#46 卓球少女ワラシ




 無事に真中と村田さんの理解を得ることが出来て、今度は宮森さんへの説明となった。



 宮森さんには以前謝罪の場で泣かれて困った経験があったから、八田さんの提案で、気軽に遊びながらお話しようということに。



 ということで、ボーリング場へ来た。

 メンバーは、宮森さん、八田さん、ワラシと俺。


 女の子でもボーリングとかしたいもんなの?腕とか筋肉痛になるよ?とか思ってたら、ボーリングじゃなくて卓球らしい。

 確かに卓球なら、男女の差とかなく楽しめそうだ。



 受付で2時間コースで1面レンタル。

 ラケットは無料だけど、シューズのレンタルは有料。

 でもみんな遊びだし、シューズはレンタルせずにサンダルのままで。


 まずは軽く手始めに、俺と八田さんが勝負。

 1面だし色々交代しながらプレーしようってことで、短めに5点勝負。 先に5ポイント取った方が勝ち。



「遂に私の真の力を見せる時が来た様ね。 ケンピくん、謝るなら今の内よ」


「八田さん、卓球するのに短いスカートだと、思いっきり動けないんじゃないの? 下着見えちゃうよ?」


「フン、ホザきなさい!私に何度も何度も意地悪したこと後悔させてやる!うぉりゃぁ!!」


 八田さん、大げさに気合いれて吠えてる割には、凄く優しいサーブ。


 当然、容赦なく全力でスマッシュ打ち返す。


 その後も八田さんの寸劇に付き合いながらも全力で叩き込み、5対0で圧勝。


「酷い!この人が全然優しくないよ! フミコちゃんどんな教育してんのヨ!」


「八田さん、負けたのに楽しそうだな」




 続いて、ワラシと宮森さん。


 宮森さんは、バスケ部のレギュラーで運動神経が良い。如何にもスポーツ少女って子だ。

 対して、ワラシはあまり運動出来るようには見えない。が、実はワラシは運動神経悪くない。 小学校の時にマラソン大会で3位でゴールして、みんなの度肝抜いたことがあったからな。


 まぁ卓球とマラソンは関係無いが、見た目や雰囲気で「小さくて大人しそうだから運動とか苦手そう」と油断すると痛い目を見るだろう。



「一度井上さんとはお喋りしたいと思ってたのよ」


「奇遇ですね。私も糞ビッチには一度分からせてやる必要があると思ってました」


「え?ビッチ?え?私のこと?」


「隙アリ」


 サラっとナチュラルな動きで、ワラシが綺麗なサーブを放つ。


 隙を突いたいきなりのサーブに驚きながらもなんとか打ち返す宮森さん。 流石バスケ部レギュラー、反射神経がいい。

 しかし、無理に打ち返した為、緩くて軽い。

 すかさずワラシは容赦なくスマッシュを打ち返す。しかもサイドラインギリギリ狙ってる。


 ワラシ、只者じゃないぞ。

 普通に上手い。


 結局、宮森さんはワラシに良い様に遊ばれて、こちらも5対0で勝負が付いた。

「帰宅部に負けた・・・」と宮森さん結構凹んでる。






 決勝戦は俺とワラシの対決。


 台を挟んでお互い無言で対峙する。

 俺たちの勝負に言葉は必要ない。 まるでそんな雰囲気だ。


 ワラシからのサーブ。

 先ほどの宮森さんとの試合で、ワラシは隙を突くのが上手いのを見てきたから、俺はワラシの動きに集中する。


 ワラシが動いた。

 その瞬間、ワラシのデカイおっぱいもブヨンブヨンと動いた。

 おっぱいに気を取られて俺の反応が遅れ、あっさりサーブが決まる。


 ぐぬぬぬ


「ワラシ、そのおっぱいはズルいぞ!」


「1本目で私の高度な作戦に気付くとは流石私のケンピくん。 ケンピくんがおっぱい大好きなのは既に把握済みです。この勝負ケンピくんに勝ち目はありませんよ」


 そんなことを喋りながら、サラっとドライブ掛けたサーブを打って来る。

 どうせまた油断させて隙を突いてくるだろうとワラシの動きに注目していたら、ブヨンブヨン動くおっぱいにまた目が奪われる。

 再びあっさりサーブが決まる。


 ぐぎぎぎ

 超悔しい!


 ブヨンブヨンと動くワラシのおっぱいに必死に抗いながら、なんとか3ポイント巻き返すも、結局3対5でワラシに負けた。


「チクショー!!! 俺もちんこでワラシの気を逸らすことが出来れば負けなかったのに! 股関のもっこりアピールしても、台に隠れて見えてねーんだもん!」


「ぐふふふ」



 そんなこんなで、楽しく卓球してたお陰で宮森さんも緊張が解け、俺たちも良い感じで肩の力が抜けてきたので、休憩しながら本題の千葉の話を始めた。



「単刀直入に言うと、千葉と仲直りしようと思う」


「え?なんで急に???」


「千葉がぼっちになって可哀そうだから」


「それは自業自得じゃん」


「そうだけど、俺は千葉のそういう惨めな姿見てると、気分悪いから。 だから俺の自己満足だな」


「それで私にも仲直りしろって?」


「いや、そこまでは求めて無いよ。 ただ、俺のことで仲悪くなってるのに、俺だけが千葉と仲直りするのは筋が通らないと思ったから、宮森さんにも説明しておきたかっただけ」


「うーん、そこまでケンピくんが気を使う必要あるのかなぁ。 だってクラス違うし、陸上部だってもう二人とも辞めてるし」


「気を使ってるつもりは無いよ。 ただ俺が気に入るか気に入らないかだけだよ。兎に角、宮森さんには迷惑かけるつもりは無いから。 俺から千葉に歩み寄るつもりだってこと、そのことだけ知っててくれればと思ってね」


「うん、まぁ分かった。私も邪魔したりしない様にするよ」


「うん、ありがとうね」


「ううん。こっちこそ態々気を使って説明までしてくれてありがとうね」




 こうして、宮森さんからも理解を得ることが出来た。

 それと、宮森さんから千葉のスマホの連絡先も教えて貰った。




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