第14話 父、八千代病院入院
二〇十五年四月七日、八千代病院の方が迎えに来られ入院中の病院からそのまま八千代病院に入院となった。その日は母も一緒に同行した。八千代病院の玄関にはホテルのロビーのように豪華な花が飾られていた。到着後すぐに病室に案内された。今までの病室は六人部屋で窮屈だったがそこは四人部屋で広々とした感じだった。父は窓際のベッドだった。周りが山に囲まれた病院だったので外に見える景色は山の木々で家から見る風景とあまり変わりなく殺風景なものだった。主治医の先生から色々な説明を受ける。父はその時、八十九歳の高齢だったので何かあった時の延命処置はしないで下さいとお願いした。
ここは父が最期を迎えるまでの場所となった。前日、父は少し熱を出し風邪気味だと聞いていた母は「窓際は寒いので風邪が悪化せんにゃええが」と心配していた。四月と言えどもまだ肌寒かった。翌々日、パジャマの上に羽織るベストやバスタオル等を持って面会に行くと父は風邪気味の為点滴を受けていた。体力が弱っているようだったが四月の終わり頃には徐々に元気を取り戻してきたので安心した。
五月一日、父は九十歳の誕生日を病院で迎えた。糖尿病の為食事制限のある父だが誕生日なのでプリンを持って行くと先生から「半分だけ」と言われ全部食べさせてあげられず残念だった。
それからは週一回の面会が父と過ごす唯一の時間だった。爪を切ったり、髭を剃ったりするだけでも楽しかった。糖尿病の治療中だったので間食は出来なかったがこっそりと果物やお菓子を食べさせた事もあった。(のちに看護師さんにバレて間食は出来なくなったが) 父が糖尿病の治療中でなければ面会の時、色々と父の好きな食べ物も差し入れ出来るのにと残念でならなかった。入院当初にコーヒー好きだった父にインスタントコーヒーやおやつを預けておいたがそれも結局、看護師さんから「先生の許可が出ないので持って帰って下さい」と言われ持ち帰った。
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