第54話 ひ孫とのふれあい

 夏休みに入って娘の子供達二人が泊りがけでやって来た。普段は母と二人だけの生活が一変に賑やかになった。

 今年小学三年生になった悠杏ゆあと小学一年生になった悠珠ゆずの姉妹はとても活発な女の子達でたちまち私は大忙しになった。母はひ孫の名前等は分からなくなっているがひ孫が来た事は分かっているようでひ孫達が「おばあちゃん、おばあちゃん」と話しかけてくるのでとても嬉しそうだ。(私の事はおばあちゃんと呼ばせていない) 私の代わりに母の話し相手になってくれ、話が嚙み合わなくても抵抗なく話をしているので助かっている。母が同じ事を何度も聞いてきても「さっきも教えたよ」と言いながらも何度も嫌がることなく対応している。


 一度夕食の後片付けをしている私に「一緒に遊ぼ」と言ってきたので「この後おばあちゃんの着替えをしなくちゃいけないのよ」と言うと「わかった。おばあちゃんの着替えやってあげるよ」と言って母の着ている服を脱がせてパジャマに着替えさせてくれた事もあった。

 又、母がベッドで横になっていると孫達もいつの間にか母のベッドの中で一緒に寝転んでおしゃべりしたり歌ったりしている。何とも天真爛漫で無邪気な孫達に母も戸惑いながらも嬉しそうにしている。何の抵抗もなく母に接する孫達を見ていると母の対応でイライラしてしまう私が恥ずかしくなった。私の中の無邪気な心は一体どこに行ってしまったんだろう?


 孫達がいる間は『がんばったよ』という表を作って宿題や約束事やお手伝い等の項目をクリアしたら〇を付けるようにしていたがその中に(おばあちゃんとお話しする)という項目も加えていたので孫達は毎日毎日、母と関わってくれ私はとても助かった。母もひ孫と触れ合う事で元気をもらいとても嬉しそうにしていた。


 孫達は最初二~三泊の予定で来ていたが娘が仕事の休みの日に迎えに来ても「もう少し居たい」と言って一緒に帰らず結局十五日間「七月二十二日~八月五日迄」我が家で過ごした。この間私は忙しくはなったが孫達と過ごす日々に癒されたし母にとっても楽しい日々だったようだ。ひ孫達が帰った後は「寂しくなった」と何度も言っていた。

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