第16話 父、急変する
入院一年を過ぎた頃からだろうか?時々ぼんやりしている事が多くなってきた。面会に行くとすぐにベッドから起き上がっていたのに段々すぐに起き上がれなくなっていた。ずっとベッドで過ごしているので体力が落ちてくるのは仕方ないなと思っていた。眠そうにしている時もあったがしっかりと話が出来る時もあったので年相応で問題ないと思っていた。それが十二月十七日の夜八時頃病院から「夕方まで話も出来ていましたが呼吸が弱くなったので酸素吸入をしています」と連絡があった。三日前に面会に行った時は変わった様子はなかったので驚いた。
はっきりした様子が分からなかったので取り敢えず母には家に居てもらい私一人で病院に急いだ。父は酸素マスクをしていたのでしゃべれないが私の声掛けには反応があった。少し息苦しそうだった。危篤状態なのだろうか?看護師さんに「家族や親戚に知らせた方がいいですか?」と尋ねたが「そうですねぇ」と首を傾げて「まぁ念の為に連絡されたほうがいいかも」と言われる程度ではっきりと言われなかったので大丈夫かなとも思った。実際、私は介護の仕事をしていて酸素吸入をしていても何ケ月も生きておられる人を知っていたのでそこまで深刻に思っていなかったが姉二人と子供達には念の為今の状況を知らせておいた。
暫く父の傍にいて手を握っていたが母を一人置いてきた事も気になっていたので「お母ちゃんを一人にしてきたので一旦帰るよ」と言うと少し寂し気な表情をしたのでそのまま帰れずにいた。三時間位いただろうか?父にもう一度「明日、お母ちゃんと一緒に来るけぇそれまで待っててね」と言った。父は少し頷いてくれた気がした。
看護師さんに一旦帰る事を告げると「私達がついていますから大丈夫ですよ。気を付けて帰って下さい」と言われた。家に帰ると母は寝ないで心配して待っていた。状況を話し明日早めに母と一緒に病院に行く事にして取り敢えず床に就いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます