第55話 『ボケ日和』の本との出会いに感謝

 私は本を読むのが好きなのでよく図書館を利用するが母の介護をするようになってからやたらと介護の本が目につき色々読んでいる。

 先日、認知症の専門医の長谷川嘉哉さんの著書『ボケ日和』を読んでみて私は嬉しくなった。私の介護する上での悩み事を一気に解決してくれるような本だったからだ。認知症の専門医の方の本だったので認知症の事が学べると思って手に取ったのだけど認知症の事が詳しく分かったばかりでなく介護者の味方になってくれるような内容だったからだ。


『認知症の介護家族だって、毎日笑っていいんです。休んでいいし、仕事に行ってもいいし、遊びに行ってもいいんです。というより、患者さんのためにも、そうしなければいけません。そこを上手くこなしてもらうために、この本を書きました。認知症介護にしんどさはつきものです。それでも、はじめに知っていればしなくて済む苦労というのが、認知症介護には実はたくさんあります。そうした知識を事前に得ておくということは、ボケてしまった大切な家族を、介護の果てに、憎まずに済むということです。最期のときに、笑顔で見送れるということです。』

 『介護者は「自分が看れるところまでは看る。それ以上は、他人の手を借りる。」と割り切ることも、とても重要です』

 『食事が摂れなくなった際に入院せず自宅・施設での看取りを選択すると、患者さんは穏やかな最期を迎えことができます。穏やかな最期のポイントは、患者さんに無理に食べさせようとしたり、看取りの医師に点滴を頼んで無理に延命しようとしないことです。ご家族の中には「食事も水分も摂れないなんて、苦しいんじゃないのか」と考える方も多いのですが、そこは心配いりません。食事が摂れない餓死状態や水分が摂れない脱水状態が続くと、私たちの脳内でモルヒネ様物質が放出されます。するとフワフワと心地よく酔ったような状態になり、苦しさも不安も恐ろしさも感じなくなります。つまり、最終的に食事が摂れなくなるのは、生命に与えられた最後の安らぎなのです。』(『ボケ日和』より抜粋)


 現在、自宅で母を看ている私は一人で母の最期を看取るのは正直、怖いし不安だったがこの本と出会えて本当に良かったと思っている。どんな形で母の介護が終わる時が来るか分からないけど私が看れるところまで頑張ろう。看れなくなったらその時は施設の人にお願いしよう。そんな気持ちで今日もほどほどに頑張っていこうと思っている。

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