#11 ワラシ、閃く





 お昼を食べた後、ちょっと休憩するか、と二人で床に寝転がって、ゴロゴロとしていた。



「さっきまで緊張しててそれどころじゃなかったけど、お昼食べて落ち着いてきたら、この部屋ケンピくんの匂いがいっぱいでムラムラしてくるね」


「いや、同意求められてもわかんねーよ」


「んとね、正直に白状すると、多分、いま下着びしょびしょデス!」

 ビシッっと敬礼しながら白状するワラシ。



 でた

 ワラシのシモネタ

 

 まぁ、分からんでもない。

 俺も初めてワラシの部屋行った後、ガマン汁でパンツ濡れてたし。



「替えのパンツ持ってきてるの?」


「残念ながらそこまでは用意してないよ・・・」


「着替えに一度帰る?」


「うう、どうしましょ?」


「とりあえずお手洗いに行って来たら?」


「うん、そうする」



 そしてワラシを1階のトイレに案内すると、トイレに入った途端、ワラシが騒ぎ出した。



「閃きました!!! オムツの代わりデス!」


「え?」


「オムツの代わりだよ!下着びしょびしょにならない方法だよ!」


「ほう?」


「ナプキンですよ!生理用ナプキン!」


 ワラシはそう言いながらトイレの棚にあるウチの母さん用の生理用ナプキンのストックを指さした。



 するとワラシが騒いだせいか、母さんが「どうしたの?」と顔を出した。


 そこで咄嗟に思いついて「ワラシが生理?になったらしい。 母さんの生理用ナプキン1つ貰ってもいい?」と断ると、「いいよ~。フミコちゃん使い方分かるかな?」と母さんもOKしてくれた。


 ワラシも「しゅみましぇん・・・」とまた顔真っ赤にしながら頭を下げたので、ワラシをトイレに押し込んで扉を閉めて「ごゆっくり~」と言ってから、母さんもリビングに追い返した。








 ワラシがトイレに居る間に部屋に戻って、お昼ご飯の食器とかを片づけて待っていると、戻って来たワラシはご機嫌でテンションも高くなっていた。



「今まで全然気が付きませんでしたけど、コレはいい塩梅ですよ! これなら濡れ濡れになっても下着替えなくて大丈夫です!お母さんに言ってくれてありがとうね!」


「あいよ。それでナプキンっておしっことかウンチも平気なの?」


「流石にそれは冒険が過ぎるよ!ウンチなんてしたら大惨事だよ!」


「いや自分で言ってたじゃん。 オムツで授業中におしっことかウンチして新たな扉を開けたかったって」


「もうじょーだんですよ!その話はじょーだんです!あの場を和ませようととっておきのネタですよ!面白かったでしょ?私の鉄板ネタだからね。 でも下着びしょびしょになって困ってたのは本当ですよ」


「ワラシのじょーだん判り難いぞ! あの時、緊張した顔のままずっとじょーだん言ってたのかよ!全然じょーだんに聞こえなかったぞ?」


「だってぇ、初めてのデートで緊張しすぎて、最初自分でも訳わからなくなってたんだもん」


「いまはもう緊張しないの?俺と二人きりの時とか」


「うん、ケンピくんと居るときはもう緊張どころか癒しタイムだよ。 名付けてケンピセラピー?ケセラピー?ケンピラピー?」


「じゃあ、俺も癒してもらっていい? たまには俺からハグさせてよ?」


「う、うん、いいよ!ドーンと来て!ヘイカモン!」


 ワラシはそう言って立ちあがると、足を肩幅に開いて腰を少し落とし両手を前に出してファイティングポーズを取った。


「じゃぁこっちおいで」と言ってワラシを呼び寄せる。


 俺は胡坐をかいていたので、そのまま俺の脚の上に向かい合う形で座らせようと、「ここに座って」と自分のヒザをポンポン叩いた。


 ワラシはスカートだったけど遠慮することなく跨るとストンと俺の上に腰を下ろした。


 真正面から抱き合う様に座り、恐る恐る腕を回して抱きしめるとワラシの小さい体は俺の腕の中にすっぽり収まった。


 ワラシの体は甘い香りがして柔らかくて、背が小さいから体重は軽いのかと思ってたけど意外と重たかった。 そしてボリュームのあるおっぱいが俺の胸にぶよーんとくっ付いた。 



 自分からお願いしてハグしたが、色々と刺激が強すぎる。



「ワラシすまん。 おちんちんが立っちゃった。生理現象だから許してくれ」


「ううん、大丈夫だよ。私も下着びしょびしょだし、おあいこだね。ぐふふふ」


「なんかこうやって抱き合ってると、ドキドキするけどホッと安心感みたいなのもあるな」


「うんうん、すごい分かる。大好きな人に抱き着いたり抱きしめられたりするのって、あぁコレ夢じゃないんだぁって安心しちゃうの」


「そうそれ、俺もそんな感じの安心感」



 多分、恋愛に臆病だったり不安だったりそういう思いが強くあって、抱き合う行為がそんな不安とかを落ち着かせてくれてるんだろうけど、お互いモテない者同士だからなのか、そういうところで妙に共感するようだ。






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