第13話 父、再度入院
退院後の父は安定しているように見えて少しづつ様子がおかしくなっていた。パジャマのままで畑に行ったり失禁も増えてきた。トイレに行っても上手く出来ず汚したりもしていた。昼間も寝ていることが多くなっていた。母は母で口の中に湿疹が出来たり原因不明の痙攣も頻繁に起きていた。一旦つまずくとあれよあれよと崩れていくようだった。これが歳を取るという事だろうか?両親の老いを実感した。
一方で大変な中にもゆずの一ヶ月検診は順調だったし、次男の所は二番目のおめでたの知らせもあった。又、年末には十年ぶりに甥が大阪から来てくれた。姉二人も来ていたので久しぶりの再会に話が盛り上がった。夜遅くまではしゃいで話し込んでいたので眠っていた父から「うるさい」と雷も落ちた。
思えば父が自宅で過ごした最後の年末年始だった。年が明けると父は益々弱ってきていた。一人でお風呂に入るのも難しくなり私が入浴介助を行っていた。三月に入ると食欲も落ちてきた。三月九日の午前中、ケアマネージャーと看護師さんが来て下さり点滴をしてもらった。あまり症状が良くならず午後からかかりつけの先生に来て頂いた。診察して頂き様子を看て頂いたが先生の判断で再度入院する事になった。父は動けなかったので救急車で地元の病院に入院した。
家ではあまり食べれなかったのに病院での夕食はきれいに食べたのでビックリした。入院してからは食欲もでてみるみるうちに元気になっていった。この調子だと間もなく退院出来ると言われたが私は退院後の父を家で看るのは難しいと考えていた。元気になったとはいえもう前のように父が自分でインシュリン注射をするのは無理だった。かと言って母もそんなことは出来ないと言っている。私も勤務がまちまちで家に居ない時もある。父が家に帰っても又同じ事を繰り返しそうだ。
かかりつけの先生にも入院する前に相談していて隣町の八千代病院(医療施設の病院)に紹介状を書いてもらう予定になっていた。そうした家で看る事の不安を入院中の先生にも相談すると八千代病院に紹介状を書いて下さった。早速、紹介状を持って申し込みに行った。
すると三月三十一日、八千代病院から連絡があり四月七日入院の運びとなった。父は当然退院後は家に帰れると思っていたのでその事をなかなか言い出せないでいた。 タイミングをみて父に糖尿病の治療の為八千代病院に移り入院する事を話した。
父は納得したかどうか分からなかったが何も言わなかった。
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