#51 Lvアップと汚れたパンツ



 土曜日、バーベキュー当日。

 朝からカンカン照りの快晴。

 今日は暑くなりそうだ。



 ワラシはバーベキューの準備のお手伝いの為、朝からウチにやって来た。


 この日は、庭で火をおこしたり焼いたりするので、汚れても良い服装で来るように女子3人には言っておいた。


 ワラシの服装は、下はハーフパンツのジャージに上は胸に大きなドクロと「punch drunker」の文字がプリントされている黒いTシャツ。 頭には麦わら帽子を被り、クツはいつものサンダル。

 このTシャツは俺に対しての何かのメッセージなんだろうか。 わからん。



「おはようワラシ。朝早くから悪いな」


「ううん。バーベキュー楽しみで早く目が覚めちゃったから」


「準備始めるの10時くらいからの予定だから、それまで俺の部屋でクーラー効かせて休んどくか」


「うん」



 俺の部屋では俺が胡坐で座ると、ワラシは何も言わずに俺の上に座り対面座位になった。


 この体勢は二人きりの時はもはやお約束になっているので、最近ではドキドキはしないが、ムラムラはする。



「ワラシ、この後八田さんたち来てバーベキューだって言うのに、ムラムラしちゃうんだけど」


「だいじょーぶ、ワタシもビショビショだから」


「それはだいじょーぶとは言わないと思うぞ」


「でもケンピくんの上から動きたくない」


「うーむ・・・」


 ワラシの顔を至近距離でじーっと見つめていると、ワラシは更に顔を近づけて俺の唇にキスしよとした。


 が、唇よりも先に、鼻とオデコがガツンとぶつかった。


「ワラシ!だいじょーぶか!?今の結構勢いあったぞ???」


「だ、だいじょーぶ。失敗しちゃった」


 涙目になりながら自分の鼻を押さえるワラシ見てたら、愛おしい気持ちが湧いて来て、鼻を押さえているワラシの腕を掴んでどかして、今度は俺から唇にキスした。


 ちゅっと一瞬だけくっつけて直ぐに離れると、ワラシは眼を見開いた。


「け、ケンピくんのがキスが上手! イケメンキスはんぱない」


「首少し傾けてすると鼻ぶつけずに出来たぞ」


「こう?」


 そう言って今度はワラシが首を傾けながら俺の唇にキスした。


「ホントだ上手くできた。1つ賢くなった。 あ、そうだ」

「――ケンピトフミコハ、スキル”キス”ノレベルガ2ニアガッタ――」


「久しぶりだな、システムメッセージ!」


「ぐふふふ」


「レベル3に上がるとどうなんの?」


「――スキル”キス”ノレベルガ3ニアガルト、ムサボルヨウナオトナノキスニシンカシマス――」


「それ普通に楽しみなんだけど! 頑張ってレベル上げにゃあかんでしょ! よし!レベル上げる為にいっぱい練習するぞ!」


「いぇすマァム」


 そこからは、ちゅっちゅちゅっちゅとお互い飽きずにキスを繰り返した。


 キスをしたのは俺の誕生日以来でまだ2度目で、前回はほっぺにちゅっとしただけで、マウストゥマウスのキスは今日が初めてだった。

 なのに、何十回も二人で抱き合いながらキスをしていたせいで、俺はちんこびんびんになってガマン汁でパンツが気持ち悪いくらい濡れてしまっていた。

 ワラシはナプキン装着してた為、大丈夫だったようだが、俺は洗面所へ行ってパンツ履き替えてきた。


 でもまぁ、最近八田さんが一緒に居る事多くて二人きりでイチャイチャする時間も少なかったからな。 俺もワラシもちょっと欲求不満になってたかもしれんし、こんな風にはっちゃけちゃうのも仕方がないだろう。





 着替えた後ついでにトイレでスッキリして部屋に戻ると、ワラシがそわそわしながら「ケンピくんの汚れたパンツ・・・ちょっと急用を思い出したので洗濯機の所へ行ってきます」と言って、俺の横をすり抜けて部屋から出て行こうとするので、慌ててワラシを捕まえた。


「おい止めろワラシ!変なコト考えるんじゃーない!!!」


「ぐふふふ」


 と笑うワラシの目は、獲物に狙いを定めた狩人の目だった。












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