#40 3人の関係性



 キャンプが終わって夏休みが本格的に始まり、楽しい毎日。


 早朝ジョギングに行って、ワラシのお母さんとの挨拶と雑談。

 午前中、朝からワラシの家に行ったりワラシが俺んち来たりして、夏休みの宿題の消化。

 お昼も一緒に食べて、午後は家でいちゃいちゃしながら動画見たり読書して過ごしたり、買い物に出かけたり。


 たまにウチの母さんに「買い物行くから荷物運ぶのに手伝って」と言われると、ワラシも一緒に連れて母さんの車で買い物に出かけたりすることもあるし、逆にワラシんちの喫茶店で、お店の手伝いをさせて貰うこともある。 手伝いって言っても、普段ご馳走になってるお礼にお掃除とかジャガイモの皮むきとか本当に雑用とかだけど、ワラシと一緒にアルバイトでもしてるみたいで、結構面白い。


 こんな風に俺たちの付き合いは、家族ぐるみのお付き合いになりつつある。




 石垣や真中ともちょくちょく遊ぶ。


 最近は俺がずっとワラシとべったりだから、二人が俺たちに併せて俺んちに来てくれて、4人でゲームしたり、石垣をいじったり。


 石垣は、相変わらず八田さんのことを諦めておらず、だからと言って休みの間に八田さんと遊ぶ約束したりしてる訳でも無く、そんな石垣には俺とワラシが八田さんと遊ぶ予定あることとかは黙っている。 そんなこと石垣が知ったら「俺も一緒に!」とか言い出して、で、もし本当に来ても石垣はどうせまた緊張して大人しくなるし八田さんは不機嫌になることが目に見えているので、ワラシとは事前に極秘にすることを打合せしてあった。





 そんな八田さんとは今更だけど、トークアプリで俺たち3人のグループを作ってて、ワラシと八田さんは毎晩の様に通話しているらしく、俺の目から見ても二人は本当に仲良しになっていた。 因みに、昼間は俺とワラシが二人で遊んでる時間は八田さんが遠慮して、夜に通話してるらしい。


 3人でお喋りしたりチャットしてて気が付いたんだけど、ワラシってボケしかしない人。 俺がボケてもツッコまずに更にボケを被せて来るくらいボケしかしない。 逆に八田さんはツッコミばかり。ある意味一番苦労してる。八田さんがボケたくても、ワラシや俺がボケ続けるからツッコミせずにはいられない感じ。

 で、俺は、ワラシと二人だとツッコミ多めで、八田さんが加わるとボケたくなる。 つまり八田さんが居ないと、俺には誰もツッコミ入れてくれなくて、ワラシと二人の時は二人で延々とボケ続けるハメになることもある。


 そう考えると、今まで以上に八田さんの存在にありがたみを感じることが出来た。


 その話をワラシにすると「今やシズカちゃんは貴重な人材。糞ビッチ3号大出世」と同意していた。


 更にそのことを感謝を込めて八田さんに話すと「いやソコはもっと他に有るでしょ! いつも優しくしてくれてありがとうねとか!可愛い子と仲良く出来て嬉しいよとか! それじゃまるでツッコミだけしか必要とされてないみたいじゃん、わたし!」と興奮してやっぱりツッコミを入れてくれた。


「え?シズカちゃんに他の需要あるの?」


「石垣を大人しくさせるのに必要だな」


「なるほど。それには同意せざるを得ませんね」


「私、一応はこれでも2年の女子の中だとモテる方で人気だってあるし男子も女子もみんなイイ感じに扱ってくれてると思うんだけどな・・・こんなヒドイ扱いしてくるのこの二人だけだよ・・・」



 八田さんは、普段は他人の前で自分を「可愛い」とか「モテる」とか絶対に言わないが、1学期最後の告白事件のあたりから、俺やワラシにはその辺の本音も普通に話す様になっていた。実際にサッカー部の3年の件は事前にワラシには相談してた様だし、あの日サッカー部の男子に呼び出された時に俺たちに待ってて欲しいって言ったのも、そのことを俺に相談したかったらしい。

 そういうモテるからこその悩みなんかは俺たちに黙ってるよりも、相談したり愚痴ったりした方がお互い気を使わないし、何かあった時に対応しやすいってことなんだと八田さんなりに考えてるんだと思う。


 それだけ八田さんは心を開いてくれてると感じるし、多分俺とワラシが付き合っていることも、八田さんにとっては安心出来るんだと思った。

 恋人の居ない女子に相談すれば、「嫌味か」って思われ嫉妬されかねないし、同じく男子に相談すれば「そんな相談するなんて俺に気が有る?」って思われ勘違いで面倒なことになるし。 そういう意味では俺もワラシも安心出来るんだと思う。






 キャンプが終わって数日後、夏休みに入って初めて八田さんと遊ぶことになった。


 午前中は宿題してるよって教えると、一緒に宿題もしたいと言うので、朝からワラシの家に来ることに。


 朝の9時頃にワラシんちに行くと、八田さんも丁度来たところで、お店の方でワラシが降りてくるのを待ってるところだつた。

 八田さんは凄くオシャレしてて、普段の1.2倍くらい可愛かった。


 俺もワラシも、夏休みは家とかでゴロゴロしてばかりだから、ハーフパンツにTシャツとか凄くラフな格好ばかりで靴とかもクロックサンダル一択だ。 それに比べ、初めて見た八田さんの私服姿は、肩出してるしスカートも短くて露出が多くサンダルのヒールも高いし、女子のオシャレとか詳しくない俺でも「こんな人が町中歩いてたらナンパとかされて大変そうだな」って思った。



「八田さん、なんか気合入ってるね」


「そうかな? 中2だしこれくらいは普通だと思うよ?」


「流石元糞ビッチ3号、女子力高いアピールがあざとい」


 2階から降りて来たワラシは、女子力の差を感じたのか、ぐぬぬぬって結構マジで悔しそう。


「じゃあ!今日お昼からとか3人で買い物行かない? フミコちゃんのお洋服とか見に行こうよ!」


「あ、それ俺もちょっと興味ある。行くならショッピングモールとか?」


「そうだね。自転車で行く?」


「おっけ。八田さん自転車で来てるよね? なら俺も後で自転車取って来るよ」


「二人ともその気になってるけど、今月新刊多かったからお小遣いに余裕ないよ」


「だいじょーぶだいじょーぶ!見るだけでもネ! 3人でデートに行こう!」





 ということで、3人で宿題をしてからお買い物に行くことになった。





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