#49 ブヨンブヨン



 八田さんは千葉と雑談しつつ警戒心を解いていき、本題の「夏休みの間に一緒に遊ぼう」と誘ってくれていた。


 因みに、スマホをスピーカーにしてるから俺も会話に入ることを考えたが、ボランティアの時の様子から、俺が会話に入ると千葉が委縮したりしてバーベキューの誘いも遠慮するんじゃないかと心配して、交渉は全て八田さんに任せた。


 八田さんは学校では優等生として周りからの信頼が厚く、千葉はキャンプの時やボランティアの時なんかも警戒しながらも八田さんの言うことを聞いている様に感じたし、交渉事は口を出さずに八田さんに全て任せた方が良いだろうと考えた。



 で、結論としては、千葉はバーベキューに来ることを了承してくれた。


 日時は、三日後。今週の土曜日のお昼。

 場所は俺んちで、当日は八田さんが千葉と待ち合わせて一緒に来ることに。

 参加メンバーはこの3人と千葉の計4人。 

 一応宮森さんにも声を掛けたが、今回はパスとのこと。 

 あとは、石垣も呼ぼうか少し悩んだが、やめておいた。あいつ居たら唯でさえデリケートな集まりなのに、いらんコトして面倒臭いことになりそうだから。


 直ぐに母さんに電話して、ウチで友達呼んでバーベキューしたいコトを話すとその場でOKしてくれた。 それと、材料とかも全部ウチで用意することもOKしてくれて、前日に母さんに車を出して貰って、みんなで買い出しすることになった。



 バーベキューの計画が概ね決まる頃に丁度お昼どきとなったが、この日はお店の方が忙しいそうと言うことで、ワラシと八田さんが2階のキッチンで焼きそばを作ってくれた。

 ワラシの部屋で焼きそばを食べながら、バーベキュー以外にも遊びに行く相談をした。



「やっぱりプールか海に行きたい!」


「八田さん、そんなに泳ぎたいの?」


「だって、今年折角水着買って貰ったのに、まだ1回しか着てないんだよ?」


「へー、流石おしゃれさんは違うな。俺なんて体育で使ってるのしか持ってないよ」


「私も」


「えー、フミコちゃんは可愛い水着着ようよ!ケンピくんにアピール出来るよ!」


「確かに。おっぱい大好きケンピくんにアピールするチャンスかもしれない」


「いや、恥ずかしいから「おっぱい大好き」って呼ぶの止めて」


 俺がそうお願いすると、ワラシは箸を置いて徐に自分のおっぱいを下から両手で持ち上げるようにブヨンブヨンとしだした。


「ワラシ、エロいアピール嬉しいんだけど、八田さん居る時されると結構キツイんだが」


「え?私が居るとなんでダメなの?」


「ムラムラしてイチャイチャしたくなっちゃうのに、八田さん居たらイチャイチャ出来ないでしょ?」


「それって私が邪魔者ってことじゃん!」


「そうとも言う」


 俺と八田さんが話している間も、ワラシはおっぱいをずっとブヨンブヨンとアピールしていた。



「それにしてもフミコちゃんのおっぱい柔らかそうだね! 私も触っていい?」


「いいよ」


「マジ? 触らせちゃうの?」


「だってボランティアの時にシズカちゃんのおっぱい沢山揉みしだかせて貰ったから」


「あれは酷かった!あんなセクハラされたの初めてだったよ!」



 八田さんはワラシの背後に座ると、後ろから両手を回してワラシのおっぱいを下から控えめにブヨンブヨンと始めた。


「うっわでっか!すっごい柔らかい!え?なんで???ブラしてる?ノーブラじゃないの?」


「うん。スポーツブラだから」


「あーなるほどぉ、締め付けてないんだ」


 二人がおっぱい談義に花を咲かせている間も、八田さんはずっとブヨンブヨンとしていた。



「女の子二人がおっぱいで遊んでるこの状況、エロすぎだぞ。俺はどうしたら良いんだ?」


「ケンピくん、羨ましいんでしょ~? ホレホレ!」


 八田さんはそう言いながら、今度はワラシのおっぱいを小刻みにブヨンブヨンし始めた。


 八田さんは楽しそうだが、何故かワラシはおっぱい揉まれながら修行僧の様な無表情だった。


「どうした?ワラシ。 元気なさそうだけど?」


「おっぱい揉まれながらイメージトレーニング中」


「え?なんの?」


「ケンピくんに揉まれてる時のイメージ」


 すかさず八田さんが突っ込む。


「私ってケンピくんの代わり!?っていうか目の前に居るんだから本人に揉んで貰えばいいじゃん!イメトレする必要なくない!?」


「八田さん、俺たちの様なピュアで初心なエンジェルには、心の準備ってものが必要なんだよ。八田さんみたいに世俗の汚れにまみれて穢れてはいないからな」


「いやいやいや、私も穢れてないから!恋人居ない歴イコール年齢だからね! っていうか、二人のが腹黒くて汚れまくってるし! いっつも私に意地悪しては喜んでて性格もひん曲がってるじゃん!」


「八田さん、一つ勘違いしてるな。 別に俺たちは性格悪くて意地悪が好きって訳じゃないぞ? 八田さんイジった時の反応見るのが大好きなだけだからな。 な?ワラシ」


「ええ、全くもってその通りです。 シズカちゃん、きっと勘違いしてますね。私達なりに愛でてるんだよ」


「いや、それの方のがもっと性格悪そうなんだけど!」



 改めて見ると、無表情のワラシのおっぱいを八田さんがブーブー言いながらも手を休めずに揉み続けているこの絵面は、なんだかシュールだ。







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