第12話 父の入院と娘の出産 (2)

 十一月七日、退院という事になったが婿殿は仕事が休めず、私がゆい、ゆあと一緒に迎えに行った。無事退院と思っていたがゆずの黄疸が酷いので一旦は退院だが九日にもう一度連れてきて下さいとの事だった。

 九日病院に行くとゆずの黄疸がまだ良くなっておらず、ゆずだけ入院となってしまった。さぁ、それからが大変だった。夜は良かったが昼間、三時間おきに日に三回授乳に行かなければならないのだ。車で十分位の場所だったが娘はまだ産後で運転出来ず私が連れて行かなければならなかった。その間ゆいの幼稚園の送迎もある。病院で娘の授乳を待っている間ゆあは病院内をチョロチョロし目が離せず、三回目からは娘にタクシーで行ってもらった。慌ただしい一日を送った翌日十日、何とかゆずの退院の許可が下りた。


 ゆずが退院してホッとしたのも束の間、私は夜勤の仕事があり職場まで一時間以上かかる為、午後二時半には娘のマンションを出なければならなかった。私は娘達の食事を用意して慌ただしく夜勤の為職場に向かった。母はその頃まだ元気だったがその一年前に台所をリフォームしてガスからIHに変えてから使い方が分からないと言って料理をしなくなっていた。出かける前に多少作り置きをしておいたが留守中の母の食事の事も心配だった。

 そんな時、有難い事に長男のお嫁さんが丁度我が家に来る用事がありその時に、煮しめ、いなり寿司、酢の物等の料理を作って持って来てくれていた。母も美味しかったととても喜んでいて私も本当に嬉しかった。


 一方、入院中の父は順調に回復して何時でも退院できる状態だったが私が忙しくて十一月十一日、私の夜勤明けに迎えに行き無事退院したのだった。父は入院中に介護の認定を受けていて『要介護2』となっていた。


 翌日、娘の所に行くがゆずは退院後も通院が必要だった。それから五日間は娘の所に居たが職場が休みにくかった為娘の所、自宅、職場を行ったり来たりでとにかく大変だった。娘にも産後一ヶ月はゆっくり休ませてやりたかったが結局二週間位しかいてやれなかった。丁度婿殿も仕事が忙しくいつも帰りが遅かった。しかも、私は行ったり来たりで充分にしてやれず今思い返しても心が痛む。娘のマンションは私の家から一時間半はかかったのでもっと近かったらとつくづく思ったものだ。

 それにしてもあの時は仕事をしながら父の入院、娘の出産と色々な事が重なったのによく乗り切ったと我ながらあっぱれだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る