　その年の十月に入った頃から父はたまに失禁があったり今までの元気さがなくなってきていた。ある日、父は昼食を食べている途中、意識がもうろうとしてきた。それまでにも低血糖になり意識レベルが低下した事があり飴を舐めて回復したことがあったが、いつもとは様子がおかしいので横にして、かかりつけの先生に訪問して頂いた。先生に点滴などの処置をして頂き、何とか事なきを得た。その時に先生の提案で訪問介護の手続きをして、その後は訪問して頂きながら治療を暫く続けていた。やがて体調も安定してきていた。

　その日は午前中、畑仕事をしていつものように昼食を摂ったがその後意識がもうろうとなった。再びかかりつけの先生に来て頂いたところ、低血糖に低体温だったので入院した方が良いと言われ地元の総合病院に入院の連絡をして頂き救急車でそのまま入院となった。二〇十四年十月二十八日だった。その日は私の仕事が休みで家に居たので本当に良かった。それにしても午前中畑仕事をしていたのにその日の午後入院になるなんてビックリだ。入院三日目、病院から連絡があり白血球が少なく貧血気味なので胃の中に出血があってはいけないので急いで胃カメラで検査をしたいとの内容だった。翌日母と検査結果を聞きに行くと胃の中はきれいだという事で一安心した。

　十一月一日、大阪の姉夫婦とすぐ上の姉が見舞いに来てくれ一時、我が家は賑やかになった。その日の夜九時前、娘が第三子(女の子)を無事出産したと連絡が入った。今回、娘は上の子が幼稚園なので里帰り出産せずマンション近くの病院で出産しており娘が入院中は婿殿のお父様が上の子供達を見て下さる事になっていた。休みが取りにくい私は本当に助かった。十一月三日には娘が出産した病院にベビーを見に行った。名前は悠珠(ゆず)に決まった。母子共に元気そうで良かった。五日からはバトンタッチして私が娘のマンションに行った。婿殿のお父様は子守にもう限界だったのか早々と帰って行かれた。娘の一番上の男の子は大人しく落ち着いているけれど二番目の悠杏(ゆあ)はとても活発な女の子で慣れない子守りは大変だったのだろう。良く引き受けて下さったと感謝でいっぱいだった。

　娘が入院中、思いがけない事があった。某テレビ番組で産まれたばかりの赤ちゃんを取り上げた『めばえ』という番組の取材を受け、産まれたばかりのゆずを囲んで娘、ゆい、ゆあ、私がテレビで放送されたのだ。一、二分程度の短い放送だったがとても良い記念になった。ゆず、ゼロ歳にしてテレビデビューだった。