第7話 介護認定

 入院二ヶ月を過ぎた頃、病院の相談員の方と退院後の母の事で話し合いの機会を持って頂くことが出来た。私は仕事中母を一人にする事が一番心配だったので何か良い方法はないか相談してみた。母が入居出来そうな地元の施設を色々教えて頂いた。只、直ぐには空きがないとの事だった。母は今まで元気だった為一度も介護認定を受けた事が無かったのでまずは認定調査を受ける事が必要だった。早速退院までの間に認定調査をして頂いた。介護度の決定まで一ヶ月位かかるとの事だった。介護度の度合いで受けられるサービスは違ってくるし受け入れてくれる施設も変わってくるようだ。認定結果は『要介護3』だった。


 退院の日が近づいた頃、私の職場に病院から電話が掛かってきた。「ケアホーム『匠』という施設に空きが出たので見学に行きませんか?」との事だった。早速、相談員の方と母と一緒に施設を見学に行った。施設の職員さんに今の母と私の状況を話したところ私の仕事の都合に合わせて施設をショートで利用出来るとの事だった。勤務がまちまちでも対応してもらえるという事で私は一安心した。施設の中も案内して頂いた。職員さんも感じが良く利用者の方の笑顔も見れた。施設の場所が自宅と職場の間にある事も好都合だった。さぁ、あとは母をどう説得するかだ。何しろ長期の入院で母もかなりのストレスを感じていて退院後、自宅に帰る事だけを楽しみにしていたからだ。母が何とか歩けるまでに回復して退院出来る事は嬉しかったがこの事が私を悩ませた。しかし、母に施設に行く事を納得してもらわないといけない。母を一人にして何かあったら心配なので私が仕事中は施設に泊まり私の休みの時は家に連れて帰る事を約束して何とか納得してもらった。


 いよいよ退院の日が決まった。施設の職員さんの提案で退院後、すぐそのまま入居する事になった。一旦家に帰ったら母の気持ちが変わって施設に行く事が難しくなるかもしれないし、施設に早く慣れてもらった方が良いからとの事だった。

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