った瞬間、ワラシが拳を握った右手をグっと上げる。
先ほど俺が説明するのにやっていた右手をちんこに見立てたヤツだ。
あの角度は「半立ち」だな。
「ぷっ」と思わず吹いてしまうと、八田さんが通話しながらこちらに視線を向けてきた。
どこか誇らしげな表情のワラシは、今度は右手の肘を自分のお腹の辺りに当てて八田さんに向かって右手をグッっと勃起させた。
今度は「フル勃起」の角度だ。
「ぶふぉ」っと噴き出す八田さん。
なんてヤツだ。
俺が分かり易く説明しようとやったハンドおちんちんを、直ぐ様アレンジ加えて自分の持ちネタにしやがった。 ギャグに対して貪欲すぎるだろ。
俺と八田さんの反応に満足したのか、ワラシは「ぐふふふ」とイヤらしい笑みを浮かべて、ペットボトルのお茶をゴクリと一口飲むと「ぷふぁ~」とヒト仕事終えた後の様な息を吐いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます