#76 頼りになるのはバッキー
2階フロアは女性向けのファッションやグッズ等のショップが多数並んでて、土曜日ということで女性客が多く行き交っていた。
俺は「ワラシが喜んでくれるようなプレゼントを選ばなくては」と焦る気持ちを抑えながら目的のお店を目指し早足でズンズンと進んでいく。 目指すお店は、以前ワラシと二人で来て、ワラシの髪飾り等を購入した雑貨屋さんだ。(#24参照) 因みに、その時に買ったお揃いのシャーペンは、俺もワラシも今でも大切に使っている。
その目的の雑貨屋さんに到着すると、店内は中高生と思われる女性客で混雑していて、思わず一人で入るのを躊躇ってしまった。
いくら最近は女の子慣れしてきているとは言え、ここは完全なアウェイだった。 ブサイク男子中学生が一人で入るにはハードルが高い。
けど、ここまで来て戸惑っていても仕方ないので、緊張しながら店内へと進んで行くと、遅れてやってきた八田さんとバッキーの二人同時に腕を掴まれた。
「ちょっとケンピくん!歩くの早いよ!」
「はぐれたら面倒だから、一緒にね?」
振り返ると、二人の後ろには、肩で息をしているミウちゃんも居た。
俺が置いてさっさと来ちゃったから、ココまで急いで追いかけて来た様だ。
「ごめんごめん。 早く見たくてちょっと焦ってた。一緒に周ろう」
バラけずに4人で一緒に店内を見て周ることにしたが、早速八田さんとミウちゃんが、ワラシへのプレゼントとは関係ない物ばかり見始めた。
「ねね!コレなんてどう?私に似合う?」
「今忙しいからあとでね」
「お兄さん、コレかわいいとおもいません?」
「今忙しいからあとでね」
「ねね!この色とこの色、どっちが私のイメージに合うと思う?」
「今忙しいからあとでね」
「お兄さん、私コレ欲しいなぁ」
「今忙しいからあとでね」
俺とバッキーが真面目に相談しながら見て周っていると、二人は好き勝手に帽子だのポーチだの文房具だの置物だの持ってきては俺に見せて意見を求めてくるので、マジ邪魔。
そんな中でも流石ワラシとは気の合う仲良しのバッキーは、ワラシのことをちゃんと考えてくれてる様で色々と意見を出してくれて、それを参考にしながら最終的にバッグやリュックが並ぶコーナーにやって来た。
「フミコちゃんって背が大きくないから、バッグとかよりもリュックのが可愛く見えると思う」
「確かに俺もワラシにはリュックのイメージが強いな。 でも大きさとか色とか色々選ぶ基準が多くて、難しいね」
「うーん。カラフルで派手なのよりも、落ち着いた色のが色んな服装に合わせやすくて良いかも。大きさとかデザインは値段を見て決めたら?」
「なるほど。 そう言えば、ワラシに貰った財布も革製だったし、レザータイプのなら派手じゃないし、どんな服装に合わせても変じゃ無いかも」
「そうだね!それ良いかも! でもココに置いてあるのは種類少ないし、ちょっとイマイチだね」
「別のお店行ってみる?バッグとか専門で扱ってるお店あったよね」
「うん、斜向かいにあるね。行ってみようか」
八田さんとミウちゃんにも「あっちのお店に行くよ!」と声を掛けて雑貨屋を出て、バッキーが言ってたバッグ専門のお店に入った。
こちらのお店は雑貨屋ほど混雑しておらず、客層も大人が多くて落ち着いた雰囲気だったから、俺達もゆっくり見ることが出来た。
早速リュックが並ぶコーナーにやってくると、ヒト目で「コレだ!」と思う物を見つけた。
手に取ってみると、革製の割にそんなに重く無くて、大きさはそこそこの厚みがあっても、デザインがシンプルなせいか見た目はコンパクトに見える。
「コレがいいの?」
「うん。どうかな?」
「デザインはお洒落だけど派手じゃないから学校とかでも使えそうだね」
「うん。それに作りがしっかりしてて、でも軽いから普段使いでいけそう」
「値段はどうなの?」
「コレくらいなら何とかなるよ。 あ、ちょっとバッキー背負ってみてくれる?どんな感じか見たい」
「うん。 どう?」
バッキーが羽織ってたストールを預かりリュックを渡すと、背負って見せてくれて、自分でも店内の姿見でチェックしていた。
「良いと思う。バッキーはどう思う?」
「うん。凄く良いね。私も欲しいくらい」
「そっか。ならコレにする。 ありがとな、バッキー。マジで助かったよ」
「うふふ。フミコちゃんへのプレゼントだもんね。お役に立ててよかった」
漸くプレゼントが決まると、店内をウロウロしていた八田さんとミウちゃんを呼んで、二人にも意見を聞いた。
「へーいい感じだね!フミコちゃん絶対喜ぶよ!」
「いいないいな!私もお兄さんからプレゼント貰いたいなぁ」
二人の反応も上々だったのでレジに持っていき、プレゼント用の包装をお願いして会計を済ませた。
少し時間に余裕があったので、この後どうしようかと思ってたら、バッキーが「私もバッグ買おうかな。ケンピくん選ぶの手伝ってくれる?」と言うので、「勿論、オッケー」と同じお店で今度はバッキーのバッグを選び始めた。
バッキーは落ち着いた容姿にあった服装を好むし、元々センスが良いので、俺はバッキーが選んだ物に感想を言ったり、迷った時にどちらが良いと思うか言う程度だったけど、最終的にバッキーが決めると「ケンピくんに選んで貰ったバッグ、大切にするね!」と俺がお金払った訳じゃないのに喜んでくれたので、ちょっと嬉しかった。
バッキーの買い物も済むと、3人を連れて1階にあるマックへ向かった。
プレゼントでお金使っちゃったから財布に余裕は無かったけど、「買い物付き合ってくれたお礼にシェイクくらいなら奢るよ」と、シェイクとポテトを購入して、4人でテーブル席に座ってお喋りをすることにした。
席に座ると、色々と周ったりプレゼント選びで悩んだせいか疲れが出てきて、思わず「ふぅ」と溜息が出てしまったが、女の子3人はまだまだ元気にお喋りを始めた。
話題はクリスマスの話だった。
そういえばもうすぐ12月だから、クリスマスも直ぐ来るのか。
となると・・・
そこまで3人のお喋りに相槌打つ程度で大人しくしてたが、思わず「クリスマスプレゼントも選ばなくちゃダメってことかぁ」と声に出てしまった。
「そうだよ!私たちにも何か欲しいなぁ~」
「八田さんは相変わらず欲しがり屋さんだなぁ」
「ケンピくん、今日沢山お金使ったんだから、無理しちゃダメだよ?」
「バッキーはホントいいヤツだなぁ」
「お兄さん、イヴは彼女よりも私と大人のクリスマスを過ごしませんか?」
「ミウちゃん、君ホントに小5なの?俺は心配になってきたよ」
でも、マジでクリスマスのことも考えないとだな。
ワラシとは誕生日に二人で過ごすつもりだから、クリスマスはみんなでパーティーとかでも良いかも。
クリスマスのことはワラシと相談しようかな。
___________
少し更新お休みします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます