#54 宴の後もノンストップ八田さん
2時頃になるともうみんなお腹一杯の様子だったので、食材を焼くのを終了した。
父さんと母さんとシュージは家の中に引っ込み、俺達4人は庭に残ってタープの日陰でジュースを飲みながらお喋りを続けていた。
「バッキーは夏休みの宿題もう終わったの?」
「うん。ほとんど終わってるけど、あとはポスターが残ってるよ」
「えー!アキちゃんももうそこまで行ったの? 私まだ問題集とか少し残ってるよ」
「八田さんは勉強中とかお喋りしすぎだからだよ」
「だってぇ、みんな居たらじっとしてられないじゃん!」
「いつも3人で勉強してるの?」
「いつもって訳じゃないけど、集まることは多いね」
「いいな、そういうの」
「明日からバッキーも来ればいいよ。 ワラシもいいか?」
「うん」
「じゃあじゃあ!早速明日!みんなでプールでも行く?」
「なんで宿題終わってない人が積極的に遊びに行こうとするんだよ。まずは宿題終わらせてよ」
「うー、アキちゃんもプール行きたいでしょ? どんな水着着るの?」
「えぇ・・・普通のだよ?」
「じゃあ二人で行ってきなよ。俺たちは大人しく二人で留守番」
「私も別にプール行きたいわけじゃないよ。シズカちゃんが強引に」
「じゃあ八田さん一人でだな。一人で行ってナンパでもされてくるがいい」
「もーみんなノリ悪いなぁ」
結局、明日は八田さんの家に集まって、みんなでポスターの宿題をすることが決まった。
プールに行くのは、八田さんが宿題終わるまでお預けだ。
そして、今まで3人だったグループチャットにバッキーも加わった。
1時間程休憩すると、満腹だったお腹の方も落ち着いたので、4人で片づけ始めた。
30分程で片づけが終わり、みんな汗を沢山かいているので、一人づつシャワー浴びて俺の部屋でクーラー効かせてゆっくりすることにした。
八田さんとバッキーは来る時に着てた服に着替え、ワラシは俺のTシャツを貸して上だけ着替えた。
順番にシャワーを終えて落ち着くと、バッキーがクッキーを手土産に焼いて持ってきていたので、それを摘まみながらお喋りを続けた。
「Tシャツからケンピくんの臭いがする。ぐふふふ」
「いや、洗剤の臭いだろ、それ」
「気持ちの問題」
「フミコちゃんって、凄いね。 何ていうか、ケンピくんへの愛情というか欲望を素直に言えちゃうところとか」
「そうなのかな? ワラシは最初からずっとこんな調子だったしな」
「私のケンピくん愛は5年前から既にMAX」
「やっぱり凄いね。こんな風に言えちゃうんだもん」
「でしょ? この二人見てると、間に入り込むのは無理だなぁって思うし」
「その割には八田さん、邪魔者って言われても懲りずに俺達と一緒に居るよね」
「え?ホントは邪魔者とか思ってないでしょ? 私居ると楽しいよね? え?違うの?ホントに邪魔者って思ってるの?」
ワラシがお口チャックのジェスチャーでノーコメントの主張をしたから、俺もお口チャックのジェスチャーした。
「ちょっと!そこで黙らないでよ!否定するところでしょ! そんなことないよ、こんなに可愛い友達といつも遊べて楽しいよって!言ってよ!愛してるって言ってよ!言葉にしないとちゃんと伝わらないよ!」
八田さんがいつもの調子で騒いでいると、バッキーが微妙な顔をしはじめた。
「バッキーどうした? 八田さんが喧しいからイライラしてるのか?」
「ううん、違う違う」
「バッキーはココで自分の気持ちを素直に言うべき。バッキーが遠慮してたら私たちも気を使う」
ワラシが、バッキーの気持ちを読んだのか、核心っぽいことを突いた。
「う、うん・・・あのね!ケンピくん! 陸上部でのこと、本当にごめんなさい!」
バッキーはそう言って、座ったまま勢いよく俺に向かって頭を下げた。
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