第6話 母、右大腿骨転子下骨折で再び入院
緊急搬送され病院についた母は直ぐに検査を受け『右大腿骨転子下骨折』と診断され約三ヶ月の入院となった。僅か十日間自宅に帰っただけで再び入院を余儀なくされた。主治医の先生から「骨折の為手術をする事と退院後自宅での生活は難しいと思われるので早めに施設を探して下さい」と言われた。次々やって来る災難に頭の中は混乱していた。只、仕事を続けるには母を一人自宅で留守番させるより入院してくれてる方が安心とも思っていた。
一月八日に入院、十三日に手術が行われた。激痛からは解放されたものの右足は固定されており暫くは動けない状態で母も自分の身に何が起こったのか困惑している。ストレスも溜まってきたようだ。私は母に「大丈夫よ、きっと良くなるよ」としか言えなかった。私は仕事帰りに毎日母に会いに行くのが日課になっていた。一週間に一度は父に面会に行っていたが父から母の事を尋ねられると心配してはいけないので「元気でいるよ」とだけ伝えていた。
手術は成功し術後直ぐにリハビリが始まった。動けばやはり傷跡が痛むようだ。言語障害もあり母もすっかり滅入っていた。只、「歩けるようにならないと家での生活は無理だよ」と私が言うので母は家に帰りたい一心で一生懸命リハビリに励んだようだ。少しづつ回復に向かい杖をついて歩けるようにまでなった。主治医の先生から「恐らく車椅子生活になるでしょう」と言われていたので半ば諦めていたが母は見事に杖をついてではあるが歩けるまでに回復したのである。ベッド脇のポータブルトイレも一人で行けるようになった。只、たとえ何かにつかまって歩けるようになったとしても退院後とても一人にしておく訳にはいかない。「どうしよう……」私は又新たな問題にぶつかった。
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